16 / 20
微睡み
しおりを挟む
「**は、こうなることを予見して、あんなに必死になってくれてたんだね。」
俯いた青年は何も答えない。
それが、答えだ。
「有難う。
本当に、有難う。俺の、ために…
あんなに、必死になってくれて」
苦しげな顔で笑う少年に青年は躊躇いがちに手を伸ばす。
しかし、その手は少年に触れることなく虚しく下された。
「でも、これだけは言っておきたくて…」
少年は、精一杯笑う。
泣かないように。
「俺、別に後悔してないよ。
選んだのは俺。
全部、俺が決めたこと。
だから、悔いたりしない…
たとえ…皆がいなくなって、俺が一人になっても…
後悔なんて…っ…するわけ、ない」
青年は拳を握り締める。
爪が食い込むほどに強く、強く。
「皆に会えて、よかったよ。
この選択をして、よかった…」
だから、別れがきても悔いたりしない。
楽しかった。
幸せだったから…
別れのときは刻一刻と迫り続ける。
後悔なんてしてない筈なのに…
出逢いは、別れの始まりなのに
その別れがくるのが怖くてたまらない。
永遠なんて、ありえない。
少なくとも人間に、それはありえない。
それを祈る愚かな自分を笑っていいよ。
でも、一緒にいたくて。
愚かでもいい、馬鹿にされてもいい。
それでも一緒にいたくて…
「大好きだよ。バイバイ…またね」
たとえそれが偽りでも。
最後は、笑顔で見送りたい。
「また、いつか…」
俯いた青年は何も答えない。
それが、答えだ。
「有難う。
本当に、有難う。俺の、ために…
あんなに、必死になってくれて」
苦しげな顔で笑う少年に青年は躊躇いがちに手を伸ばす。
しかし、その手は少年に触れることなく虚しく下された。
「でも、これだけは言っておきたくて…」
少年は、精一杯笑う。
泣かないように。
「俺、別に後悔してないよ。
選んだのは俺。
全部、俺が決めたこと。
だから、悔いたりしない…
たとえ…皆がいなくなって、俺が一人になっても…
後悔なんて…っ…するわけ、ない」
青年は拳を握り締める。
爪が食い込むほどに強く、強く。
「皆に会えて、よかったよ。
この選択をして、よかった…」
だから、別れがきても悔いたりしない。
楽しかった。
幸せだったから…
別れのときは刻一刻と迫り続ける。
後悔なんてしてない筈なのに…
出逢いは、別れの始まりなのに
その別れがくるのが怖くてたまらない。
永遠なんて、ありえない。
少なくとも人間に、それはありえない。
それを祈る愚かな自分を笑っていいよ。
でも、一緒にいたくて。
愚かでもいい、馬鹿にされてもいい。
それでも一緒にいたくて…
「大好きだよ。バイバイ…またね」
たとえそれが偽りでも。
最後は、笑顔で見送りたい。
「また、いつか…」
0
あなたにおすすめの小説
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる