僕の大好きな人、村山蒼空

霧野新庄

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蒼空との出会い

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俺と蒼空の出会いは幼稚園生の時だった。

最初はよく笑う女の子だと思った。いつも笑顔のひまわりみたいな女の子。

俺はこの当時、幼稚園を休みがちだった。病気だったからだ。白血病。免疫がないから、怪我すると大変だから、両親から色んなことを聞かされた。でも、そんなことは子供にわかるはずなかった。

俺はただ、みんなと同じ普通の生活がしてみたかった。

俺はいつも病室の窓から、走り回っているみんなを見ているだけ。病室の窓からは、河原とそれに沿うように野原があった。原っぱでは、みんなが毎日のように、かけっこしたり、ボール遊びしたり、とても楽しそうだった。

昔、一度だけ、お母さんに

「僕も、みんなと遊びたい」

一言、ほんの一言、お母さんに言った。

お母さんは、

「そうね、蓮も遊びたいわよね」

一言、そう言った。

涙を流しながら、、

俺は間違ったことを言ったんだと思った。

俺はその時の事を一生忘れないだろう。お母さんが言った言葉を流した涙を、

忘れもしない、4月12日、満開だった桜が、一つ、また一つと落ちていく。

最後の花びらが落ちた日、君は俺の元に現れた。

”ガラガラガラ”

俺はいつもみたいに外を眺めていた。

決して、出られない、未開の地を、

「おかあさん?」

俺は、母が訪ねてきたのだと、そう疑わなかった。

「誰?」

僕の声が小さな病室にこだまする。

「誰?」

僕はもう一度、名も知らぬ少女に話しかけた。

「蒼空!」

「え?」

「蒼空だよ、私の名前!」

「そら?」

それが僕と蒼空の出会いだった。

「どうして君は、ここいいるの?」

俺は、当然の質問をそら、と名乗る少女に投げかけた。

すると、蒼空は僕の質問を無視して、

「君の名前は?いつもお外眺めてるでしょ?」

「え?」

「ほら、君の名前だよー」

蒼空は僕のベットの隣にある丸椅子に腰かけた。

「蓮…」

「れん?そっかぁーいい名前だね」

蒼空はにっこりとした笑顔を俺に向けてきた。透き通った、神秘的な目をしていた。

「れんはどうして、いつもお外を眺めてるの?一緒に遊ぼうよ!!」

「僕は、遊べないんだ…」

「どうして?」

彼女の瞳はとても綺麗で純粋で、僕は彼女の目を直視出来なかった。

「僕は、僕は…病気だから…」

「びょうきぃ?」

蒼空は純粋な瞳で僕に聞き返してきた。

「そう、僕はお外に出ちゃいけないんだ」

「どうして?」

「お母さんが言ってたから」

「そっかぁー」

「ねえ、れん、こんな話知ってるー?全てのことは願うことから始まるって言葉。

 ママが言ってたんだ。頑張って諦めなければ神様が見ててくれるんだって!!

 だからねぇー、れんの病気もきっと治るよ。絶対に」

「ほんと?僕の病気治るの?」

僕は初めて彼女の瞳を見つめ返せた。

「うん!ぜぇーったい」

そう言うと、蒼空はにっこりと笑い、小指を差し出してきた。

僕も彼女に合わせるように小指を重ね合わせた。

「指切りげんまん、嘘ついたらハリセンボンノーバス!指切った!」

「ほら笑って、れん、楽しいよ!」

「うん!」

蒼空には不思議な力がある、人を包み込んでくれるような温かさ。

ふしぎと僕はこの時、今までにないくらい最高の笑顔で笑えたんだ。

ふしぎだよね。

「元気になったみたいで良かった。ママが待ってるから、私、行くね?

 覚えた?私の名前は蒼空よ、村山蒼空!
 
 じゃあね!れんくん」

「村山蒼空…」

僕は手を振る蒼空に手を振り返しながらそっと呟いた。

「ひまわりみたいな子だったな…」

俺はこの日、蒼空に恋をした。
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