勇者、チー牛

男は牛丼チェーン店で悩んでいた。

――チーズ牛丼を食べたい。

だが自分の容姿を思い返すと、頼む勇気が出ない。眼鏡、猫背、気弱そうな雰囲気。いわゆる「チー牛」と呼ばれる類いの見た目だ。

もし周りが中年のサラリーマンばかりなら、迷わずチーズ牛丼を頼んでいただろう。だが今日に限って、近くの席には制服姿の女子高生が二人。笑い声が耳に届くだけで胃が縮む。

「……キムチ牛丼で」

結局、口から出たのは無難な選択だった。

ところが――

「お待たせしました。チーズ牛丼です!」

運ばれてきたのは、頼んだはずのキムチ牛丼ではなく、熱々にとろけたチーズが眩しいチーズ牛丼。

(ま、間違ってる……でも言えない)
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