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水場を探そう
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行商の馬車から降りる。
ここがカイン大森林か。
完全に人の手が入っていないとわかる、鬱蒼とした木々の密集地帯という感じだ。
「魔術師様、本当に行かれるんですか?」
「そうですね。あ、布とかありがとうございました」
「いえいえ、そのくらいは」
行商からもらったものは以下の通り。
・大きくて丈夫な布を数枚
・干し肉、干し果物などの保存食、水
・頑丈な革製のブーツ
・傷薬
こんな感じだ。
十分である。
特に布はありがたいな。けがをした時に切って包帯にしたり、床に敷いて拠点の居心地をよくしたりできる。
……冷静に考えて俺は準備が適当すぎたかもしれんな。
いきなりこんな樹海に来るつもりはなかったので、仕方ないと言えばそうなんだが。
「それでは私はこれで。どうかご無事で」
「はい。ありがとうございます」
行商人は心配そうな表情のまま去っていった。
よし。
行くとしよう。
森の中に入ると、白い木漏れ日が落ちてくる。
幻想的な光景だ。
心なしか空気も美味い気がする。
苔むした地面を踏みながら歩く。
「植物は見てるだけでリラックスするって噂があったけど、本当なんだなあ……」
こういう自然に囲まれた場所に来るのなんて何年振りだろう?
最近はゴーレムの需要が上がり過ぎて、仕事を休む暇なんてなかった。
何というか、心が洗われるような気分だ。
とはいえ遊んでばかりもいられない。
「まずは拠点を決めないとな」
この森は広い。
探索したい気持ちはあるが、まずは拠点を決めないと何も始まらない。
『単なる魔術師の俺が何をわかったようなことを』と思われるかもしれないが、俺は師匠からゴーレム魔術を学ぶ過程でサバイバル形式の修行もやらされている。
ある程度は勝手がわかっている……と思う。
まあ失敗したらさっさと引き返せばいいし、気楽にやるとしよう。
で、何だっけ。
そうだ、拠点だ。
拠点に必要なのはやっぱり水場の近くだということだろう。これだけ広い森なら沢や泉くらいありそうだ。
というわけで――
「【クリエイト・リトルゴーレム】」
『『『――』』』
小型ゴーレムを三十体ほど作り出す。
体高三十センチほどしかない小さなものだ。
俺はそんなリトルゴーレムたちに指示を出す。
「全員まっすぐ進んで、三十分経ったらそのまま来た道を戻ってこい」
『『『――』』』
蜘蛛の子を散らすようにリトルゴーレムがあちこちに駆け出した。
さて、しばらく暇だ。
ぼけっとしながら待つ。
魔物が襲ってきたらどうしようかと思っていたが、特にそんなこともなかった。
森の外周部近くにはあまりいないんだろうか?
やがてリトルゴーレムたちが帰還し始める。
『――』
「何体かやられてるな」
おそらく魔物だろう。
リトルゴーレムの数がそもそも合わないし、中には腕を食いちぎられているものもいる。途中で何らかの魔物に襲われたと予想できる。
単なる野生動物である可能性もあるが。
普通のリトルゴーレムは術者である俺と感覚を共有できないので、何があったかは予想するしかない。
視覚を共有したり、映像を記録するゴーレムも作れなくはないんだが……今は材料がないから無理だ。
そういうゴーレムには特別な鉱石が必要になったりするんだよな。
まあそれは仕方ないとして。
成果があった。
『――』
北西に向かったリトルゴーレムが、何体か濡れて戻ってきた。
これはその方角に水場があることの証拠だろう。
「行ってみよう」
俺は北西に向かって移動を開始した。
歩くことしばらく。
「川だ……」
木々の間を流れる小川に行き当たった。
幅は一メートルほど。
透明度の高い水がさらさらと流れている。
手をつけるとひんやりと冷たい。
……ごくり。
こういうところの水ってどうしてこうも美味そうなんだろうか。衛生上よくないとわかってはいるんだが、このまま口をつけて飲みたい衝動に駆られる。
いやいや落ち着け。
生水を飲んで腹を下そうものなら大変なことになる。
こういう時は――
「【アースチェンジ】」
足元の土に魔術をかける。
ゴーレム魔術を扱う土台として、俺は大地に関する魔術も修めている。
正確には地、水、火、風の四大属性の一つである地属性魔術だ。
それを使って足元の土を変化させる。
大きめの石、砂利、普通の砂、小さい砂、という感じでいくつも。
もちろんこれだけでは意味がないので次の工程へ。
「【ランドフォーム・ポット】」
地属性魔術を使って壺を作り出す。
これは底に水差しのような注ぎ口がついているものだ。
その中にさっき【アースチェンジ】で作っていたいくつかのサイズの石や砂利を、小さいものから順に詰めていく。
よし、完成。
即席ろ過装置だ。
これに水を汲んで、適当な石の上に置く。最初は濁った水が出てきていたが、すぐに綺麗な水だけになる。
土魔術で石製のコップを作り、注ぎ口から落ちてくる綺麗な水をそれに入れる。
いただきます。
ごくっ――
「~~~~っ、美味い!」
きんきんに冷えた水が歩きっぱなしで疲れた体に染み渡る。
魔術で作ったろ過装置だからか、嫌な味は全くしない。
むしろ雑味が取れてシャープな味わいになっている。
王都で飲んでいたどの飲み物よりも美味い。
「あ゛ー、染みる……」
俺はしばらく、天然の冷水で喉を潤すのだった。
ここがカイン大森林か。
完全に人の手が入っていないとわかる、鬱蒼とした木々の密集地帯という感じだ。
「魔術師様、本当に行かれるんですか?」
「そうですね。あ、布とかありがとうございました」
「いえいえ、そのくらいは」
行商からもらったものは以下の通り。
・大きくて丈夫な布を数枚
・干し肉、干し果物などの保存食、水
・頑丈な革製のブーツ
・傷薬
こんな感じだ。
十分である。
特に布はありがたいな。けがをした時に切って包帯にしたり、床に敷いて拠点の居心地をよくしたりできる。
……冷静に考えて俺は準備が適当すぎたかもしれんな。
いきなりこんな樹海に来るつもりはなかったので、仕方ないと言えばそうなんだが。
「それでは私はこれで。どうかご無事で」
「はい。ありがとうございます」
行商人は心配そうな表情のまま去っていった。
よし。
行くとしよう。
森の中に入ると、白い木漏れ日が落ちてくる。
幻想的な光景だ。
心なしか空気も美味い気がする。
苔むした地面を踏みながら歩く。
「植物は見てるだけでリラックスするって噂があったけど、本当なんだなあ……」
こういう自然に囲まれた場所に来るのなんて何年振りだろう?
最近はゴーレムの需要が上がり過ぎて、仕事を休む暇なんてなかった。
何というか、心が洗われるような気分だ。
とはいえ遊んでばかりもいられない。
「まずは拠点を決めないとな」
この森は広い。
探索したい気持ちはあるが、まずは拠点を決めないと何も始まらない。
『単なる魔術師の俺が何をわかったようなことを』と思われるかもしれないが、俺は師匠からゴーレム魔術を学ぶ過程でサバイバル形式の修行もやらされている。
ある程度は勝手がわかっている……と思う。
まあ失敗したらさっさと引き返せばいいし、気楽にやるとしよう。
で、何だっけ。
そうだ、拠点だ。
拠点に必要なのはやっぱり水場の近くだということだろう。これだけ広い森なら沢や泉くらいありそうだ。
というわけで――
「【クリエイト・リトルゴーレム】」
『『『――』』』
小型ゴーレムを三十体ほど作り出す。
体高三十センチほどしかない小さなものだ。
俺はそんなリトルゴーレムたちに指示を出す。
「全員まっすぐ進んで、三十分経ったらそのまま来た道を戻ってこい」
『『『――』』』
蜘蛛の子を散らすようにリトルゴーレムがあちこちに駆け出した。
さて、しばらく暇だ。
ぼけっとしながら待つ。
魔物が襲ってきたらどうしようかと思っていたが、特にそんなこともなかった。
森の外周部近くにはあまりいないんだろうか?
やがてリトルゴーレムたちが帰還し始める。
『――』
「何体かやられてるな」
おそらく魔物だろう。
リトルゴーレムの数がそもそも合わないし、中には腕を食いちぎられているものもいる。途中で何らかの魔物に襲われたと予想できる。
単なる野生動物である可能性もあるが。
普通のリトルゴーレムは術者である俺と感覚を共有できないので、何があったかは予想するしかない。
視覚を共有したり、映像を記録するゴーレムも作れなくはないんだが……今は材料がないから無理だ。
そういうゴーレムには特別な鉱石が必要になったりするんだよな。
まあそれは仕方ないとして。
成果があった。
『――』
北西に向かったリトルゴーレムが、何体か濡れて戻ってきた。
これはその方角に水場があることの証拠だろう。
「行ってみよう」
俺は北西に向かって移動を開始した。
歩くことしばらく。
「川だ……」
木々の間を流れる小川に行き当たった。
幅は一メートルほど。
透明度の高い水がさらさらと流れている。
手をつけるとひんやりと冷たい。
……ごくり。
こういうところの水ってどうしてこうも美味そうなんだろうか。衛生上よくないとわかってはいるんだが、このまま口をつけて飲みたい衝動に駆られる。
いやいや落ち着け。
生水を飲んで腹を下そうものなら大変なことになる。
こういう時は――
「【アースチェンジ】」
足元の土に魔術をかける。
ゴーレム魔術を扱う土台として、俺は大地に関する魔術も修めている。
正確には地、水、火、風の四大属性の一つである地属性魔術だ。
それを使って足元の土を変化させる。
大きめの石、砂利、普通の砂、小さい砂、という感じでいくつも。
もちろんこれだけでは意味がないので次の工程へ。
「【ランドフォーム・ポット】」
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これは底に水差しのような注ぎ口がついているものだ。
その中にさっき【アースチェンジ】で作っていたいくつかのサイズの石や砂利を、小さいものから順に詰めていく。
よし、完成。
即席ろ過装置だ。
これに水を汲んで、適当な石の上に置く。最初は濁った水が出てきていたが、すぐに綺麗な水だけになる。
土魔術で石製のコップを作り、注ぎ口から落ちてくる綺麗な水をそれに入れる。
いただきます。
ごくっ――
「~~~~っ、美味い!」
きんきんに冷えた水が歩きっぱなしで疲れた体に染み渡る。
魔術で作ったろ過装置だからか、嫌な味は全くしない。
むしろ雑味が取れてシャープな味わいになっている。
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さらに呪いに苦しむエルフの美少女を救い、
お人好しな商人、訳ありな獣人、腕利きのドワーフなどを取り入れ、
アルトは辺境を活気あふれる理想郷にしようと奮闘する。
一方、アルトを追放した勇者パーティーは、なぜかその活躍に陰りが見えてきて……。
―・―・―・―・―・―・―・―
タイトルを全部書くなら、
『追放された錬金術師は、神スキル【物質創造】で辺境に楽園を築きます ~今さら戻ってこいと泣きつかれても、もう遅い。周りには僕を信じてくれる仲間がいるので~』という感じ。ありそう。
※「小説家になろう」「カクヨム」「アルファポリス」に同内容のものを投稿しています。
※この作品以外にもいろいろと小説を投稿しています。よろしければそちらもご覧ください。
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