【7/25頃②巻発売!】私を追放したことを後悔してもらおう~父上は領地発展が私のポーションのお陰と知らないらしい~

ヒツキノドカ

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みんなで話し合い

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 ルークの過去を聞いた翌日、私たちは王都を出立した。

 行きと同じようにスカーレル商会の馬車でトリッドの街に戻る。
 馬車を返しついでにスカーレル商会の工房にいたレン、仕事の手伝いをしていたブリジットと合流。

 久しぶりに「緑の薬師」に全員が揃うことになった。

「お姉さま、お久しぶりですわ!」

ブリジットこいつずっとアリシアに会いたそうにしてたからな……しばらく構ってやれよ、アリシア」

「慕ってもらえて嬉しいです。それはそれとして、みんなにしなくてはならないお話が」

「……」

「話? そこで複雑そうな顔をしてるルークになにか関係あるのか?」

「確認しますが、話していいんですよね、ルーク」

「……うん。そういう約束だったからね。二言はないよ」

 最後にもう一度だけルークに確認してから、私はルークの過去をレンとブリジットに明かした。

 戻る途中でランドには話してあるので、聞き手はこの街に残っていた二人だ。

 こういう話は年下の二人には隠したほうがいいのかもしれないけれど、きちんと共有するのはルークからの希望だ。
 ……まあ、この二人は年のわりに相当しっかりしているので、過保護に扱う必要はもともとないのかもしれないけれど。

「ルークが元王族で……」

「……第一王子様に命を狙われていた、ですの?」

「向こうはもう俺のことを死んでいると思っているけどね」

「「ええええええええ」」

 レンとブリジットが目を白黒させる。
 こんな話を聞かされたら平然とはしていられないだろう。その気持ちはよくわかる。

「っていうか【調合EX】ってなんですの!? 私はそっちも驚きですわ! レン様は知っていたんですの!?」

「……まあ、スカーレル商会の調合師はな。言っとくが他言無用だぞ。広まったらアリシアが毎日刺客に狙われかねないからな」

 話の中で私のスキルについても言及した。
 レンたちスカーレル商会の調合師は知っていたことだけれど、ブリジットには明かしていなかったんですよね。

「わ、わかりましたわ。やっぱりお姉さまはただものではなかったんですのね……!」

「私の場合は抜け道で無理やりスキルレベルを上げただけですけどね。いえ、今はそれよりルークの話です」

「そうでしたわね。すみません、脱線させてしまいました。話を戻してくださいませ」

 ブリジットが言うと、ルークは頷いて続けた。

「リヒターは俺のことを始末したと思っているはずだけど、万が一俺が生きていることがバレたらまた俺を狙うかもしれない。だから俺はこの店を出て行こうと思ってたんだけど――」

「私が引き留めました。ルークはもう身内ですから、本人が望まない限りは出て行かせたくありません」

「……そういうことなんだ。情けないことに、俺もこの店に居心地の良さを感じてしまっている。リヒターがこのまま俺が生きていることに気付かない可能性も低くない、なんて考えたら煮詰まっちゃって……よかったら二人の意見も聞かせてくれないかな」

 レンとブリジットの二人にそう言うルーク。

 あえて「意見を聞かせてほしい」という言い方をしたのは、二人に責任を負わせないためだろう。
 ルークはレンとブリジットのどちらか片方でも反対の気配を見せたら即座にいなくなるつもりと言っていたし。

「俺たちの意見ね。……ランドはこの話、もう聞いてたのか?」

 レンがランドに視線を向ける。

「うむ、帰りの馬車での」

「どう考えてるんだ?」

「儂はルークには残ってもらったほうがよいと思っておる。……以前の盗賊騒ぎの時には儂だけではアリシアを守り切れんかったからのう。腕っぷしの強いルークは必要な人材じゃろう。人柄もよいしの」

「ふーん……」

 含みのある呟きを漏らすレンの横では、ブリジットが元気よく手を挙げた。

「私もルーク様には残ってほしいです! 以前お姉さまに救われた身としては、お姉さまのお力になりたいという気持ちはよくわかりますから!」

 ランドに続きブリジットも賛成のようだ。

「レンはどうだい?」

「悪いけど、俺は手放しに賛成できねえな」

 レンはきっぱりとそう告げた。その返事を予想していたのか、ルークは表情を変えずに言葉を受け止めた。

「レン、それはルークと一緒にいると私たちも危険にさらされるからですか?」

「そうだ。話を聞く限り第一王子は相当ヤバい相手だろ。そんな相手に狙われたら無事で済むわけがない。一番まずいのはアリシアと一緒にいることだ」

「え? 私ですか?」

「呪詛ヒュドラの一件で、アリシアの名前が国中に広まりつつある。おまけに第一王子は城の中でアリシアに接触してきたんだろ? アリシア目当てでこの店に来ることだって考えられる。そうなったらルークが正体を見破られるかもしれない」

「……」

「仮にバレなくても、怪しまれただけでアウトだ。俺やブリジットが【威光】を使われたらルークの正体を喋っちまうだろうしな」

 レンの言っていることはもっともだ。

「……そうだね。レンの言う通りだ。アリシア、やっぱり俺は――」

 言いかけたルークの言葉を手で遮り、私は魔法鞄からあるものを取り出した。

「レンの心配はわかります。確かに【威光】スキルは脅威です。レベルEXのスキルを持つ私や、王族の血を引くルークには効かないようですが、レンたちは対象になってしまいます」

「ああ。最低でもそのスキルをなんとかしないと話にならねえ」


「そう言われるかと思って、帰りの馬車で【威光】に対抗するためのポーションを作っておきました」


「「「「……は?」」」」
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