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ふたり
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「お前の髪も瞳も、本当はこんなに綺麗な色だったんだな……」
アルは、空色に澄んだリューネの瞳をじっと見つめながら、絹のように細いピンクブロンドの髪の一房を、そっと指先で弄ぶ。
静まり返ったアトリエの一室。二人は、先程まで居た貴賓室から転移してきたばかり。
柔らかな光が差し込む部屋のソファで、ぴたりと身体を寄せ合い座っている。
「市井に降りる時は目立たないように魔導士様に髪や瞳の色を変えてもらってたの。アルさんは灰色に変えてもらった僕しか知らないものね」
「そうだな。まあ、どっちでもお前が可愛いのは変わんねぇけど」
「可愛いって言ってもらっちゃった。ふふっ……」
リューネは嬉しそうに微笑むと、わずかに身を乗り出し、そっとアルの唇にキスを落とした。
その瞳が潤むように輝いているのを見て、アルも自然と笑みをこぼす。
「この髪に編み込まれているリボン、俺の瞳の色だよな。お前があの貴賓室に現れた瞬間、ほんとに嬉しかった。ようやくお前を手に入れられるって実感したんだ」
そう言って、アルは弄んでいたリューネの髪に唇をそっと寄せる。その瞳には、深く、あたたかな愛情が色濃く宿っていた。
「僕ね、アルさんが待ってくれてる貴賓室へ向かう直前まで婚約者様のこと何も知らなかったの。まさかアルさんだったなんて想像もしてなくて……。本当に、苦しかった。毎日アルさんのことばかり考えていたの。ずっと……会いたかった……」
リューネの声がわずかに震える。言葉の途切れたその瞬間、堪えきれずにアルの胸にぎゅっと身を寄せた。
「俺も、あの日別れてからお前のことばかり考えてた。どうすれば、もう一度この腕に抱きしめられるか、正式な形で迎えられるかってそれだけを、ずっと」
アルは、そっとリューネの背中に腕をまわしながら、静かに言葉を継いだ。
「クスラウド王国の第五王子であるお前の存在が随分と秘匿されていてな……。俺がただ婚約を申し込んだところですんなり受け入れてもらえるとは思えなかった。だから、襲撃の黒幕を暴き、お前の国の魔導士育成や経済改革の交渉を進めて、色々なものを手土産にした分時間がかかちまった」
アルは、苦笑まじりに言う。
リューネはアルの言葉に耳を傾けながらも”黒幕”の言葉に反応し、思わず彼の腕を握る。
「黒幕?怪我とかしていない?大丈夫だった?」
心配そうに顔を覗き込みながら、リューネは不安げにアルステルスを見つめた。
アルステルスは彼の額にそっとキスを落とし、安心させるように微笑む。
「大丈夫だ。かすり傷一つ負っていない。なんなら、この服を全部脱いで、お前に確認してもらっても構わないけど?」
悪戯っぽく囁くアルステルスに、リューネは瞬く間に顔を赤く染め、言葉を詰まらせる。
「どうした?一緒に風呂入ってる仲なのに照れてんの?」
「だ…だって…あの時は……」
「あの時は?」
「……アルさんのいじわる……」
くるりと背を向け、近くの柔らかなクッションに顔を埋めるリューネ。そんな様子に、アルステルスは小さく笑いを漏らす。
「悪かった、もうからかわないから。ほら……こいよ」
両手を広げて待つと、ぽすん、と心地よい衝撃が胸に伝わった。腕の中に戻ってきたリューネの顔は見えないが、耳まで赤く染まっているのがわかる。
可愛い。
幸せな温もりを感じながら、しばし静かに寄り添っていると、突如として空間に異様な魔力の波動が走る。
「うっわぁ、何これ、強力な結界が張り巡らされてる……」
デュラテスだ。
「お前勝手に入ってくんな…」
アルがため息混じりに言葉を投げかける。アルに抱き着いたままのリューネは、ぽかんとした表情で二人を交互に見比べている。
「俺にはこんな結界意味ないけどね――――っと、君がアルの想い人ちゃん?初めまして、俺はアルの双子の兄のデュラテス。気軽にテスって呼んでね」
デュラテスは瞬間移動でもしたかのような素早さでソファの前に現れ、流れるような動きでリューネの手の甲に軽く口づけた。バチンとウインクが炸裂し、リューネの澄んだ瞳を捉える。
リューネはあまりにも唐突な出来事に瞳を大きく見開き、言葉を失ったままだ。
無理もない。デュラテスは顔も声もアルとそっくりで、唯一の違いといえば、高位の魔導士っぽいという理由だけで伸ばし続けている長く美しい黒髪位。
「軽々しくリューネに触んな。汚れる」
「リューネちゃんて名前なんだね、見た目も可愛いけど名前も可愛いね。超俺好み」
アルの放った氷の矢が空を裂いて飛んでくるが、デュラテスは指先を軽くひと振りし、まるでハエでも払うかのようにそれを霧散させた。
「はいはい、ほんとごめんね。二人の甘い時間に割り込むのはとーっても心苦しいんだけど――アル、忘れてないよね?クスラウドの魔導士たちとの会議」
「…………やっべ」
アルステルスの表情に、明らかに焦燥の色が走る。
「だろうね! ごめんね、リューネちゃん。こいつ、自分で提案しておいてこの始末。だから迎えに来たんだ。レステュユルニ殿、ご立腹だよ? 婚約破談になっても知らないよ?」
そう言って、デュラテスは人懐こく笑い、もう一度ウインクを送る。
「……でも、もし婚約破談とかになったらさ。安心して。僕が代わりに貰ってあげるから」
「……んなことさせるかよ」
アルがリューネをそっと抱き寄せ、額に軽く唇を触れさせたあと、柔らかく微笑んだ。
「悪いな、リューネ。一度、城に戻る。また今夜――迎えに行く」
その言葉と共に、アルはリューネを抱えたまま転移の魔法を発動した。
「やれやれ、全く手のかかる……」
デュラテスも会議に参加するべく、瞬時に転移を行った。
アルは、空色に澄んだリューネの瞳をじっと見つめながら、絹のように細いピンクブロンドの髪の一房を、そっと指先で弄ぶ。
静まり返ったアトリエの一室。二人は、先程まで居た貴賓室から転移してきたばかり。
柔らかな光が差し込む部屋のソファで、ぴたりと身体を寄せ合い座っている。
「市井に降りる時は目立たないように魔導士様に髪や瞳の色を変えてもらってたの。アルさんは灰色に変えてもらった僕しか知らないものね」
「そうだな。まあ、どっちでもお前が可愛いのは変わんねぇけど」
「可愛いって言ってもらっちゃった。ふふっ……」
リューネは嬉しそうに微笑むと、わずかに身を乗り出し、そっとアルの唇にキスを落とした。
その瞳が潤むように輝いているのを見て、アルも自然と笑みをこぼす。
「この髪に編み込まれているリボン、俺の瞳の色だよな。お前があの貴賓室に現れた瞬間、ほんとに嬉しかった。ようやくお前を手に入れられるって実感したんだ」
そう言って、アルは弄んでいたリューネの髪に唇をそっと寄せる。その瞳には、深く、あたたかな愛情が色濃く宿っていた。
「僕ね、アルさんが待ってくれてる貴賓室へ向かう直前まで婚約者様のこと何も知らなかったの。まさかアルさんだったなんて想像もしてなくて……。本当に、苦しかった。毎日アルさんのことばかり考えていたの。ずっと……会いたかった……」
リューネの声がわずかに震える。言葉の途切れたその瞬間、堪えきれずにアルの胸にぎゅっと身を寄せた。
「俺も、あの日別れてからお前のことばかり考えてた。どうすれば、もう一度この腕に抱きしめられるか、正式な形で迎えられるかってそれだけを、ずっと」
アルは、そっとリューネの背中に腕をまわしながら、静かに言葉を継いだ。
「クスラウド王国の第五王子であるお前の存在が随分と秘匿されていてな……。俺がただ婚約を申し込んだところですんなり受け入れてもらえるとは思えなかった。だから、襲撃の黒幕を暴き、お前の国の魔導士育成や経済改革の交渉を進めて、色々なものを手土産にした分時間がかかちまった」
アルは、苦笑まじりに言う。
リューネはアルの言葉に耳を傾けながらも”黒幕”の言葉に反応し、思わず彼の腕を握る。
「黒幕?怪我とかしていない?大丈夫だった?」
心配そうに顔を覗き込みながら、リューネは不安げにアルステルスを見つめた。
アルステルスは彼の額にそっとキスを落とし、安心させるように微笑む。
「大丈夫だ。かすり傷一つ負っていない。なんなら、この服を全部脱いで、お前に確認してもらっても構わないけど?」
悪戯っぽく囁くアルステルスに、リューネは瞬く間に顔を赤く染め、言葉を詰まらせる。
「どうした?一緒に風呂入ってる仲なのに照れてんの?」
「だ…だって…あの時は……」
「あの時は?」
「……アルさんのいじわる……」
くるりと背を向け、近くの柔らかなクッションに顔を埋めるリューネ。そんな様子に、アルステルスは小さく笑いを漏らす。
「悪かった、もうからかわないから。ほら……こいよ」
両手を広げて待つと、ぽすん、と心地よい衝撃が胸に伝わった。腕の中に戻ってきたリューネの顔は見えないが、耳まで赤く染まっているのがわかる。
可愛い。
幸せな温もりを感じながら、しばし静かに寄り添っていると、突如として空間に異様な魔力の波動が走る。
「うっわぁ、何これ、強力な結界が張り巡らされてる……」
デュラテスだ。
「お前勝手に入ってくんな…」
アルがため息混じりに言葉を投げかける。アルに抱き着いたままのリューネは、ぽかんとした表情で二人を交互に見比べている。
「俺にはこんな結界意味ないけどね――――っと、君がアルの想い人ちゃん?初めまして、俺はアルの双子の兄のデュラテス。気軽にテスって呼んでね」
デュラテスは瞬間移動でもしたかのような素早さでソファの前に現れ、流れるような動きでリューネの手の甲に軽く口づけた。バチンとウインクが炸裂し、リューネの澄んだ瞳を捉える。
リューネはあまりにも唐突な出来事に瞳を大きく見開き、言葉を失ったままだ。
無理もない。デュラテスは顔も声もアルとそっくりで、唯一の違いといえば、高位の魔導士っぽいという理由だけで伸ばし続けている長く美しい黒髪位。
「軽々しくリューネに触んな。汚れる」
「リューネちゃんて名前なんだね、見た目も可愛いけど名前も可愛いね。超俺好み」
アルの放った氷の矢が空を裂いて飛んでくるが、デュラテスは指先を軽くひと振りし、まるでハエでも払うかのようにそれを霧散させた。
「はいはい、ほんとごめんね。二人の甘い時間に割り込むのはとーっても心苦しいんだけど――アル、忘れてないよね?クスラウドの魔導士たちとの会議」
「…………やっべ」
アルステルスの表情に、明らかに焦燥の色が走る。
「だろうね! ごめんね、リューネちゃん。こいつ、自分で提案しておいてこの始末。だから迎えに来たんだ。レステュユルニ殿、ご立腹だよ? 婚約破談になっても知らないよ?」
そう言って、デュラテスは人懐こく笑い、もう一度ウインクを送る。
「……でも、もし婚約破談とかになったらさ。安心して。僕が代わりに貰ってあげるから」
「……んなことさせるかよ」
アルがリューネをそっと抱き寄せ、額に軽く唇を触れさせたあと、柔らかく微笑んだ。
「悪いな、リューネ。一度、城に戻る。また今夜――迎えに行く」
その言葉と共に、アルはリューネを抱えたまま転移の魔法を発動した。
「やれやれ、全く手のかかる……」
デュラテスも会議に参加するべく、瞬時に転移を行った。
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