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第二部
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「しおりん、ビールあるー?」
「あるよー。今日、ごはんは?」
「コンビニ弁当食べたー。何か、俺もおつまみ欲しい」
「はーい」
ふたりのやりとりが、まるで熟年夫婦みたいであったかくて、唯香は、なんだかふたりのことを羨ましく思い、ふっと、タケルのことを思い出した。
「唯香ちゃんとの再会を祝して、かんぱーい!」
和樹くんの乾杯の音頭で、家飲み二次会の幕が切って落とされた。一週間仕事を頑張った自分へのご褒美のように、和樹くんは、琥珀色のビールを喉を鳴らしながら一気に飲み干した後に、床に置かれていた柊花大学の卒業アルバムに視線を移した。
「ん? 何? ふたりで、昔を懐かしんでいたの?」
栞が手早くつくった、ツナときゅうりのマヨネーズ和えをつまみながら、和樹くんが不思議そうに訊いてきたので、唯香は、ことの経緯を和樹くんに説明した。
「うーん……唯香ちゃんを疑うわけじゃないけど、本当に、山崎さんに嫌われるようなことをした覚えはないんだよね?」
「うん。まったくもって身に覚えがないんだよねえ」
「もし、山崎さんが学歴詐称しているとしたら『ビジネスパートナー』としても、然るべき措置を講じなければならなくなるし。ただ、提出書類には本当の学歴を記載していて、唯香にだけ嘘を吐いているのなら、会社的には問題ないのよね。彼女が問題なく正社員に昇格したってことは、書類上の問題はなかったってことになるのよねえ」
まるで、謎解きを楽しむかのように三人で会話を交わしながら小一時間が過ぎた頃、卒業アルバムを見ていた和樹くんが、
「なんか、俺も、学生時代が懐かしくなっちゃったよ」
と言いながら、本棚からずっしりとした卒業アルバムを持ってきた。
「こっちが、明日葉大学の卒アルで、こっちが明日葉大学の院の卒アルね」
そう言って、和樹くんは、テーブルの上に卒業アルバムを置いた。
「うわっ! かずくん、めっちゃ若いじゃんっ! 何なの? このドヤ顔?」
アルコールでテンションが上がった栞が、ゲラゲラと笑った。栞と和樹くんが『明日葉大学』の卒業アルバムに見入っている間、唯香は『明日葉大学 大学院』の卒業アルバムに掲載されていた一枚の写真から目が離せなかった。
「あるよー。今日、ごはんは?」
「コンビニ弁当食べたー。何か、俺もおつまみ欲しい」
「はーい」
ふたりのやりとりが、まるで熟年夫婦みたいであったかくて、唯香は、なんだかふたりのことを羨ましく思い、ふっと、タケルのことを思い出した。
「唯香ちゃんとの再会を祝して、かんぱーい!」
和樹くんの乾杯の音頭で、家飲み二次会の幕が切って落とされた。一週間仕事を頑張った自分へのご褒美のように、和樹くんは、琥珀色のビールを喉を鳴らしながら一気に飲み干した後に、床に置かれていた柊花大学の卒業アルバムに視線を移した。
「ん? 何? ふたりで、昔を懐かしんでいたの?」
栞が手早くつくった、ツナときゅうりのマヨネーズ和えをつまみながら、和樹くんが不思議そうに訊いてきたので、唯香は、ことの経緯を和樹くんに説明した。
「うーん……唯香ちゃんを疑うわけじゃないけど、本当に、山崎さんに嫌われるようなことをした覚えはないんだよね?」
「うん。まったくもって身に覚えがないんだよねえ」
「もし、山崎さんが学歴詐称しているとしたら『ビジネスパートナー』としても、然るべき措置を講じなければならなくなるし。ただ、提出書類には本当の学歴を記載していて、唯香にだけ嘘を吐いているのなら、会社的には問題ないのよね。彼女が問題なく正社員に昇格したってことは、書類上の問題はなかったってことになるのよねえ」
まるで、謎解きを楽しむかのように三人で会話を交わしながら小一時間が過ぎた頃、卒業アルバムを見ていた和樹くんが、
「なんか、俺も、学生時代が懐かしくなっちゃったよ」
と言いながら、本棚からずっしりとした卒業アルバムを持ってきた。
「こっちが、明日葉大学の卒アルで、こっちが明日葉大学の院の卒アルね」
そう言って、和樹くんは、テーブルの上に卒業アルバムを置いた。
「うわっ! かずくん、めっちゃ若いじゃんっ! 何なの? このドヤ顔?」
アルコールでテンションが上がった栞が、ゲラゲラと笑った。栞と和樹くんが『明日葉大学』の卒業アルバムに見入っている間、唯香は『明日葉大学 大学院』の卒業アルバムに掲載されていた一枚の写真から目が離せなかった。
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