ダンボール装備の俺、なぜか聖騎士団に勧誘される

チー牛Y

文字の大きさ
3 / 15

街が混乱し、俺は泣きそうになる

しおりを挟む
目が覚めると、白い天蓋のベッドだった。

天井が高い。
部屋がやたら広い。
ふかふかすぎる。

「……あれ?」

身体を起こそうとして、俺は自分の胸を見る。

──ダンボールだった。

ただし。

昨日までの、
・角が潰れて
・宅配伝票が貼られ
・ガムテープがベタベタな

あの“引っ越し用の箱”じゃない。

色が、少し金色がかっている。
表面には、白い紋様。
角がやたらとシャープで、無駄に神々しい。

なのに、
材質はどう見ても、ダンボール。

「……進化しても箱なの!?」

俺が叫ぶと、
部屋のドアがバンッと開いた。

「起きましたか、“聖遺物殿”!」

ルシアが敬礼してくる。

「その呼び方やめて」

「無理です」

即答だった。





聖騎士団は、俺を“隔離”した。

理由は簡単。

「街に出したらパニックになるから」

……まあ、なるだろうな。

でも。

「いや、俺、飯食べたいんですけど」

「外出許可、下りません」

「じゃあ配達で」

「ダンボールなのに“配達”を頼むのは倫理的に問題があります」

意味わからん。


そんな俺に、団長が言った。

「君の装備は、無意識下で“呪い・毒・悪意”を吸収している」

「え」

「今も、この部屋の空気は“異常なまでに澄んでいる”」

言われてみれば、
変に気分がいい。

神官は言った。

「あなたの箱は、“災厄を集めて無害化する器”です」

「え、俺ってゴミ箱?」

「“方舟”です」

言い直された。





その日の午後。

事件は起きた。

街の方角から、鐘が鳴り響いた。

「……魔獣警報?」

「市街に《瘴気獣》が出ました!」

団内が一斉にざわつく。

ルシアが俺を見る。

「……あなたを出す許可が、下りました」

「いや待って!?
 俺まだ箱だよ!?」





街に出た瞬間。

「……あれ何」 「箱が歩いてる」 「箱が、光ってる」

子供が泣いた。

大人が引いた。

犬が吠えた。

俺は心で泣いた。

「なんで俺が一番ホラーなんだよ……」


そして、瘴気獣と遭遇。

黒い霧をまとった、熊みたいな化け物。

周囲の騎士が構える。

「近づくな! 呪いが強すぎる!」

だが。

俺が一歩、前に出た。

……その瞬間。

瘴気獣の霧が、
“掃除機みたいに”俺のダンボールに吸い込まれていく。

ズゴゴゴゴ……!

霧が消える。

瘴気獣、ただの熊になる。

「……くま?」

「……くまですね」

パタン。

熊、気絶。

戦闘、終了。

街、沈黙。

次の瞬間。

「……箱、やばくない?」 「箱が街を救ったぞ」 「箱様だ……」

信仰、発生。

俺、箱なのに。

……

こうして俺は、

“呪いを喰らう方舟”
“歩く聖域”
“街を救った箱様”

という、意味不明な三つ名を背負うことになった。

中身、ただの元ニートなんだけど。 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

いまさら謝罪など

あかね
ファンタジー
殿下。謝罪したところでもう遅いのです。

わたし、不正なんて一切しておりませんけど!!

頭フェアリータイプ
ファンタジー
書類偽装の罪でヒーローに断罪されるはずの侍女に転生したことに就職初日に気がついた!断罪なんてされてたまるか!!!

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

乙女ゲームの悪役令嬢、ですか

碧井 汐桜香
ファンタジー
王子様って、本当に平民のヒロインに惚れるのだろうか?

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

ねえ、今どんな気持ち?

かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた 彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。 でも、あなたは真実を知らないみたいね ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

処理中です...