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アクアマリンの章
1. Ep-15.会話
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炊き出しが終わって数日が経過していた。
あの後、城に戻ったシュネが国王に事故の報告をし。シュネの報告でラザード王は急いで確認を行い遅くなりはしたものの事故現場への査察を行ったらしい。
事故を隠蔽しようとしていた貴族達の多くは王により数ヶ月の謹慎処分を言い渡されている。
今は王直属の騎士達が調査に乗り出しているという話をルゼリアはシュネから聞いている。
コトン、コトンっと織物を織りながらその報告を受けたルゼリアは良かったと安堵した。
殆どの時間を織物を作る事に専念していたルゼリアは漸く出来上がった織物をシュネに渡した。
『シュネ、手紙を書くので商会の方に織物と一緒に渡していただけますか?』
炊き出しの食材を急遽追加した時、ルゼリアはお金を持ってきてはいなかった。
使える金額も限界があって近い内に織物を持ってくるのでその分でなんとかならないかと商会に頼んでいたのだ。
信頼できるシュネが育てている姫と言う事で商会は食材を用意してくれた。
今出来た織物はその代金分の品物でもある。
「わかりました、しかし、姫様…………少しお休みなっては如何ですか?」
寝る時間を削って作っていた為かルゼリアの目の下にはうっすらと隈が出来ている。
『しばらくはゆっくりしますから大丈夫です、シュネこそ僕の無理に付き合ってくれてありがとう』
勿体無いお言葉です、そう言ってシュネはルゼリアに羽ペンと紙を差し出した。
「今から直接持って行ってまいりますね、準備をしてまいりますので、その間にお手紙の方お願いします」
頷いてルゼリアは手紙にあの日の感謝の言葉をつづっていく。
羽ペンを動かしながらルゼリアはふと外へと視線を向けた。あの日最後まで残れなかった事がまだ心の奥でわだかまりになっている。
騎士達からは怪我人の治療は終わった事を聞いてはいるけれど自分の眼で確かめられなかった事を気にしている。
『次の視察の日に色々とお話を聞ければ良いのですが…………』
そう思いながらルゼリアは手紙をつづりそれを封筒に入れた、
ゴソゴソと引き出しを開けて一つの指輪を取り出した。
それは王家の指輪だ、その指輪にはアルヴァーニ王国の家紋が掘り込まれていて印の役割も果たしている。
蝋で封をし指輪の家紋を押し付ければ手紙は完成する。
少しして準備の出来たシュネがやってくるとルゼリアから手紙を受け取り行ってまいりますねと告げて部屋を出て行った。
一人になったルゼリアは目が痛いと思いながらも寝台に近づき座るとそのまま上体だけを横に倒してポフンっと寝台に顔を埋めた。
少しだけ目を閉ざしていよう、そう考えて目を休ませる。
織物の網目を間違わないようにして編むのは難しくて作る織物が大きければ大きい程目に負担が来てしまうものだ。
しばらく目を閉ざしていれば扉がコンコンっとノックされた。
「姫君~、アリシアです、入っても宜しいですか」
目を閉ざして横になっていたルゼリアは身を起すと手首を動かした、鈴の音が響けばアリシアが扉を開けて中に入ってくる。
「あら?姫君おやすみでしたの?」
織物が今出来た所で目が疲れていたのでと言うルゼリアにアリシアは大丈夫ですのっと心配する。
平気ですと頷きながらルゼリアはアリシアを見て首を傾けた。
『アリシア、何か用事でもありましたか?今日はアリシアと会う約束はしてないと思うのですが』
「時間が余りましたので姫君の様子を見にきたんですの。あわよくばお茶でも頂こうかと」
アリシアは臣下ではあるが他の臣下達と違って遠慮がない。
此処にシュネがいれば説教されるであろう事も堂々と言う、時計を見ればアリシアの言うとおりお茶を飲んでいても良い時間でもあった。
『お茶しかありませんが良いのですか?』
「…………お菓子は私が用意して参りますわ、用意して待っていてくださいまし!」
そう言うとアリシアは足早に出て行ってしまった、調理場にでも行くのだろう。
止める事もできず見送ったルゼリアはお茶の用意をしていく、
アリシアが調理場から戻ればいくつもの美味しそうなお菓子が乗った皿を持ってきている。
「手に入れてきましたわ」
『…………どうやって手に入れたのですか?』
「え?料理長をおねだりしてきましたの」
アリシアらしい事だ、ルゼリアは苦笑しながらもアリシアにお茶を振舞っていく。
『アリシア、この後は何かないのですか?』
「騎士団員達と剣の稽古がありますわ、でもまだまだ時間ではありませんし、お茶を飲むぐらい問題ありませんわ」
そう言って早速手に入れたお菓子に手を伸ばしてアリシアは美味しそうに食べていく。
「さ、姫君も食べてくださいまし、自信作ですわよ」
料理長のっと付け加えるアリシアに、まったくとは思いながらもルゼリアはお菓子を一つ手にとって口の中に入れた。
甘い味が口の中に広がっている、アリシアはパクパクとお菓子を食べて美味しいですわねっと楽しげな表情を浮かべている。
頷きながらもルゼリアは殆どお菓子には手をつけなかった、半分程を平らげたアリシアはお茶を飲んで一息つくとさあっと言ってルゼリアを見た。
「私と姫君の女子トークですわよ」
わざわざ言う必要もないのにと苦笑しながらもルゼリアは頷いた。
あの後、城に戻ったシュネが国王に事故の報告をし。シュネの報告でラザード王は急いで確認を行い遅くなりはしたものの事故現場への査察を行ったらしい。
事故を隠蔽しようとしていた貴族達の多くは王により数ヶ月の謹慎処分を言い渡されている。
今は王直属の騎士達が調査に乗り出しているという話をルゼリアはシュネから聞いている。
コトン、コトンっと織物を織りながらその報告を受けたルゼリアは良かったと安堵した。
殆どの時間を織物を作る事に専念していたルゼリアは漸く出来上がった織物をシュネに渡した。
『シュネ、手紙を書くので商会の方に織物と一緒に渡していただけますか?』
炊き出しの食材を急遽追加した時、ルゼリアはお金を持ってきてはいなかった。
使える金額も限界があって近い内に織物を持ってくるのでその分でなんとかならないかと商会に頼んでいたのだ。
信頼できるシュネが育てている姫と言う事で商会は食材を用意してくれた。
今出来た織物はその代金分の品物でもある。
「わかりました、しかし、姫様…………少しお休みなっては如何ですか?」
寝る時間を削って作っていた為かルゼリアの目の下にはうっすらと隈が出来ている。
『しばらくはゆっくりしますから大丈夫です、シュネこそ僕の無理に付き合ってくれてありがとう』
勿体無いお言葉です、そう言ってシュネはルゼリアに羽ペンと紙を差し出した。
「今から直接持って行ってまいりますね、準備をしてまいりますので、その間にお手紙の方お願いします」
頷いてルゼリアは手紙にあの日の感謝の言葉をつづっていく。
羽ペンを動かしながらルゼリアはふと外へと視線を向けた。あの日最後まで残れなかった事がまだ心の奥でわだかまりになっている。
騎士達からは怪我人の治療は終わった事を聞いてはいるけれど自分の眼で確かめられなかった事を気にしている。
『次の視察の日に色々とお話を聞ければ良いのですが…………』
そう思いながらルゼリアは手紙をつづりそれを封筒に入れた、
ゴソゴソと引き出しを開けて一つの指輪を取り出した。
それは王家の指輪だ、その指輪にはアルヴァーニ王国の家紋が掘り込まれていて印の役割も果たしている。
蝋で封をし指輪の家紋を押し付ければ手紙は完成する。
少しして準備の出来たシュネがやってくるとルゼリアから手紙を受け取り行ってまいりますねと告げて部屋を出て行った。
一人になったルゼリアは目が痛いと思いながらも寝台に近づき座るとそのまま上体だけを横に倒してポフンっと寝台に顔を埋めた。
少しだけ目を閉ざしていよう、そう考えて目を休ませる。
織物の網目を間違わないようにして編むのは難しくて作る織物が大きければ大きい程目に負担が来てしまうものだ。
しばらく目を閉ざしていれば扉がコンコンっとノックされた。
「姫君~、アリシアです、入っても宜しいですか」
目を閉ざして横になっていたルゼリアは身を起すと手首を動かした、鈴の音が響けばアリシアが扉を開けて中に入ってくる。
「あら?姫君おやすみでしたの?」
織物が今出来た所で目が疲れていたのでと言うルゼリアにアリシアは大丈夫ですのっと心配する。
平気ですと頷きながらルゼリアはアリシアを見て首を傾けた。
『アリシア、何か用事でもありましたか?今日はアリシアと会う約束はしてないと思うのですが』
「時間が余りましたので姫君の様子を見にきたんですの。あわよくばお茶でも頂こうかと」
アリシアは臣下ではあるが他の臣下達と違って遠慮がない。
此処にシュネがいれば説教されるであろう事も堂々と言う、時計を見ればアリシアの言うとおりお茶を飲んでいても良い時間でもあった。
『お茶しかありませんが良いのですか?』
「…………お菓子は私が用意して参りますわ、用意して待っていてくださいまし!」
そう言うとアリシアは足早に出て行ってしまった、調理場にでも行くのだろう。
止める事もできず見送ったルゼリアはお茶の用意をしていく、
アリシアが調理場から戻ればいくつもの美味しそうなお菓子が乗った皿を持ってきている。
「手に入れてきましたわ」
『…………どうやって手に入れたのですか?』
「え?料理長をおねだりしてきましたの」
アリシアらしい事だ、ルゼリアは苦笑しながらもアリシアにお茶を振舞っていく。
『アリシア、この後は何かないのですか?』
「騎士団員達と剣の稽古がありますわ、でもまだまだ時間ではありませんし、お茶を飲むぐらい問題ありませんわ」
そう言って早速手に入れたお菓子に手を伸ばしてアリシアは美味しそうに食べていく。
「さ、姫君も食べてくださいまし、自信作ですわよ」
料理長のっと付け加えるアリシアに、まったくとは思いながらもルゼリアはお菓子を一つ手にとって口の中に入れた。
甘い味が口の中に広がっている、アリシアはパクパクとお菓子を食べて美味しいですわねっと楽しげな表情を浮かべている。
頷きながらもルゼリアは殆どお菓子には手をつけなかった、半分程を平らげたアリシアはお茶を飲んで一息つくとさあっと言ってルゼリアを見た。
「私と姫君の女子トークですわよ」
わざわざ言う必要もないのにと苦笑しながらもルゼリアは頷いた。
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