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42:研究所の解析
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結界内へ転がり込んだ凰翔は、そのまま尻もちをつき、ゼエゼエと呼吸を整えていた。
キツネがひょいっと顔を覗き込む。
「ほら、立って。研究所はすぐそこだから」
「待ってください……まだメンタルのHPが……ゼロで……」
「知ってる。ずっとゼロだよ」
◇
結界内の巡里の町は穏やかだった。
外の化け物騒ぎが嘘みたいに、子どもが遊び、商人が声を張り上げ、夕方の光が通りを照らしている。
だが――その穏やかさが、逆に不自然。
シロガネは眉を寄せた。
「……おかしい。少しの間に“巡り濃度”が異様に高くなっている」
「うん。普通はこんなに光らないよね。むしろ、外より濃い」
やがて白衣の人々がざわざわと集まってきた。
白衣A「シロガネさん、本物の“器持ち”ですか!?」
白衣B「それも、自立型丼器!?」
白衣C「いやいやいや、未確認ですよまだ!!」
「なんか俺、今日だけで聞いたことない単語100個くらい聞いてる……」
シロガネは丼を両手で持ち上げ、研究者たちに見せる。
すると、丼が――ポフッと白い光を放った。
「「「おおおおおおお!!!」」」
(なんで光るたびに盛り上がるんだ!?)
◇
白衣Aが震えながら丼をスキャンし始めた。
「この丼……“巡り結界”と同じ波長の……いや、
むしろ結界の方がこの丼に合わせてる!?」
「「「な!?!?」」」
――スキャンを終えると研究所全員が沈黙していた。
シロガネが恐る恐る口を開く。
「凰翔さん……あなたの丼、
“召喚の中核”に相当する器です」
「……あの、つまり……?」
「あなたを異世界に呼んだ“原因そのもの”かもしれません」
白衣たちはさらに衝撃の一言を放つ。
白衣B 「しかも……この丼……
“巡りのバグ”である黒影を、本来なら吸収できるはずです」
「吸収?」
白衣C「強すぎる“器”なんです。この丼。
ただし――」
「「「ただし――?」」」
白衣C「使用条件は不明です!!」
(説明の意味全部消えたぁぁぁぁ!!!?)
そこへ、警報が鳴り響いた。
――ビィィィィィィィィン!!!
白衣B「結界外に黒影が再出現!
先ほどより……明らかに“形成速度が増して”います!!」
研究所全員がざわつく。
シロガネの顔が強張る。
「あれ……“学習”してます。
凰翔さんの丼を奪うための最適形態に……」
キツネが青ざめる。
「マズい……次は、ギンの“声”も効かない可能性ある」
ギンは静かに凰翔の足元に寄り、
不安げに尻尾を振った。
凰翔は震える手で、丼を見つめる。
そして――丼がほんのり光った。
まるで「次はお前の番だ」と言っているように。
「……ちょっと待てください。
まさか、戦うのって……」
シロガネが静かに言った。
「――凰翔さんです」
!!!!!!!
キツネがひょいっと顔を覗き込む。
「ほら、立って。研究所はすぐそこだから」
「待ってください……まだメンタルのHPが……ゼロで……」
「知ってる。ずっとゼロだよ」
◇
結界内の巡里の町は穏やかだった。
外の化け物騒ぎが嘘みたいに、子どもが遊び、商人が声を張り上げ、夕方の光が通りを照らしている。
だが――その穏やかさが、逆に不自然。
シロガネは眉を寄せた。
「……おかしい。少しの間に“巡り濃度”が異様に高くなっている」
「うん。普通はこんなに光らないよね。むしろ、外より濃い」
やがて白衣の人々がざわざわと集まってきた。
白衣A「シロガネさん、本物の“器持ち”ですか!?」
白衣B「それも、自立型丼器!?」
白衣C「いやいやいや、未確認ですよまだ!!」
「なんか俺、今日だけで聞いたことない単語100個くらい聞いてる……」
シロガネは丼を両手で持ち上げ、研究者たちに見せる。
すると、丼が――ポフッと白い光を放った。
「「「おおおおおおお!!!」」」
(なんで光るたびに盛り上がるんだ!?)
◇
白衣Aが震えながら丼をスキャンし始めた。
「この丼……“巡り結界”と同じ波長の……いや、
むしろ結界の方がこの丼に合わせてる!?」
「「「な!?!?」」」
――スキャンを終えると研究所全員が沈黙していた。
シロガネが恐る恐る口を開く。
「凰翔さん……あなたの丼、
“召喚の中核”に相当する器です」
「……あの、つまり……?」
「あなたを異世界に呼んだ“原因そのもの”かもしれません」
白衣たちはさらに衝撃の一言を放つ。
白衣B 「しかも……この丼……
“巡りのバグ”である黒影を、本来なら吸収できるはずです」
「吸収?」
白衣C「強すぎる“器”なんです。この丼。
ただし――」
「「「ただし――?」」」
白衣C「使用条件は不明です!!」
(説明の意味全部消えたぁぁぁぁ!!!?)
そこへ、警報が鳴り響いた。
――ビィィィィィィィィン!!!
白衣B「結界外に黒影が再出現!
先ほどより……明らかに“形成速度が増して”います!!」
研究所全員がざわつく。
シロガネの顔が強張る。
「あれ……“学習”してます。
凰翔さんの丼を奪うための最適形態に……」
キツネが青ざめる。
「マズい……次は、ギンの“声”も効かない可能性ある」
ギンは静かに凰翔の足元に寄り、
不安げに尻尾を振った。
凰翔は震える手で、丼を見つめる。
そして――丼がほんのり光った。
まるで「次はお前の番だ」と言っているように。
「……ちょっと待てください。
まさか、戦うのって……」
シロガネが静かに言った。
「――凰翔さんです」
!!!!!!!
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