爆走☆UMADORU

こおえい

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第4章

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 暴走する馬たちを前に、学園の訓練生たちはなす術もなく立ちすくんでいた。しかし、玲司れいじごう琴音ことね、そして里央りおは違った。彼らは訓練の成果を発揮し、それぞれの担当馬を落ち着かせようと懸命だった。
「シュンライ、力を貸してくれ!」
 玲司れいじが俺の首筋を叩き、馬房から脱出するよう促した。俺は躊躇なく馬房の扉を蹴破り、外へ飛び出した。ラセツとユキナも俺に続いた。
 暴走している馬たちは、まるで何かに取り憑かれたかのように目を血走らせ、破壊の限りを尽くしていた。その中には、先日暴走した鹿毛の馬だけでなく、見覚えのない馬も混じっていた。
「あの馬たち、みんな怯えてるだけじゃない!何か強い『意思』に操られてるみたいだ!」
 ユキが真剣な声で叫んだ。馬になってから、ユキは動物の感情をより敏感に感じ取れるようになったらしい。
「このままじゃ、学園がめちゃくちゃになる!」
 ラセツが咆哮する。その時、玲司が俺の背に飛び乗った。
「シュンライ!頼む、彼らを止める手助けをしてくれ!」
 玲司れいじの真剣な瞳に、俺は迷いなく頷いた。馬の姿でも、俺は玲司れいじの力になりたかった。
 俺たちは暴走する馬たちを追いかけ、協力してその勢いを止めようとした。玲司れいじは卓越した手綱さばきで俺を操り、暴走する馬の動きを誘導する。ごうはラセツと共に、力任せに暴れる馬たちを体当たりで押さえつけ、琴音ことねはユキと共に、優しい声で馬たちを落ち着かせようと試みた。
 そして、ひときわ目を引いたのは、望月里央もちづき りおだった。彼女は、まるで風のようにしなやかに馬たちの中を駆け抜け、的確な指示と動きで暴走する馬たちをコントロールしていく。その姿は、まさしく「騎手」そのものだった。
里央りお先輩、かっこいい……!」
 ユキの感動したような馬語が聞こえる。里央りおの行動に、ユキの琴音ことねへの百合的感情が、里央りおへの憧れへと完全にシフトした瞬間だった。

 そんな中、俺たちの目の前に、不気味な黒い影が立ちはだかった。
「そこまでだ、小僧ども」
 低い声が響く。そこにいたのは、学園の副理事長だった。彼の背後には、数人の男たちが控えている。
「この学園の馬たちは、我々の新しいビジネスの道具になってもらう。多少の犠牲は、必要なことだ」
 副理事長は冷酷な目で言い放った。彼の言葉に、俺は戦慄した。まさか、学園の人間が、こんなことを……!
「貴様!」
 玲司れいじが怒りに震え、副理事長を睨みつけた。
「卑劣な真似はよせ!馬たちは、道具じゃない!」
「黙れ、神岡かみおか。お前のような理想論者が、この学園の足を引っ張っているのだ」
 副理事長はそう言い放つと、懐から取り出した小型の装置を操作した。すると、暴走していた馬たちの興奮がさらに高まり、瞳が完全に血走った。
「これは……馬の神経に直接作用する装置か!?」
 里央りおが表情を凍らせた。どうやら、馬たちの暴走は、この装置によるものだったらしい。
「てめぇ、ふざけやがって!」
 ラセツが怒りのあまり、副理事長に突進しようとする。だが、副理事長の部下たちが放った電流のようなもので、ラセツは身動きが取れなくなった。
 絶体絶命の状況。しかし、その時、ユキが突如として咆哮した。
「許さない……!琴音ことね様や、里央りお先輩を傷つける者など、絶対に!」
 ユキの全身から、白い光が溢れ出した。その光は、暴走する他の馬たちにも波及し、彼らの瞳の血走りが薄れていく。
「な、なんだと!?」
 副理事長が驚愕の声を上げた。ユキの力は、馬たちの「怒り」や「恐怖」を鎮め、本来の「心」を取り戻させようとしているようだった。
「我々、転生馬は……あなたたちの都合の良い道具じゃない!」
 シュンライも叫んだ。俺たち転生馬は、人間だった頃の記憶と感情を持つ。馬たちの心を、道具のように扱う副理事長の行為が許せなかった。
 玲司れいじも、ごうも、琴音ことねも、里央りおも、それぞれの馬たちと共に、副理事長とその部下たちに立ち向かった。馬の姿でも、人間としての誇りを胸に。
「私たち馬は、あなたたちの勝手な思惑に、決して従わない!」
 俺の叫びは、玲司れいじには届かない。だが、俺たちの心の叫びは、確かに通じ合っていた。
 この学園を、そして大切な仲間たちを守るため。俺たち転生馬と、彼らを信じる人間たちの、命を懸けた戦いが今、始まろうとしていた。
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