感染 死の予兆

仮某子 柑橘

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1話 悪夢の始まり

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 これはある青年達の恐ろしい物語—
語り部は多分この物語の主人公である、
煤木田司が務めさせてもらう。
 まぁ、この話は誰にも語らないつもりでいたのだけれど…

「おい笹木、早くしろよ!」
「だから待てよ煤木田、そう急ぐなよ」
 今日も2人は歩いて私立高校へ行く。
 僕、煤木田司は両親が共働きという事もあって自由奔放に育ってきた。
 そして友達の笹木賢祐は父は漁師で、母は専業主婦であり、これまたこいつも自由奔放に育ってきたようだ。
 2人とも幼なじみであり、ライバルであり、親友でもある。更には家も近い。
 学力はお互い低く、テストで赤点を取ることもよくある事だ。頭脳明晰なんて言葉は僕たちの夢のまた夢なのだ。
「徒歩15分だからって二度寝すんなよ」
「悪ぃ悪ぃ、明日から気をつけるよ♪」
「お前の明日はいつからなんだよ!」
「そういえば明後日から春休みだよな」
「だな、ところで煤木田よ」
???
笹木は突然こう言ってきた。
「来週船に乗って無人島行かねー?」
「はぁ?お前船の免許なんて持ってないだろ?まさか無断で取ったのか?」
「なわけないだろ。親父の漁船に隠れて行くんだ。母ちゃんも旅行に行ってるし。まぁ船についての知識はあるけど」
「なんで無人島なんかに行く必要があるんだよ。」
「親父が漁に行った時、大きな島を見つけたらしいんだけどよ、村らしき場所はあったが誰も住んでる様子がなかったらしい。だからこの目で確かめようや。」
 そんな話、誰も信じるわけないのに、明後日から春休みという事もあって浮かれていたのか僕は了承してしまった。
まさかこの時の約束があんな事件に発展してしまうのか夢にも思わず…
「わかった、行ってみるか」
「来週水曜日にこの町の港に集合な」
「OK、遅刻とかすんなよ」

その日の夜の笹木宅——

 賢祐は父にあの無人島の事について聞いた。賢祐もそれなりに無人島に興味を持っているらしい。明後日父が船を出すため、今のうちに情報収集するらしい。
「親父、本当にその無人島らしき島には誰もいなかったのか?」
「あぁ、炭鉱跡とか村の残骸みたいな場所は山ほどあったんだがよ。何しろ双眼鏡で見たからよくわからねぇよ。それにしても賢祐、なんで無人島なんかに興味を抱いてんだ?」
 ここでこっそりついて行く作戦がバレたらまずいと思ったのか、賢祐はそれなりな理由ぽいことを話した。
「いやまぁ…無人島だったら魚も多いだろうし、漁が捗りそうだろ?俺も将来漁師になりてぇからそれくらい知っておこうと思って…」
「??まぁそれもそうだな。俺は今から漁の準備に取り掛かるからお前は早く寝ろよ。」
「わかった。」
 こうして悪夢のような約束をした日は終わりを迎えた。
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