ハズレ職〈召喚士〉がS級万能職に化けました〜無能と蔑まれた俺、伝説の召喚獣達に懐かれ力が覚醒したので世界最強です~

ヒツキノドカ

文字の大きさ
47 / 82

支部長➁

しおりを挟む
 『コンフィルの実』は食べた者の魔力を高めるアイテムだ。しかし中毒性が高く、食べた人間の理性を破壊する。

 裏社会では高値で取引されていると聞くが……よりによって支部長がそんなものを私兵を作るために使っていたなんて。

 洒落にならないぞ、これ。
 野次馬たちにも動揺が広がり、『やばいんじゃないのか、これ……』『誰か衛兵呼んでこい!』と騒ぎになる。

 だがもはや周りのことは気にならないようで、支部長はニタニタと笑みを浮かべる。

「<召喚士>ごときが支部長である私に歯向かうなんて、あってはならないんですよぉ……ほら、謝りなさい、ロイ君? 今なら靴でも舐めれば許してあげますよ?」

 ……こいつも薬やってるんじゃないだろうな。

「あんたに謝る理由はないな」
「――ッ、いいでしょう。では両足の骨を折って、無理矢理這いつくばらせてあげますよぉ! いきなさい、お前たち!」
「「ウガァアアアアアアアアアアッ!」」

 中毒者二人が獣のように突っ込んでくる。

 速い!
 振り下ろされた拳を回避すると、中毒者の拳は石畳の地面をあっさりと破壊した。

 なんだこの怪力!? どこまで強化されてるんだ!

「ふっ!」
「ガアッ……」

 中毒者二人に反撃を見舞う。
 しかし、まるでダメージを感じていないように怯みもしない。痛覚までなくなってるのか。

「……これはきついな」

 殴っても気絶しないんじゃどうしようもない。まさか殺すわけにもいかないし。

 【幻惑粉】のスキルを使っても、この興奮状態じゃうまく作用するか怪しい。
 シルやイオナがいないのも不利である理由の一つだ。イオナがいればもっと楽になっただろうに。

「ほらほらぁ! どうしたんですか、ロイ君! 何もできないんですかぁ!? やっぱりあなたはゴミなんですよぉおおお!」

 安全圏から支部長が叫んでいる。
 あの男、絶対に後で殴る……!

「「ガアアアアアアアアアアアアアア!」」

 中毒者たちが再度突っ込んできて、


「【茨拘束ソーンバインド】」


 突如として地面を突き破って生えた茨に、その体を拘束された。
 茨はよほど頑丈なようで、中毒者たちは完全に動けなくなっているようだった。

「な、なんですかこれはぁ!?」

 支部長が絶叫する。
 そんな中、冷え切った声が響く。

「――ロイ様を侮辱しないでください」

 セフィラが怒っていた。
 俺のために。

「これ、セフィラがやったのか?」
「……すみません。勝手な真似を」
「いや、助かった。ありがとう」

 エルフは魔術が得意と聞いていたが、ここまで強力な魔術を一瞬で使えるのはすごいことだ。

「これは何事だ!?」

 ここで衛兵がやってきた。
 支部長が我に返ったように顔を青くする。

「あなたは……冒険者ギルドの支部長だな。何があったか説明してもらえるか?」
「ち、違います。私は何も悪いことなどしていません」
「ほう? この状況を見るに、とてもそうは思えないが?」

 衛兵は通報の際にある程度情報を聞いているのか、すでにだいたいの事情を察しているようだった。
 支部長をゴミを見るような目で見ている。

「冒険者ギルド支部長を、あなたを拘束させていただきます。状況の説明と、そこの薬物中毒者二人のことも明かして頂くまで帰せませんのでそのつもりで」
「い、嫌だ! 嫌だあああっ……」

 支部長は衛兵たちに連行されていく。

「ロイ! ロイぃいいいいいいっ! お前だけは……お前だけは絶対に許さないぞ! 今に後悔させてやるううううううう!」

 連行される間際、支部長が俺を憎悪に燃える瞳で睨みそう叫んだ。
 この期に及んでまだ自分が悪いと認めないつもりか?
 どうしようもないな。

 衛兵のうち一人が俺たちのほうにもやってくる。

「悪いけど、君たちも簡単に事情を聞かせてもらえるかな? ああ、もちろん君たちが被害者だということはわかってるから安心してほしい」

 俺は衛兵に事情を説明した。
 もちろんセフィラのことは伏せてだ。

 支部長は衛兵に尋問されてセフィラが元奴隷だと話すかもしれないが、何の証拠もない以上はただのホラだと判断されるだろうし。

「そうか、災難だったな。情報提供感謝する」

 衛兵はそう告げて去っていった。
 俺たちも帰るか。
 そう思って振り返ると、セフィラが顔を暗くしている。

「……」
「セフィラ、どうした?」
「……ロイ様、私が元奴隷だったことを、衛兵の方に言いませんでしたね」
「言ったら捕まるからな」
「ですが……もしバレたら、ロイ様が罪に問われてしまうんですよね」

 セフィラが声を震わせている。
 俺に迷惑をかけることが申し訳ないと思っているようだ。

 俺はセフィラの頭に手をやり、優しく撫でた。

「あ……」
「お前の面倒を見ると決めたのは俺だ。心配いらない。お前のことはちゃんと俺が最後まで守る」

 セフィラは俺に頭を撫でられたまま動きを止めてしまう。

「……すまん、もしかして嫌だったか?」

 シルとかイオナにやっているうちに変な癖がついてしまったかもしれない。
 セフィラはぶんぶんと勢いよく首を横に振った。

「そんなことありません! ……すごく、安心します」
「そ、そうか」
「もう、撫でてくれませんか?」

 セフィラが寂しそうに告げてくる。俺は思わず視線を逸らした。

「……反則だろ」
「はい?」
「何でもない」

 俺はセフィラが満足するまで頭を撫でた。

 このエルフ……自分が凄まじい美少女だって自覚がないのか!?
 あんなねだるようなことを言われたら、男なら誰でもドキドキするだろ!
しおりを挟む
感想 41

あなたにおすすめの小説

追放された最強ヒーラーは、美少女令嬢たちとハーレム生活を送る ~公爵令嬢も義妹も幼馴染も俺のことを大好きらしいので一緒の風呂に入ります~

軽井広@北欧美少女 書籍化!
ファンタジー
白魔道師のクリスは、宮廷魔導師団の副団長として、王国の戦争での勝利に貢献してきた。だが、国王の非道な行いに批判的なクリスは、反逆の疑いをかけられ宮廷を追放されてしまう。 そんなクリスに与えられた国からの新たな命令は、逃亡した美少女公爵令嬢を捕らえ、処刑することだった。彼女は敵国との内通を疑われ、王太子との婚約を破棄されていた。だが、無実を訴える公爵令嬢のことを信じ、彼女を助けることに決めるクリス。 クリスは国のためではなく、自分のため、そして自分を頼る少女のために、自らの力を使うことにした。やがて、同じような境遇の少女たちを助け、クリスは彼女たちと暮らすことになる。 一方、クリスのいなくなった王国軍は、隣国との戦争に負けはじめた……。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

どたぬき
ファンタジー
 ある日乗っていた飛行機が事故にあり、死んだはずの井原は名もない世界に神によって召喚された。現代を生きていた井原は、そこで神に”ダンジョンマスター”になって欲しいと懇願された。自身も建物を建てたい思いもあり、二つ返事で頷いた…。そんなダンジョンマスターの”はじまお”本編とは全くテイストの違う”普通のダンジョンマスター物”です。タグは書いていくうちに足していきます。  なろうさんに、これの本編である”はじまりのまおう”があります。そちらも一緒にご覧ください。こちらもあちらも、一日一話を目標に書いています。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?

桜井正宗
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」  その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。  影響するステータスは『運』。  聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。  第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。  すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。  より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!  真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。 【簡単な流れ】 勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ 【原題】 『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』

デバフ専門の支援術師は勇者パーティを追放されたので、呪いのアイテム専門店を開きます

夏見ナイ
ファンタジー
支援術師ノアは、敵を弱体化させる【呪物錬成】スキルで勇者パーティを支えていた。しかし、その力は地味で不吉だと疎まれ、ダンジョン攻略失敗の濡れ衣を着せられ追放されてしまう。 全てを失い、辺境の街に流れ着いたノア。生きるために作った「呪いの鍋」が、なぜか異常な性能を発揮し、街で評判となっていく。彼のスキルは、呪いという枷と引き換えに、物の潜在能力を限界突破させる超レアなものだったのだ。本人はその価値に全く気づいていないが……。 才能に悩む女剣士や没落貴族の令嬢など、彼の人柄と規格外のアイテムに惹かれた仲間が次第に集まり、小さな専門店はいつしか街の希望となる。一方、ノアを追放した勇者パーティは彼の不在で没落していく。これは、優しすぎる無自覚最強な主人公が、辺境から世界を救う物語。

処理中です...