君と見た黄昏の夕焼け

霧野新庄

文字の大きさ
上 下
3 / 12

黄昏の夕日

しおりを挟む
その頃、江戸崎では……

「行ったのね」

「ああ。でも…茜、お前は良かったのか?」

「え、ええ…私はいいの。それより愁平。あなたこそ大丈夫?」

「はは。全く、俺もお前に心配されているようじゃまだまだだな」

「強がりはよしてよ。あなたたち二人のことなんて誰よりも私がよく知ってるんだから…」

【ポタ…ポタ】

『ん?なんか生暖かいなぁ』

「茜、暖かいよ」

「え?」

茜の顔が夕日と同化して赤く焦げている。

「お前こそ強がってるじゃないか…目から…鼻水が出てるぜ」

【ポタ…ポタ】  

「馬鹿。こういう時は目から雫が落ちているよって言うんだよ」

「はは…ちげえねや」

二人の顔が黄昏の夕日と交差して赤く染まっている。

「でも…やっぱり体は正直よね。言葉に出さなくても…自然と、涙が…」

「ああ…」

「なあ茜。覚えているか?」

「え?」

「この浜辺。この場所。この時間。辛いことがあった時はいつも3人、ここにいたよな」

「ええ。よく覚えているわ。いつもこの夕日を3人で眺めて黄昏てたっけ…」

そう3人は小さいころからいつも一緒で、この大自然の中で強く生きてきた。

「辛くても、悲しくても、時間は止まってくれない。私達は私たちなりに前に進まないとね…」

「ああ。なあ、茜。俺、あいつと約束したんだ。必ず手紙を書くって、離れてたって心は繋がってるからな」

「いいね。友情って」

「いいや。俺たち2人だけじゃない。
3人の友情だろ?」

「そうね」

茜は嬉しそうににっこりと笑った。
しおりを挟む
1 / 3

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

モノの卦慙愧

キャラ文芸 / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:0

警視庁捜査一課復讐隊

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:1

正直、貴方とはさっさと離れたいです。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:25

コンパニオンプランツ

現代文学 / 連載中 24h.ポイント:49pt お気に入り:1

処理中です...