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悪戯
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「お前は別館のほうを見てきてくれ。くれぐれも油断はするなよ。」
「ああ。」
仲間に短く返事を返し歩きだした。
私達は吸血鬼をこの世から消し去るための組織。
"異形殲滅部隊"…ヴァンパイアハンターだ。
表向きは人に害なす異形を消すのが目的だがそんなものはどうでも良い。
私はただ奴らが憎いから殺すだけだ。
心臓に杭を打ち付けるか、銀の銃弾を心臓に撃てば吸血鬼は死ぬ。
私達はそうやって奴らを消し去る。
人がいなきゃ生きてもいけないくせに。
人から悪戯に全てを奪う貴様らだけは絶対に許さねぇ。
そんな奴ら、この世にいらない。
というわけで吸血鬼が住まうというこの館で吸血鬼を探している真っ最中だ。
長い庭園を歩き、ようやく廊下に差し掛かったその時だ。
背後で汚い血の匂いがした。
こんだけ血の匂いが染み付いていれば潜んでいるのが誰かなんて一目瞭然。
私は素早く銃弾を撃ち込む。
背後の吸血鬼はゆっくりと崩れ落ちた。
「ぐぅ…にん、げん、め…」
吸血鬼の頭を踏みつけた。
「いいから黙って死ねよ、穢れた吸血鬼。」
男の吸血鬼は鋭い眼光で私を睨むと、灰となりサラサラと風に流れていった。
吸血鬼は死ぬと灰になる。
ああ、気持ち悪りぃ。
しかし、別館にしてはやけに吸血鬼が多くないか?
そう思いながら、私は木の陰に隠れていた吸血鬼を3人撃った。
私の射撃技術も伊達じゃない。
奴らはあっという間に消えた。
別館の廊下も馬鹿みたいに長い。
その辺の雑魚い吸血鬼を撃ち殺しながら廊下を進んでいく。
部屋もなく、ただ長い廊下が続くだけ。
しかし、ようやく行き止まりが見えた。
部屋のドアだ。
厳重に鍵がかけてあるが私には関係ない。
ドアを蹴破り、中に入るとそこは牢屋だった。
「なんでこんな別館に牢屋なんか…普通本館の地下に作るもんじゃねーの?」
空の牢屋ばかりで誰もいないようだ。
最も奥の牢屋に辿り着いた。
暗くてよく見えないが、何かある。
そう思いながら、檻の扉を蹴破り中へ入る。
罠かもなとは思ったけど、まあその時はその時だろ。
懐中電灯で照らすと、子供の体らしきものが横たわっていた。
おいおい。ひょっとして死んでるとか?
吸血鬼の特徴である銀髪ではなく、金髪をしている。
ということは人間か?
「おい、大丈夫か?」
ゆさゆさと揺さぶるったが子供はピクリとも動かない。
ただ、脈はあったから生きているんだろう。
子供の足元ほどまである髪はとても長い。
長い前髪を手でどかすと、人形かと思うほど綺麗な顔をしていた。
可哀想に。
きっとこの綺麗な顔のせいで巻き込まれたんだろう。
少女をゆっくりと抱き上げ、仲間達の元へ戻るべく歩きだした。
別に少女を助けようとか思ったわけじゃない。
可哀想だとは思ったけど、ここで人間を放って帰ったのがバレたら上の人間に説教を食らう。
それがめんどくさかったからだ。
この時の私の考えが、私の人生を大きく変えることになることを私はまだ知らない。
ただ、抱き上げたそいつはあまりにも軽すぎて。
冷たすぎて。
本当に、人形のようだった。
吸血鬼の被害者だと、過去の私とあいつを重ねていたのかもしれない。
だからか、いつかこの子は幸せになればいいなとらしくないことを考えていた。
「ああ。」
仲間に短く返事を返し歩きだした。
私達は吸血鬼をこの世から消し去るための組織。
"異形殲滅部隊"…ヴァンパイアハンターだ。
表向きは人に害なす異形を消すのが目的だがそんなものはどうでも良い。
私はただ奴らが憎いから殺すだけだ。
心臓に杭を打ち付けるか、銀の銃弾を心臓に撃てば吸血鬼は死ぬ。
私達はそうやって奴らを消し去る。
人がいなきゃ生きてもいけないくせに。
人から悪戯に全てを奪う貴様らだけは絶対に許さねぇ。
そんな奴ら、この世にいらない。
というわけで吸血鬼が住まうというこの館で吸血鬼を探している真っ最中だ。
長い庭園を歩き、ようやく廊下に差し掛かったその時だ。
背後で汚い血の匂いがした。
こんだけ血の匂いが染み付いていれば潜んでいるのが誰かなんて一目瞭然。
私は素早く銃弾を撃ち込む。
背後の吸血鬼はゆっくりと崩れ落ちた。
「ぐぅ…にん、げん、め…」
吸血鬼の頭を踏みつけた。
「いいから黙って死ねよ、穢れた吸血鬼。」
男の吸血鬼は鋭い眼光で私を睨むと、灰となりサラサラと風に流れていった。
吸血鬼は死ぬと灰になる。
ああ、気持ち悪りぃ。
しかし、別館にしてはやけに吸血鬼が多くないか?
そう思いながら、私は木の陰に隠れていた吸血鬼を3人撃った。
私の射撃技術も伊達じゃない。
奴らはあっという間に消えた。
別館の廊下も馬鹿みたいに長い。
その辺の雑魚い吸血鬼を撃ち殺しながら廊下を進んでいく。
部屋もなく、ただ長い廊下が続くだけ。
しかし、ようやく行き止まりが見えた。
部屋のドアだ。
厳重に鍵がかけてあるが私には関係ない。
ドアを蹴破り、中に入るとそこは牢屋だった。
「なんでこんな別館に牢屋なんか…普通本館の地下に作るもんじゃねーの?」
空の牢屋ばかりで誰もいないようだ。
最も奥の牢屋に辿り着いた。
暗くてよく見えないが、何かある。
そう思いながら、檻の扉を蹴破り中へ入る。
罠かもなとは思ったけど、まあその時はその時だろ。
懐中電灯で照らすと、子供の体らしきものが横たわっていた。
おいおい。ひょっとして死んでるとか?
吸血鬼の特徴である銀髪ではなく、金髪をしている。
ということは人間か?
「おい、大丈夫か?」
ゆさゆさと揺さぶるったが子供はピクリとも動かない。
ただ、脈はあったから生きているんだろう。
子供の足元ほどまである髪はとても長い。
長い前髪を手でどかすと、人形かと思うほど綺麗な顔をしていた。
可哀想に。
きっとこの綺麗な顔のせいで巻き込まれたんだろう。
少女をゆっくりと抱き上げ、仲間達の元へ戻るべく歩きだした。
別に少女を助けようとか思ったわけじゃない。
可哀想だとは思ったけど、ここで人間を放って帰ったのがバレたら上の人間に説教を食らう。
それがめんどくさかったからだ。
この時の私の考えが、私の人生を大きく変えることになることを私はまだ知らない。
ただ、抱き上げたそいつはあまりにも軽すぎて。
冷たすぎて。
本当に、人形のようだった。
吸血鬼の被害者だと、過去の私とあいつを重ねていたのかもしれない。
だからか、いつかこの子は幸せになればいいなとらしくないことを考えていた。
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