パーティを追放された<狩人>、SSランク神器に選ばれて世界最強の弓使いになる~毎日孤児に優しくしていたら神様に気に入られたようです~

ヒツキノドカ

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 十本の矢の群れはすべてまっすぐ飛んでいき、ドガガガガガッ! と的の中央に突き刺さった。
 なるほど、あれが『絶対命中』か。

「な、な……何だそりゃあ!?」

 武器屋の店主が仰天して僕に尋ねてくる。

「弓の能力です。『矢数無限』は念じると矢が現れる効果、『絶対命中』なら狙った的に必ず当たる効果、『増殖』なら撃った矢が空中で増える効果みたいですね」
「みたいですって……お前さん、能力を知ってたのか!?」
「知らないはずなんですけど……」

 これは僕もよくわからない。

 ただ、的の前に立った時に弓の能力が頭の中にイメージとして浮かび上がってきたのだ。
 まるで弓を使うという僕の意思に反応したかのように。

「つまり、今のお前さんは何となくその弓の使い方がわかると?」
「はい」
「何だよその武器……意味わかんねえよ……」

 店主が呻いている。うん。正直僕も同じ気持ちだ。

「じゃあ、他の能力も使い方がわかるのか?」
「まあ、大体は」
「ちょっとやってみてくれよ」

 もちろんそのつもりだ。

 僕も何となくわかるだけで、実際に使ってみないとわからないこともあるだろうし。

「じゃあまず、【障壁】」

 弓の持ち手を中心に、半透明の障壁が出現する。

「なんだこれ?」
「防御能力です。これに触ると弾かれます」

 おそらく僕以外の人間を拒絶しているのはこの能力だろう。

 接近戦に弱い弓使いとしてはかなりありがたい能力といえる。

「防御ねえ……実際どのくらいのもんなんだ?」
「そこまではちょっと……でも、実戦で使う前に一回は強度を確かめておきたいですね」
「そんじゃちょっとやってみるか」

 と、庭に隣接する工房に引っ込んだ店主は、いくつかの武器を抱えて戻ってきた。

「まずはナイフだな」

 そう言って軽い動きでナイフを障壁にぶつけられる。

 ナイフは根元からへし折れて店主の後方に吹っ飛んでいった。

「……次は剣だな」

 剣は半ばから折れて店主の後方に吹っ飛んでいった。

「「……」」

 どうしよう。何だかとても居たたまれない。

 店主は持ってきた中でもっとも大きなものを振りかぶった。

「ち、畜生負けてたまるか! 食らいやがれ俺の自信作! 魔鉱石をふんだんに使ったこの斧ならさすがに防げるはずが――」

 ぽきっ、と斧は障壁との衝突に耐え切れず柄がヘシ折れた。

「ああああ俺の自信作がぁ―――――!?」

 絶叫して地面に拳を打ち付ける店主。障壁に耐え切れず持ってきた武器がすべて壊れてしまったことで、職人としてのプライドがいたく傷ついてしまったようだ。

 そんな感じで検証を進めていったところ、能力の大まかな効果が判明した。


 『矢数無限』は何もないところから好きなだけ矢を取り出せる。
 『絶対命中』は狙った標的に必ず当たる。
 『射程拡張』は矢を失速させずにはるか彼方まで飛ばすことができる。
 『不壊』は弓に絶対的な頑丈さを与える。
 『最適化』は弓を僕がもっとも使いやすいサイズ、張力にする。
 『自在出現』は弓を自在に出したり消したりできる。
 『魔力吸収』は周辺の大気から魔力を吸収する。
 『加速』は撃った矢を加速させる。
 『増殖』は撃った矢を増やす。
 『障壁』は半透明の壁を作り出す。


 僕は言った。

「とんでもないですね、この弓」

 正直強すぎて現実味がない。

「まったくだ。ぶっ壊れ性能もいいとこだな」
「ぶっ壊れ?」
「うちらの間じゃ、性能が強すぎる装備を『壊れ』とか呼んだりすんだよ。で、この弓はそんなレベルじゃねえからぶっ壊れってわけだ」

 なるほど。武器職人の専門用語みたいなものだろうか。

「それは確かにぶっ壊れてますね」
「売ったらいくらになるんだろうな」
「さすがに預かってるものを売るのは……」

 そもそも手から離れないので売りようがない。

 何にしても、この弓が凄まじい性能を持っていることは間違いなさそうだ。
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