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第二部
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マスカルポーネの生春巻き、オリーブとクリームチーズのカナッペ、シーフードと玉ねぎのマリネ……彩り豊かな料理がテーブルの上に次々と並べられていく。そして、無職のタケルが、妻から貰っているお小遣いではなく自分で稼いだ少しの貯金で奮発して買ったという白ワインを、気取った顔をして唯香のグラスに注ぎながら、
「こちらのワイン、『シャトー・ディケム』というフランス産のワインでございます……えー、濃厚で芳醇な甘さのなかに……フルーティーな……ええ、甘くて飲みやすくて美味しいワインです」
とネットで調べた付け焼刃の情報をスタイリッシュに説明しようとしたが、その試みは失敗に終わり、照れ笑いを浮かべた。
「タケルらしいわ」
と言いながら、唯香は、思わずクスッと微笑んだ。
岡崎さんには申し訳ないけれども、唯香にとっては、結婚を前提に交際を申し込まれた高級ホテル内の高級レストランの料理よりも、タケルが心を込めて作ってくれた料理の方が美味しく感じた。
その日は、夜通しでタケルと昔話に花を咲かせた。
「唯香ちゃんは、あれだけモテモテだったのにさ、どうして俺を選んでくれたの? 唯香ちゃんを狙ってた男たちの中には、将来有望ないい男がたくさんいたじゃん? そういう男を選んでいたらさ、唯香ちゃん、今、超セレブな人生を謳歌してたと思うんだよねえ」
「うーん……なんでかなあ? 確かに、親が医者とか大企業の社長とかさ、そういう男たちも多かったし、家柄は普通でも、本人がすごく向上心が強くて学生起業に成功している男とかすごいなあって思ったよ。こういう人たちと結婚できたら、俗に言う『勝ち組』になれたんだろうなあと思ったよ」
それをきいたタケルが、不思議そうに首を傾げた。
「えっ? だったら、なんで俺なの? ますますわかんないんだけど」
「たぶん、アンタの嫁と一緒の理由よ」
「嫁と?」
「うん。確かにね、将来有望な男たちは魅力的だと思ったよ。でもさ、なんか、一緒にいて楽しいのかなあ? って思って。いつも、アホみたいに楽しそうにしているタケルを見てたら、なんだか、こっちまで楽しくなっちゃってさあ」
「もうっ! アホみたいって失礼だなあ!」
「ごめん、ごめん! つい、うっかりね」
頬袋に餌を詰め込んだハムスターみたいに頬を膨らませているタケルを見て、唯香は大笑いした。つられて、タケルも大笑いした。
「こちらのワイン、『シャトー・ディケム』というフランス産のワインでございます……えー、濃厚で芳醇な甘さのなかに……フルーティーな……ええ、甘くて飲みやすくて美味しいワインです」
とネットで調べた付け焼刃の情報をスタイリッシュに説明しようとしたが、その試みは失敗に終わり、照れ笑いを浮かべた。
「タケルらしいわ」
と言いながら、唯香は、思わずクスッと微笑んだ。
岡崎さんには申し訳ないけれども、唯香にとっては、結婚を前提に交際を申し込まれた高級ホテル内の高級レストランの料理よりも、タケルが心を込めて作ってくれた料理の方が美味しく感じた。
その日は、夜通しでタケルと昔話に花を咲かせた。
「唯香ちゃんは、あれだけモテモテだったのにさ、どうして俺を選んでくれたの? 唯香ちゃんを狙ってた男たちの中には、将来有望ないい男がたくさんいたじゃん? そういう男を選んでいたらさ、唯香ちゃん、今、超セレブな人生を謳歌してたと思うんだよねえ」
「うーん……なんでかなあ? 確かに、親が医者とか大企業の社長とかさ、そういう男たちも多かったし、家柄は普通でも、本人がすごく向上心が強くて学生起業に成功している男とかすごいなあって思ったよ。こういう人たちと結婚できたら、俗に言う『勝ち組』になれたんだろうなあと思ったよ」
それをきいたタケルが、不思議そうに首を傾げた。
「えっ? だったら、なんで俺なの? ますますわかんないんだけど」
「たぶん、アンタの嫁と一緒の理由よ」
「嫁と?」
「うん。確かにね、将来有望な男たちは魅力的だと思ったよ。でもさ、なんか、一緒にいて楽しいのかなあ? って思って。いつも、アホみたいに楽しそうにしているタケルを見てたら、なんだか、こっちまで楽しくなっちゃってさあ」
「もうっ! アホみたいって失礼だなあ!」
「ごめん、ごめん! つい、うっかりね」
頬袋に餌を詰め込んだハムスターみたいに頬を膨らませているタケルを見て、唯香は大笑いした。つられて、タケルも大笑いした。
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