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本編
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しおりを挟む神の姿を知っている。
薄汚い路地裏で、セシルは神様と出会ったのだ。それは教会で描かれているような姿ではなかったけれど、セシルに唾を吐きかけることもなければ殴ることもなく、知識と生きる術を与えてくれた。
穢れた色とされる黒髪を撫で、汚れた手を握り、抱き締めてくれた人を神様と呼ばずしてなんと呼べばいいのかセシルは知らない。
「かみさま」
そう呼ぶとかみさまは困った顔をして、けれど必ず頭を撫でてくれた。かみさまさえ居てくれればセシルは満足だった。例え、触れられるたびに痛みが与えられようと、かみさまが手を伸ばしてくれるのが嬉しくて堪らなかったのだ。
けれど、かみさまは居なくなってしまった。
その日からセシルは空っぽになった。それでも「幸せになるんだよ」とかみさまが言ったから、セシルは幸せになるために、より一層がむしゃらに頑張った。黒髪のせいで詰られたこともあったが、染める気にはならなかった。かみさまが褒めてくれた色だ。誰が何と言おうと、セシルは自分の色が嫌いではなくなっていた。
俺は穢くない。
誰に蔑まれようが、悪魔と謗られようが、かみさまは認めてくれた。俺は、他人に恥ずべき存在ではない。少なくとも通り掛かりの人間に髪を掴まれようが、言い返せるくらいに逞しくなれたのはかみさまのお陰だった。
「うちの学院で働かないか?」
そうして幸せというものを目指して頑張っていたら、どこで目に留まったのか雇ってくれた。黒髪だということで不安もあったが、強く誘われて学院で教鞭を執ることにしたのだ。
見た目のせいでぶつかる事も多かったが、それを重ねていくうちに学院の人々はセシルを認めてくれるようになった。そうして沢山の人と出会い、セシルは友が出来る喜びを知った。自分が教えた生徒が卒業するときは、柄にもなく目頭が熱くなったものだ。
胸の底には常に寂しさが燻ってはいたけれど、それでもかみさまが与えてくれた人生だ。無駄にすることなど出来なくて、幸せになるために頑張ってきたつもりだった。
けれど、死にいく今、セシルの傍には誰もいない。
何処で間違えたのだろうか、と自問する。幸せになろうとするばかりで、周りの声に耳を傾けるのを疎かにしていたのだろうか。友は去り、妻は死んだ。セシルは独りだ。
死んだら、かみさまに会えるだろうか。あの温かな腕の中に帰ることが出来たらいいなあ、と頬を濡らす涙の感触から必死で目を逸らした。
かみさま。
もう一度だけ、貴方の顔が見たかった。
「おはよう、セシル」
目覚めと共に真上から響いた声に、セシルは裂けんばかりに目を大きく見開いた。それもそうだろう。ずっと会いたくて堪らなかったかみさまが目の前に居るのだから、セシルの驚きは当然のものだった。
あれから結構な年月が経ったというのに、かみさまは出逢った頃と変わりがない。一切の不純物を含まない澄んだ炎のような髪と、真っ黒な瞳が印象的だ。本来、白目である部分は黒く塗り潰され、中心は甘い蜂蜜色だった。背中には二対の黒い翼が、機嫌の良さを表すようにゆったりと揺れている。
かみさまは全身に喜びを滲ませて、目を細めてセシルを見下ろしていた。セシルはどうやらベッドに横たえられているようで、背に柔らかな毛布の感触を感じた。かみさまの向こうには、大理石のようにつるりとした天井が見える。冷静に考えてみたが、ちょっとよくわからない。
しかし、なぜ今さら現れたのか。頭の中は疑問符に埋め尽くされ、セシルは一周できそうなほど首を傾げた。そんなセシルを見て、かみさまは楽しそうに笑っている。
「セシルってば小さいね。出逢った頃くらいかな」
かみさまの大きな手が、セシルの丸みを帯びた頬を包むようにして撫でる。それで気付いたが、セシルは幼くなっていた。路地裏に転がっていた頃と違って、鶏の足のような細さはないが、背丈や声は少年特有のものになっている。それを見たかみさまは、何故か嬉しそうだった。
「魂はね、その人の一番幸せだった時を反映するらしいよ。セシルはこの時が楽しかったんだね。嬉しいな」
「か、かみさま」
「その呼び名も懐かしい」
かみさまの手が、セシルの服を優しく脱がせていく。一枚、一枚と落ちていく衣服を眺めつつ、セシルは混乱でどうにかなりそうな気持ちを奮い立たせた。
「あっ、あの! 俺が死んだから、迎えに来てくれたんですか」
「うん、そうだよ。あいつに先を越されないようにしたから君は地獄に落ちたんだ」
「そう、ですか」
あいつが誰かは知らないが、反射的に頷いてしまう。
かみさまはセシルをチラリと見てから、眉間にぐっと皺を寄せた。
「セシルも天国に行きたかった? ……あいつらと、あの女と同じところに行きたかった?」
友人や妻のことを言っているのだろうか。確かに、彼らに会いたいと想う気持ちが全くないとは言わない。けれど、自分でも薄情だと思うが、セシルはかみさまが目の前に居てくれることで既に満たされていた。
「ううん、かみさまと一緒がいい」
ずっと迎えを待っていた。これが最期の幻だとしても嬉しく思えるほどに、セシルはずっとかみさまに抱き締めて欲しかったのだ。
夢ならと甘えるように頬を擦り寄せると、かみさまはビクリと震えた。その後、蕩けそうなほど甘く微笑む。
「……君は、本当に可愛いな」
かみさまはセシルの髪を梳くと、ちゅっと軽く唇に触れた。路地裏で何度もした触れるだけのキスに懐かしさを覚えて、セシルもかみさまの背に腕を回して必死で応える。そのうち頭がぼんやりとしてして、心地よさに身を委ねた。
「セシルは甘いミルクの匂いがするね」
「……あまり、嗅がないでください……恥ずかしい、です……」
首筋に顔を寄せられて、すんすんと鼻を鳴らされると恥ずかしい。臭くないと思いたいが、万が一そうだったらかみさまに嫌な思いをさせてしまう。セシルは誰に見離されても、もう二度とかみさまにだけは居なくならないで欲しかった。
「嫌だよ、嫌いにならないで」
「セシルのこと嫌いになったことなんて一度もないよ」
だったら何で、かみさまはセシルの傍に居てくれなかったのだろう。どうして早く迎えに来てくれなかったのだろうか。そう詰りたい気持ちはあったが、全ては涙に濡れて音にならない。
「……セシル?」
ぐずぐずと鼻を鳴らすセシルを見て、かみさまは大きく目を見開いた。駄目だ、早く涙を止めなければいけないと思うのに止まらない。面倒だ
と思われて捨てられたくないのに、頬を濡らす量は増えていくばかりだった。
幼くなったのは見た目だけではないのだろうか。目まぐるしく変わる展開への困惑と、かみさまに会えた喜びと、なぜ離れていったのかと悲しむ気持ちが混ざりあって、それら全てが涙として溢れてしまう。
かみさまは「あ……」と掠れた声を漏らすと、眉を垂らして泣きそうな顔をした。
「ごめん。もしかして痛かったかい? おかしいな、もう痛みは感じないはずなんだけど……」
かみさまはセシルを慰めるようにキスを繰り返して、その大きな翼でセシルの身体を包み込んでくれた。セシル、セシル、と。優しく名前を繰り返されると、次第に昂ぶっていた感情も落ち着いていく。
ほぅ、と安堵の息を漏らしてかみさまを見ると、セシルとは対象的に沈みきった顔をしていた。かみさまは辛そうに目を伏せると、セシルの頬をそっと撫でる。
「セシル、俺のお嫁さんになるのは嫌かい? 君が嫌なら……」
かみさまはそこまで言ってから口を噤み、「嫌、なら……」と絞り出すように続けた。
「いや、だとしても……もう二度と、君を誰にも渡したくない」
かみさまの手がセシルの胸を覆うように置かれて、撫で擦るようにして触れた。かみさまの温度のない冷たい掌が触れるたびに、セシルの体は熱くなり快感が引きずり出されていく。かみさまの手は、魔法の手だ。セシルを甘やかして弱くするのは、決まって何時もかみさまだけだった。
「ごめんね、好きなんだ、愛してる」
かみさまの手が、セシルの小さな性器を包み込む。カッと頬が燃えるように熱くなり、バタバタと足を振った。
「セシル、気持ちいい事しかしないから怖がらないで」
「き、汚ないです……かみさまにこんなこと」
「セシルに汚いところなんてないよ。小さくて可愛いね、震えてる」
「ひゃあっ」
陰茎をねっとりとした熱い舌で舐めあげられ、ゾクゾクとした痺れが腰を震わせた。かみさまの手がセシルの性器を包み込み優しく撫でてくれる光景は、気持ちよさと同時に強く罪悪感を刺激してくる。セシルの中でかみさまは神聖で犯してはいけない聖域なのだ。それなのに、こんなことをさせている夢を見るなんて幾ら何でも罰当たりすぎる。
「かみさま、離して、ください……こんなこと駄目です……!」
「嫌だ。ずっとこうしたかったんだ。我慢したんだよ? セシル、お願い。受け入れてよ、セシル、セシル……」
「かみさま……」
かみさまは、遂には泣き出してしまった。かみさまの泣き顔なんて見たのは初めてのことで、セシルは眉を下げる。かみさまに汚いことをさせたくないのは本当だが、拒むせいで泣かせてしまうのは本意ではない。かみさまは笑っている方が良い。
例え夢だとしても、かみさまの瞳から大粒の涙が溢れていく様子にズキズキと胸が痛くなった。
「かみさま」
名前を呼ぶと、かみさまは鼻を鳴らして、涙で潤む瞳をセシルに向けた。その様子に、つい笑ってしまう。
元々、かみさまに触れられるのは好きだ。触れてくれる分、自分が特別な存在になれたかのような気がして胸が熱くなる。
「……笑った顔、可愛い」
ぽつりと呟くように言った言葉がそれだったものだから、セシルは遂に噴き出した。我慢できずに喉を震わせると、かみさまは少しだけホッとしたように目を細めた。
「かみさま、そればっかり」
「だって、セシルは出逢った時から可愛くて、大きくなってもやっぱり可愛くて……。どうしよう可愛く無い時がないよ」
親馬鹿というのは、恐らくかみさまのことだ。完全に欲目が入っている気がする。
「優しくするから、痛くなったら言うんだよ」
「……うん」
「いい子だ」
唇が重ねられて、そっと舌が絡む。その心地よさに目を細めながら、セシルは抵抗を止めて全てをかみさまに委ねることにした。
かみさまはセシルが嫌がることはしない。だからきっと、今回も大丈夫だ。セシルはかみさまを泣かせたくはなかったし、何よりもかみさまを親のように慕っていた。長年生きてきた経験からかみさまがセシルに望んでいる行為を理解はできたが、それを彼が望んでいるのならと力を抜く。
「ん……」
冷たい液体がお尻にかけられて、セシルはふるりと小さく震えた。その後、後孔に微かな異物感を覚えて眉を寄せる。それは始め穴の周りを優しく撫でていただけだったが、次第にセシルの中に押し入ってきた。
「指一本は入るね。苦しくない?」
セシルよりもよっぽど苦しそうな顔をしたかみさまが、そう問いかけてくる。熱を出したみたいに顔を赤くして息を荒くさせるかみさまは、好物を前に手が出せないときの犬を過ぎらせた。それほど切羽詰まった顔をしているのに、かみさまは薄く息を吐いて、セシルの頭を空いた方の手で優しく撫でてくれる。
「うん、大丈夫」
多少の圧迫感はあるが、我慢できる程度だ。かみさまを安心させたくて口元を緩めてみせると、かみさまも柔らかく笑ってくれた。
指を回すようにして中を広げられ、次第に本数も増やされていく。反応を確認しながら執拗に中を弄られて、セシルの精神は割と限界だった。かみさまがいるから甘えが出てくるだけで、精神年齢は高いのでお尻の穴を弄られて喘ぐ自分に中々の辛さを覚える。
「かみさま……もう」
そろそろ許してほしい。じわじわと嬲られているような羞恥に、セシルは息を弾ませてかみさまを見上げた。かみさまのことは好きだが、これ以上は恥ずかしさのあまり死んでしまう。
かみさまは小さく頷くと、はっと熱い息を吐いて剛直をセシルの尻に押し当てた。
「セシル、力を抜いてて」
「……か、かみさま」
かみさまの怒張した昂ぶりを前に、セシルは喉が引き攣るのを感じた。
セシルの腕ほどある赤黒い巨根がそそり勃っている。それは血管が浮かんでいて、凡そセシルが受け入れられるとは思えないほど大きかった。セシルに触れているうちに興奮したのか先走りに濡れて、余計に凶悪さが増している。
え、無理です。
セシルは、ざぁっと血の気が引く感覚を味わった。ふるふると力無く首を横に振るが、かみさまが泣きそうな顔をするのでセシルは途方に暮れる。かみさまの可愛さと、下の物が噛み合わなくて混乱したのだ。
「セシル、セシル」
かみさまは甘えるように擦り寄ってくると、セシルの胸に唇を触れさせた。そうして赤ん坊のように吸い付いてくる。
「んっ、んん……」
恥ずかしいけれど、かみさまが頬を赤くして吸い付いてくるのは何だか可愛かった。与えられることしかなかった自分でも、かみさまに差し出せているような気がして微かに頬が緩む。
「ん、ふふっ……かみさま、かわいい……」
伸ばした手でそっと頭を撫でると、かみさまは苦しそうに眉を寄せたまま強請るようにお尻の入り口に昂ぶりを擦り付けてきた。肌が焼けそうなほどに熱い塊が、ぬちゃぬちゃと音を立てながら慎ましやかに閉じた蕾に触れる。先端が穴の縁に引っ掛けられて、亀頭がぐりぐりと浅い部分を抉った。けれど、それ以上は進むことは無い。
「欲しいよっ、お願い……俺のものにさせて」
自分の許しを待っているのだ。そう思い至った時、セシルはどうしようもないほどの愛おしさに身が焼かれるかと思った。今の小さなセシルを無理にでも押さえつけて犯すことは容易いだろう。それでも、かみさまはセシルの言葉を待ってくれている。
幾度となく重なる唇の感触に、セシルは吐息を漏らした。かみさまは何処を触ればセシルが気持ち良くなるのか、全てを知っているみたいだ。鎖骨から顎のラインを舌先でなぞられて、つんっと慎ましやかに存在を主張する胸の尖りを摘ままれるだけでセシルの体は熱くなる。びくんと小さく肩を跳ねさせると、神様の冷たい手が宥めるように太腿を撫でた。
「セシル……っ」
かみさまの荒く熱い吐息が鼻先を撫でた。そうして降ってくるキスを受け入れながら、セシルは覚悟を決めた。かみさまの夢を見て死ねるなら幸せなことだと自分を慰めてから、少しでも受け入れられるように足を大きく広げる。
「俺も、かみさまと一つになりたい」
何処にも行かないように、一つになってしまいたい。このまま、ずっと夢を見ていられたらいいなと思うほどに、セシルはかみさまが大好きだった。
かみさまは苦しそうに眉間に皺を刻むと、熱い息を吐いた。そうして、ゆっくりと腰を沈めてくる。
「ごめん、痛いよね。ごめんね、好きだよ」
「……ッぐ」
体を真っ二つに裂いてしまいそうなほどの質量に、呻き声を上げて顎を反らす。じわりと眦が熱くなり、視界が滲んだのが分かった。
限界まで開かれた穴が痛くて、ピリピリとした刺激に眉を寄せる。相手がかみさまで無ければ殴り飛ばしてでも抜きたいくらいだが、ポロポロと涙を溢すかみさまを前にしたらセシルに抵抗なんて出来るはずもなかった。強張っていた体から力を抜いて、かみさまの冷たい頬に手を伸ばす。
「セシル、セシル」
「大丈夫っ、だから、泣かないで……」
その言葉しか知らないみたいに、かみさまはセシルの名を繰り返して縋るように抱き締めてくる。ゆっくりと、けれど確実に熱量はセシルの中を犯していく。小刻みに腰を揺らしながら進められ、遂にはズプンと根本まで飲み込んだ。
セシルは獣のように息を弾ませながらも、かみさまの背に腕を回してしがみついた。腹が燃えるように熱くて、まるで炎を丸ごと飲み込んだみたいに苦しかった。
「頑張ったね、全部入ったよ」
かみさまは辛そうに眉を寄せながら、セシルの額に唇を触れさせてくれる。そこから、ふわりとした柔らかな熱が広がっていくようで、セシルは安堵からほぅっと息をついた。
「馴染むまで、こうしていようね」
「ん……かみさま」
少しの隙間もなく肌を合わせる心地よさに目を細めて、セシルはかみさまの胸に擦り寄った。そうして、ちろりと舌を出してキスを強請る。路地裏にいた頃、キスして欲しいときはこうしていた。それを思い出したからだったのだが、かみさまは眉間に皺を寄せて苦しそうな顔をした。
「セシル……我慢してるんだから、あんまり煽んないで」
「……ごめん、なさい。でも、俺、かみさまとのキス好きだからしたいです……」
最期の夢なら、好きなだけ甘えたかった。けれど、夢とはいえかみさまが嫌がることはしたくない。セシルは眉を垂らして、涙が込み上げてきそうになるのを堪えた。
「迷惑ですか……?」
遠い過去に縋って、神聖なかみさまとこんなことする夢を見るなんてセシルは地獄に落ちたって仕方がないような気がした。けれど、かみさまは首を横に振る。
「……そんなわけないだろ。俺も、セシルとのキスは好きだよ」
優しく唇が重ねられて、伺いを立てるようにそっと舐められる。セシルが薄く唇を開けると差し込まれた舌が上顎を擽った。ゾクゾクとした痺れを覚えて、かみさまの背に爪を立てる。かみさまの人とは違う瞳が、それでも確かに笑んだのが分かった。それだけでセシルの胸はいっぱいになる。
「セシルは昔からキスが好きだね。嬉しいよ」
「ん……うん、すき。かみさま、だいすき」
子どもになったせいで舌が小さくなったのか、上手く絡められない。代わりに懐くようにちろちろと舌を擦り寄せると、かみさまは上体を倒してきた。貪るように口内を舐め回されて、セシルは息継ぎが出来なくなる。
「ふっ……ぁ、ん……」
鼻から抜ける甘ったるい声が気持ち悪いが、かみさまが瞳を細めたのでセシルも嬉しくなった。かみさま、と繰り返し名を呼べば、かみさまは眉間に皺を寄せた。そうして、押し潰すように抱き締めたまま、かみさまは我慢できないとばかりに腰を揺らし始める。ぐっ、ぐっ、と腰を押し付けられセシルは小さく呻いた。
「セシルのお尻、きつくて気持ちいいよ……っ」
ぱんっ、と肌同士がぶつかる音がして、中をかみさまのもので遠慮なく抉られる。太くて熱い剛直が中を隈なく刺激して、粘着質な厭らしい音を立てて出入りするのが分かる。
「ひぐっ!? あ゛っ、ぃぎ……っ」
行き止まりを強く押し上げられて、凄まじいまでの圧迫感と痛みに喘ぐ。内臓が焼かれているようだ。息苦しさにはくはくと唇を震わせると、かみさまは焦ったように腰を引いた。
「っ、ごめんね、痛かったね。優しく突いてあげるから泣かないで」
とんとんと奥をノックするように揺さぶられて、痛いばかりだった抽送が徐々に快感を引き出し始めた。かみさまの太い性器がセシルの中を暴くように、隈なく愛撫してくる。熱い剛直で粘膜を擦られるたびに、腰の奥から甘い疼きが湧き出てきた。
「あっ……や、ぁ、あんっ、ん」
「セシル、いい子だね。気持ちいいね」
「あっ!」
ぱちゅんっ、と水音を響かせながら腰を叩きつけられて、セシルの小さな性器はフルリと震えた。腰を掴まれたまま優しく奥を叩かれるたびに、セシルは顎を反らして快感に啼くことしか出来なくなってしまう。かみさまの冷たい手が触れる場所が、どこもかしこも気持ちが良くてセシルは眉を下げた。もっと、もっと、かみさまに触ってほしい。
「んっ、俺もそろそろイきそう……」
「あっ、ひぁっ、ンん、ふぁっ」
腰を持ち上げられて、真上から叩きつけるように腰を押し付けられる。律動が激しくなり、じゅぽじゅぽと先走りで濡れた後孔が厭らしい音を立てる。耳からも視界からも犯されているみたいで、セシルは羞恥に肌を赤く染めた。
「はぅぅぅ……っ」
最奥を穿たれて、脳天を快感が打ち抜いた。性器の先端が火をつけられたように熱くなり、かみさまの腹を白く汚す。
達するときにお尻が締まったのか、かみさまは短く息を詰めた。どぷっと熱い精液が迸り、腹の奥で性器が跳ねる感覚を味わう。かみさまの熱に目を細めながら、セシルはとろんと表情を甘く蕩けさせてかみさまを見上げた。
「はぁっ……はぁ……セシル、かわいい、かわいいね」
かみさまは満足そうに息を吐き出すと、もう一度セシルの腰を掴んでゆっくりと揺らし始めた。中のものは既に硬さを取り戻し、敏感になったセシルの中を遠慮なく擦りあげる。
「あっ!あっ!やぁっ、俺、イッたばっか……ひぅっ」
「一回なんかじゃ足りないよ。もっとほしい。セシル、離れていた分いっぱいしよう」
セシルはその日、夢ではないと思い知るまで幾度となく熱い精液を小さな腹で受け止める羽目になった。
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