お飾りな伴侶になった過去の自分へ忠告します「お飾りは捨てるな」と

るい

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忠告7.あなたは最高の馬鹿でしょう

 昼に寝て夜も眠れる私は夕食を自室で済まし、またすぐに眠ろうとした。いつものようにすぐに眠りにつけるかと思ったがどこからか聴こえてくる音楽と違和感を覚える人々の声に目は冴えたままだ。

「この曲、なんだったかな」

 弦楽器が響かすメロディーが私の記憶を揺さぶる。少しの間、曲を聴いて記憶を探っているとポンっと閃く。「ダンスパーティーの曲だ」と私は人差し指で天を差し、ひとりクイズ大会の解答者を演じる。

「でも私は呼ばれてないけど?」

 どう見てもこの公爵家でダンスパーティーが開かれているわけだがそんな知らせは一切受けてない。まったく、お飾りも極めるとこまで極めたかと別の感心が私を占めるなか、閉じたカーテンを開ける。

「わあ……完全なるパーティーじゃないか。なにサプライズとか……ないか」

 馬車に乗っていた華やかな人々が建物に向かって歩いてきている。それを私は出窓の縁に座り眺めた。知らされなかったことは別にいい、気にしていない。伯爵の息子だったとしてもこのパーティーには呼ばれていないのだ。ということはどちらの立場でも関係のないパーティーだったと言える、たまたまどこかでやっていたパーティーを私は目にした程度……。

「父上ならスマイルとか言ってそうだ」

 あの呑気な笑みが見たくなった、恋しくなった、寂しくなった。……帰りたくなった。でも私が帰って困るのは分かっているからそっとカーテンを閉じる。
 「もう寝るっ」と不貞腐れたように言ってベッドに倒れ込む。とても紳士じゃないとベッドが音を立てて叱るが無視して目を閉じる。楽器の演奏が耳に届き、眠りを邪魔するがぎゅっと目を閉じてしばらく私は過ごした。


 外の音しか聞こえない静かな私の部屋は完全に眠りについている様子だ。だが、かけ布が突如ガバリと動いた。理由は私が起き上がって口を開いたから。

「私もダンスパーティーに行ってやろう!」

 私はベッドから飛び降り、手短な服を取り出し着替える、幸い服はあるのだ。そして目についたアクセサリーをつけ、髪をさっと編み、鏡を確認する。

「うん、最高。父上譲りの美形だっ」

 鏡に親指を立てた私はバルコニーへ行くと隣のバルコニー、そのまた隣のバルコニーと慎重に渡り歩いていく。自室のとは離れたバルコニーに来た時、私は換気で開いていた窓を見つける。ラッキー、飛び降りなくて済むと私はルンルンで窓をくぐり、室内へ戻ると周りを確認して廊下に出れば一目散にダンスホールへ向かった。




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