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支部長➁
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『コンフィルの実』は食べた者の魔力を高めるアイテムだ。しかし中毒性が高く、食べた人間の理性を破壊する。
裏社会では高値で取引されていると聞くが……よりによって支部長がそんなものを私兵を作るために使っていたなんて。
洒落にならないぞ、これ。
野次馬たちにも動揺が広がり、『やばいんじゃないのか、これ……』『誰か衛兵呼んでこい!』と騒ぎになる。
だがもはや周りのことは気にならないようで、支部長はニタニタと笑みを浮かべる。
「<召喚士>ごときが支部長である私に歯向かうなんて、あってはならないんですよぉ……ほら、謝りなさい、ロイ君? 今なら靴でも舐めれば許してあげますよ?」
……こいつも薬やってるんじゃないだろうな。
「あんたに謝る理由はないな」
「――ッ、いいでしょう。では両足の骨を折って、無理矢理這いつくばらせてあげますよぉ! いきなさい、お前たち!」
「「ウガァアアアアアアアアアアッ!」」
中毒者二人が獣のように突っ込んでくる。
速い!
振り下ろされた拳を回避すると、中毒者の拳は石畳の地面をあっさりと破壊した。
なんだこの怪力!? どこまで強化されてるんだ!
「ふっ!」
「ガアッ……」
中毒者二人に反撃を見舞う。
しかし、まるでダメージを感じていないように怯みもしない。痛覚までなくなってるのか。
「……これはきついな」
殴っても気絶しないんじゃどうしようもない。まさか殺すわけにもいかないし。
【幻惑粉】のスキルを使っても、この興奮状態じゃうまく作用するか怪しい。
シルやイオナがいないのも不利である理由の一つだ。イオナがいればもっと楽になっただろうに。
「ほらほらぁ! どうしたんですか、ロイ君! 何もできないんですかぁ!? やっぱりあなたはゴミなんですよぉおおお!」
安全圏から支部長が叫んでいる。
あの男、絶対に後で殴る……!
「「ガアアアアアアアアアアアアアア!」」
中毒者たちが再度突っ込んできて、
「【茨拘束】」
突如として地面を突き破って生えた茨に、その体を拘束された。
茨はよほど頑丈なようで、中毒者たちは完全に動けなくなっているようだった。
「な、なんですかこれはぁ!?」
支部長が絶叫する。
そんな中、冷え切った声が響く。
「――ロイ様を侮辱しないでください」
セフィラが怒っていた。
俺のために。
「これ、セフィラがやったのか?」
「……すみません。勝手な真似を」
「いや、助かった。ありがとう」
エルフは魔術が得意と聞いていたが、ここまで強力な魔術を一瞬で使えるのはすごいことだ。
「これは何事だ!?」
ここで衛兵がやってきた。
支部長が我に返ったように顔を青くする。
「あなたは……冒険者ギルドの支部長だな。何があったか説明してもらえるか?」
「ち、違います。私は何も悪いことなどしていません」
「ほう? この状況を見るに、とてもそうは思えないが?」
衛兵は通報の際にある程度情報を聞いているのか、すでにだいたいの事情を察しているようだった。
支部長をゴミを見るような目で見ている。
「冒険者ギルド支部長を、あなたを拘束させていただきます。状況の説明と、そこの薬物中毒者二人のことも明かして頂くまで帰せませんのでそのつもりで」
「い、嫌だ! 嫌だあああっ……」
支部長は衛兵たちに連行されていく。
「ロイ! ロイぃいいいいいいっ! お前だけは……お前だけは絶対に許さないぞ! 今に後悔させてやるううううううう!」
連行される間際、支部長が俺を憎悪に燃える瞳で睨みそう叫んだ。
この期に及んでまだ自分が悪いと認めないつもりか?
どうしようもないな。
衛兵のうち一人が俺たちのほうにもやってくる。
「悪いけど、君たちも簡単に事情を聞かせてもらえるかな? ああ、もちろん君たちが被害者だということはわかってるから安心してほしい」
俺は衛兵に事情を説明した。
もちろんセフィラのことは伏せてだ。
支部長は衛兵に尋問されてセフィラが元奴隷だと話すかもしれないが、何の証拠もない以上はただのホラだと判断されるだろうし。
「そうか、災難だったな。情報提供感謝する」
衛兵はそう告げて去っていった。
俺たちも帰るか。
そう思って振り返ると、セフィラが顔を暗くしている。
「……」
「セフィラ、どうした?」
「……ロイ様、私が元奴隷だったことを、衛兵の方に言いませんでしたね」
「言ったら捕まるからな」
「ですが……もしバレたら、ロイ様が罪に問われてしまうんですよね」
セフィラが声を震わせている。
俺に迷惑をかけることが申し訳ないと思っているようだ。
俺はセフィラの頭に手をやり、優しく撫でた。
「あ……」
「お前の面倒を見ると決めたのは俺だ。心配いらない。お前のことはちゃんと俺が最後まで守る」
セフィラは俺に頭を撫でられたまま動きを止めてしまう。
「……すまん、もしかして嫌だったか?」
シルとかイオナにやっているうちに変な癖がついてしまったかもしれない。
セフィラはぶんぶんと勢いよく首を横に振った。
「そんなことありません! ……すごく、安心します」
「そ、そうか」
「もう、撫でてくれませんか?」
セフィラが寂しそうに告げてくる。俺は思わず視線を逸らした。
「……反則だろ」
「はい?」
「何でもない」
俺はセフィラが満足するまで頭を撫でた。
このエルフ……自分が凄まじい美少女だって自覚がないのか!?
あんなねだるようなことを言われたら、男なら誰でもドキドキするだろ!
裏社会では高値で取引されていると聞くが……よりによって支部長がそんなものを私兵を作るために使っていたなんて。
洒落にならないぞ、これ。
野次馬たちにも動揺が広がり、『やばいんじゃないのか、これ……』『誰か衛兵呼んでこい!』と騒ぎになる。
だがもはや周りのことは気にならないようで、支部長はニタニタと笑みを浮かべる。
「<召喚士>ごときが支部長である私に歯向かうなんて、あってはならないんですよぉ……ほら、謝りなさい、ロイ君? 今なら靴でも舐めれば許してあげますよ?」
……こいつも薬やってるんじゃないだろうな。
「あんたに謝る理由はないな」
「――ッ、いいでしょう。では両足の骨を折って、無理矢理這いつくばらせてあげますよぉ! いきなさい、お前たち!」
「「ウガァアアアアアアアアアアッ!」」
中毒者二人が獣のように突っ込んでくる。
速い!
振り下ろされた拳を回避すると、中毒者の拳は石畳の地面をあっさりと破壊した。
なんだこの怪力!? どこまで強化されてるんだ!
「ふっ!」
「ガアッ……」
中毒者二人に反撃を見舞う。
しかし、まるでダメージを感じていないように怯みもしない。痛覚までなくなってるのか。
「……これはきついな」
殴っても気絶しないんじゃどうしようもない。まさか殺すわけにもいかないし。
【幻惑粉】のスキルを使っても、この興奮状態じゃうまく作用するか怪しい。
シルやイオナがいないのも不利である理由の一つだ。イオナがいればもっと楽になっただろうに。
「ほらほらぁ! どうしたんですか、ロイ君! 何もできないんですかぁ!? やっぱりあなたはゴミなんですよぉおおお!」
安全圏から支部長が叫んでいる。
あの男、絶対に後で殴る……!
「「ガアアアアアアアアアアアアアア!」」
中毒者たちが再度突っ込んできて、
「【茨拘束】」
突如として地面を突き破って生えた茨に、その体を拘束された。
茨はよほど頑丈なようで、中毒者たちは完全に動けなくなっているようだった。
「な、なんですかこれはぁ!?」
支部長が絶叫する。
そんな中、冷え切った声が響く。
「――ロイ様を侮辱しないでください」
セフィラが怒っていた。
俺のために。
「これ、セフィラがやったのか?」
「……すみません。勝手な真似を」
「いや、助かった。ありがとう」
エルフは魔術が得意と聞いていたが、ここまで強力な魔術を一瞬で使えるのはすごいことだ。
「これは何事だ!?」
ここで衛兵がやってきた。
支部長が我に返ったように顔を青くする。
「あなたは……冒険者ギルドの支部長だな。何があったか説明してもらえるか?」
「ち、違います。私は何も悪いことなどしていません」
「ほう? この状況を見るに、とてもそうは思えないが?」
衛兵は通報の際にある程度情報を聞いているのか、すでにだいたいの事情を察しているようだった。
支部長をゴミを見るような目で見ている。
「冒険者ギルド支部長を、あなたを拘束させていただきます。状況の説明と、そこの薬物中毒者二人のことも明かして頂くまで帰せませんのでそのつもりで」
「い、嫌だ! 嫌だあああっ……」
支部長は衛兵たちに連行されていく。
「ロイ! ロイぃいいいいいいっ! お前だけは……お前だけは絶対に許さないぞ! 今に後悔させてやるううううううう!」
連行される間際、支部長が俺を憎悪に燃える瞳で睨みそう叫んだ。
この期に及んでまだ自分が悪いと認めないつもりか?
どうしようもないな。
衛兵のうち一人が俺たちのほうにもやってくる。
「悪いけど、君たちも簡単に事情を聞かせてもらえるかな? ああ、もちろん君たちが被害者だということはわかってるから安心してほしい」
俺は衛兵に事情を説明した。
もちろんセフィラのことは伏せてだ。
支部長は衛兵に尋問されてセフィラが元奴隷だと話すかもしれないが、何の証拠もない以上はただのホラだと判断されるだろうし。
「そうか、災難だったな。情報提供感謝する」
衛兵はそう告げて去っていった。
俺たちも帰るか。
そう思って振り返ると、セフィラが顔を暗くしている。
「……」
「セフィラ、どうした?」
「……ロイ様、私が元奴隷だったことを、衛兵の方に言いませんでしたね」
「言ったら捕まるからな」
「ですが……もしバレたら、ロイ様が罪に問われてしまうんですよね」
セフィラが声を震わせている。
俺に迷惑をかけることが申し訳ないと思っているようだ。
俺はセフィラの頭に手をやり、優しく撫でた。
「あ……」
「お前の面倒を見ると決めたのは俺だ。心配いらない。お前のことはちゃんと俺が最後まで守る」
セフィラは俺に頭を撫でられたまま動きを止めてしまう。
「……すまん、もしかして嫌だったか?」
シルとかイオナにやっているうちに変な癖がついてしまったかもしれない。
セフィラはぶんぶんと勢いよく首を横に振った。
「そんなことありません! ……すごく、安心します」
「そ、そうか」
「もう、撫でてくれませんか?」
セフィラが寂しそうに告げてくる。俺は思わず視線を逸らした。
「……反則だろ」
「はい?」
「何でもない」
俺はセフィラが満足するまで頭を撫でた。
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