ダンボール装備の俺、なぜか聖騎士団に勧誘される

チー牛Y

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聖騎士団、パニックになる

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聖騎士団の本部は、城の奥にあった。

白い石の回廊。 天井の高い大聖堂みたいな建物。 そこを、俺は――

ダンボール姿のまま、歩いていた。

ガムテープ、ペタペタ。 箱の角、ちょっと凹み。 側面には、まだ“精密機器”って書いてある。

「……すごい、浮いてるな俺」

周囲の騎士たちは、全員フルプレート装備。 剣も盾も槍も、ピカピカ。

俺だけが、
“引っ越し途中で迷い込んだ人”みたいな格好だった。

なのに。

視線が、異様に熱い。

「……あれが」 「……例の」 「……本当に、あの箱が……」

ヒソヒソ、ざわざわ。

怖い。
ダンボールで入れる空気じゃない。

案内してくれている金髪騎士―― 昨日の人、名前はルシア。

「……緊張します?」

「はい。あと、帰りたいです」

「もう遅いです」

こわ。





通されたのは、円卓のある会議室だった。

重厚な扉が閉まる。

中には――

・白髭の団長
・魔術師長
・治癒騎士の代表
・なぜか、神官までいる

“国家の中枢”みたいなメンバーが揃っていた。

俺のダンボールを見るなり、
魔術師長が。

「本当に箱じゃないか」

失礼すぎるだろ。

団長が咳払いする。

「……では確認する。 君が“呪い遮断個体”かどうか、実験させてもらう」

「個体!?」

もう人間扱いしてない。





部屋の中央に、黒い水晶が置かれた。

ドロドロとした霧が中に渦巻いている。

魔術師長が言う。

「これは《第七級呪核》。 触れた者は、三秒で精神崩壊する」

「いや危なくない?」

「だから、あなたに触れてもらいます」

「だから危なくない?」

団長が頷く。

「……頼む」

逃げ道、なかった。

俺は、恐る恐る―― ダンボールの胸を、水晶に近づけた。

“コツン”

軽く当たる。

その瞬間。

ジュワアアアッ!!

黒い霧が、悲鳴みたいな音を立てて霧散した。

水晶は、白くなって、
ひび割れ、
粉々に砕けた。

……え?

部屋が、凍りつく。

魔術師長が、震える声で言った。

「……第七級が、無効化……?」

神官が、床に膝をついた。

「……神話級だ……」

団長が、静かに言う。

「……君の箱は、国家レベルの聖遺物だ」

俺、箱だぞ?


その時だった。

ピキ……ピキ……

俺の胸元から、音がした。

「……あれ?」

ダンボールの角が、淡く光る。

ガムテープの隙間から、白い文様が浮かび上がる。

【進化条件達成】

【“聖なる方舟装甲・改”に進化します】

「ちょ、待って、進化とか聞いてない!」

だが止まらない。

ダンボールは―― 勝手に、進化を始めた。

その場にいた全員が、確信した。

“こいつは、もう兵器だ”と。

そして俺は、

最弱冒険者 →
国家機密 →
歩く聖遺物

という、よくわからない進化ルートに入った。

ダンボールのままで。 
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