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樽井 奈央 Tarui Nao 悪魔のささやき
第1話
しおりを挟む私の名前は樽井奈央(たるいなお)。
「りょうー、合コン行こうよ~」
「え、いいよ」
「なに?まだ初恋の人を忘れられないって?」
「ち、ちがうよ!」
最近りょうが合コンに付き合ってくれなくてつまんなくなってた。
あ、りょうっていうのは私の女友達。
別に不細工なわけでもないし、私より可愛いってわけでもない。
程よく女の子っぽいのがいい。
合コンに一緒に行って、男子にがっかりはされないけど私が狙ったのを奪えるほどの力もないって感じ?
私は自分で言うのもなんだけど、ルックスは整っている方だと思う。
でも彼氏はいない。
なんで彼氏ができないのかって言われると答えは簡単。
ずっとドキドキしていたいし、ずっとちやほやされてたい。
モテる女であり続けるためには誰かの女になんてなってたまるか!って感じ。
まあ、もしかしたら、私も心のどこかでりょうみたいな恋愛をしたいと思っているのかもしれない。
でも私にはできないし、やっぱり嫌。同じ人を想い続けるなんてシンドイ。
だって、ずっと思い続けて両思いだったらいいけど、最終的にフラれるなんてことがあったらどうするの?嫌。絶対嫌。
それにさみしくない?男っ気がない生活なんて。
いろんな人とラブラブするのは刺激的で好き。
まあ、もちろん、こんなこと言ったらただのクソビッチと思われるから、合コンでは清楚系女子を演じてるけどね。
男はバカだから。すぐダマされるし、私の本性なんてわかるわけない。
ダマす快感ももしかしたら合コンの好きなところなのかもしれない。
結局、合コンにいくしか楽しみがない、だから合コンに行く仲間を探してた。
普通に彼氏ができたら、愛想つかされちゃう時が来ると思うけど、合コンだったら、男子はほとんど毎回違うメンバーだからいちいちちやほやされて気分がいい。
でも今回はどうしようかな……
りょうがいないから……
そうだ、りょうがいないなら年齢詐称できるじゃない。
せっかくのこのチャンスを活かさないわけにはいかない。
高校生だけだとどうも限度がある。
お酒だって飲めるところと年齢確認されるところがある。
でもこれが、大学生とか、社会人とかとだったら??
お酒だってなあーんにも気にすることなく飲めるし、もっと高いお店で食べられたり、奢ってもらえたりするはず!
そう思って私はたくさんの人が集まる夜の街へと出かけた。
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