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序章
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序
「ヘイヘイ、兄さん、私が何言っているか、分かってんのかぁ」
私がそう言いながら、拳銃・カリバーンを取り出した時も、彼らはへらへらと笑って、まだ余裕がある表情だった。その顔を見ると、思わず私も笑いそうになる。
おめでたい奴は、死ぬまでおめでたいものだ。
私は銃の安全装置を解除し、引き金に指をかけた。
「ケイト……」
私の背後にいるイアンが私の肩に手を置いた。肩越しに振り返ると、首を横に振られた。ケッ、知ったことか。
私が早々に引き金を引こうとすると、イアンが喋り出した。私の前にいるチンピラの頭目の若い男にだ。その男はポケットからバタフライナイフを取り出すと、その刃で、私がつきだした拳銃の銃身を撫でていた。耳障りな音がするたびに、私の指が動きそうになる。
「どうやら状況を分かっていないようですが」
イアンが流暢な日本語で言った。
「あなた方は、これから我々の暴力を受けるのです。分かっていますか? それはあなたたちが日頃から行使している、骨が折れるだとか、血が流れるだとか、そういうものではありません。歯が抜かれる、爪が剥がされる、というのは少し近いですが、本質は違う」
「おいおい、外人の兄さん、日本語が達者なのはよく分かったぜ」
チンピラの一人がそう言って、イアンの肩に手を置いた。そして上着をつかむと、グッと自分の体に引き寄せた。
「チャカなんかに、オレたちがビビるかよ、なめんなよ、外人ども。何様だ? あぁ?」
「イアン、もう良いだろう?」
私が言うと、イアンが小さく息を吐いた。
「まぁ、良いでしょう。最終的にはこうなるのですからね」
イアンの手が、そっと自分の上着を掴んでいるチンピラの手を、撫でた。
ぱっと赤い飛沫が飛んだ、と思ったら、床にぽろぽろと太った芋虫のようなものが落ちた。チンピラがそれを見る。
それは男の指だ。
「ゆゆゆゆゆ指っ、指いいいいいいぃぃぃ!」
「じゃあな、兄さんがた」
私は引き金を容赦なく、引き絞った。
チンピラの頭目がナイフを動かすこともできず、眉間に穴をあけられ、がっくりと首を折った。それを見ることもなく、私は次の標的に狙いをつけている。
イアンも拳銃・セブンマイナーを引き抜き、撃ち始める。
その地下のバーに集まっていたチンピラの集団は情報では二十五人。私とイアンの二人で、片端から撃ちぬいていく。
「ハハハッ! こんなに派手なのは久しぶりだぜ!」
私が叫びながら銃を撃つと、イアンがため息を吐いた。
「ケイト、あまり撃ち過ぎないように。今回は、料金が抑え気味だから、弾の数に気をつけて」
「馬鹿言うなよ、イアン! 私は撃てりゃあ、それで良いんだよ!」
チンピラ達は拳銃を持っていなかったので、あっという間に制圧された。私は銃口からの紫煙をふぅっと吹くと、足元に銃を向けた。
「お、お、お、お前ら、な、なにもんだ……」
私の足元には、さっき、イアンに指を切断されたチンピラが倒れている。
私とイアンは視線を交わすと、私はにやりと笑い、イアンは困ったように笑い、
「暴力代行業者だよ」
と言いながら、二人で引き金を引いた。
二度の銃声の後、バーで動いている人間はいなくなった。
私はケイトリン・コード。
ふざけた奴は「銃撃嗜好」などと呼ぶが、ただのガンマンだ。
こうして、人を撃つのが、仕事だ。
「ヘイヘイ、兄さん、私が何言っているか、分かってんのかぁ」
私がそう言いながら、拳銃・カリバーンを取り出した時も、彼らはへらへらと笑って、まだ余裕がある表情だった。その顔を見ると、思わず私も笑いそうになる。
おめでたい奴は、死ぬまでおめでたいものだ。
私は銃の安全装置を解除し、引き金に指をかけた。
「ケイト……」
私の背後にいるイアンが私の肩に手を置いた。肩越しに振り返ると、首を横に振られた。ケッ、知ったことか。
私が早々に引き金を引こうとすると、イアンが喋り出した。私の前にいるチンピラの頭目の若い男にだ。その男はポケットからバタフライナイフを取り出すと、その刃で、私がつきだした拳銃の銃身を撫でていた。耳障りな音がするたびに、私の指が動きそうになる。
「どうやら状況を分かっていないようですが」
イアンが流暢な日本語で言った。
「あなた方は、これから我々の暴力を受けるのです。分かっていますか? それはあなたたちが日頃から行使している、骨が折れるだとか、血が流れるだとか、そういうものではありません。歯が抜かれる、爪が剥がされる、というのは少し近いですが、本質は違う」
「おいおい、外人の兄さん、日本語が達者なのはよく分かったぜ」
チンピラの一人がそう言って、イアンの肩に手を置いた。そして上着をつかむと、グッと自分の体に引き寄せた。
「チャカなんかに、オレたちがビビるかよ、なめんなよ、外人ども。何様だ? あぁ?」
「イアン、もう良いだろう?」
私が言うと、イアンが小さく息を吐いた。
「まぁ、良いでしょう。最終的にはこうなるのですからね」
イアンの手が、そっと自分の上着を掴んでいるチンピラの手を、撫でた。
ぱっと赤い飛沫が飛んだ、と思ったら、床にぽろぽろと太った芋虫のようなものが落ちた。チンピラがそれを見る。
それは男の指だ。
「ゆゆゆゆゆ指っ、指いいいいいいぃぃぃ!」
「じゃあな、兄さんがた」
私は引き金を容赦なく、引き絞った。
チンピラの頭目がナイフを動かすこともできず、眉間に穴をあけられ、がっくりと首を折った。それを見ることもなく、私は次の標的に狙いをつけている。
イアンも拳銃・セブンマイナーを引き抜き、撃ち始める。
その地下のバーに集まっていたチンピラの集団は情報では二十五人。私とイアンの二人で、片端から撃ちぬいていく。
「ハハハッ! こんなに派手なのは久しぶりだぜ!」
私が叫びながら銃を撃つと、イアンがため息を吐いた。
「ケイト、あまり撃ち過ぎないように。今回は、料金が抑え気味だから、弾の数に気をつけて」
「馬鹿言うなよ、イアン! 私は撃てりゃあ、それで良いんだよ!」
チンピラ達は拳銃を持っていなかったので、あっという間に制圧された。私は銃口からの紫煙をふぅっと吹くと、足元に銃を向けた。
「お、お、お、お前ら、な、なにもんだ……」
私の足元には、さっき、イアンに指を切断されたチンピラが倒れている。
私とイアンは視線を交わすと、私はにやりと笑い、イアンは困ったように笑い、
「暴力代行業者だよ」
と言いながら、二人で引き金を引いた。
二度の銃声の後、バーで動いている人間はいなくなった。
私はケイトリン・コード。
ふざけた奴は「銃撃嗜好」などと呼ぶが、ただのガンマンだ。
こうして、人を撃つのが、仕事だ。
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