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白
白靄
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立ち込める朝の靄は視界を覆い
中庭をいっぱいに満たしていた
珍しく朝の散歩に出た慎也は
何処からか猫の鳴き声を聞く
「中庭に猫?」
鳴き声のする方に走ると
子猫に餌をやる白いうなじが見えた
「猫?」
声をかけると
黒い髪がなびき 少年の顔があらわになる
まるで薬物患者のように白い顔に
薄紅色の頬とくちびる
黒く吸い込まれそうな黒い瞳に
慎也は息を呑む
「あの…」
透き通った声に
慎也は引き戻される
湿った草が朝露を垂らし
靴を濡らした
「君の猫?」
少年は猫に視線を戻し
再び口を開いた
「違う…と思う」
少年の細い指に
額を擦り付ける猫は
実に気持ち良さそうだった
「気持ちよさそうだけど…何で?」
ここはもちろん慎也の家の敷地
しかし少年は小慣れたように
そこにしゃがんでいる
「ここのお屋敷の人?」
「そうだけど」
「いつもこの時間は外に出ないから…いつもこの猫に餌をあげてる…」
「そうなんだ…」
猫を抱え立ち上がった少年は
思いのほか小さく細かった
「ごめんなさい…もう来ないですから」
俯き加減の少年に慎也は微笑んで返す
「いつでもおいで…ここの納屋開けとておくから」
少年は軽く礼をすると
靄の中に消えていった
中庭をいっぱいに満たしていた
珍しく朝の散歩に出た慎也は
何処からか猫の鳴き声を聞く
「中庭に猫?」
鳴き声のする方に走ると
子猫に餌をやる白いうなじが見えた
「猫?」
声をかけると
黒い髪がなびき 少年の顔があらわになる
まるで薬物患者のように白い顔に
薄紅色の頬とくちびる
黒く吸い込まれそうな黒い瞳に
慎也は息を呑む
「あの…」
透き通った声に
慎也は引き戻される
湿った草が朝露を垂らし
靴を濡らした
「君の猫?」
少年は猫に視線を戻し
再び口を開いた
「違う…と思う」
少年の細い指に
額を擦り付ける猫は
実に気持ち良さそうだった
「気持ちよさそうだけど…何で?」
ここはもちろん慎也の家の敷地
しかし少年は小慣れたように
そこにしゃがんでいる
「ここのお屋敷の人?」
「そうだけど」
「いつもこの時間は外に出ないから…いつもこの猫に餌をあげてる…」
「そうなんだ…」
猫を抱え立ち上がった少年は
思いのほか小さく細かった
「ごめんなさい…もう来ないですから」
俯き加減の少年に慎也は微笑んで返す
「いつでもおいで…ここの納屋開けとておくから」
少年は軽く礼をすると
靄の中に消えていった
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