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第二部
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翌日の昼休み、唯香が自席で昼食を取っていると、高部美里愛が血相を変えて唯香のところにやって来た。
「どうしたの? そんなに慌てて。まだランチ会終わってないでしょう?」
“山崎軍団”のランチ会で唯香が陰口を叩かれていることを密告してくれた高部は、その後も山崎に従うフリをして内部の情報を唯香に報告してくれている。唯香が『スナック美沙』で身につけたコミュニケーション能力と、かつては犬猿の仲だった美希が伝授してくれた処世術を実践し始めてからは、高部だけでなく、密かに“山崎軍団”を嫌っている社員たちとも少しずつ距離が縮まり、唯香の味方をしてくれる人たちも増えてきている。
「あの……山崎さんたちが、SNSで写真を拡散させるって……」
「写真? どういう写真なの?」
「こ、これです!」
高部が唯香に見せたスマートフォンの画面には、唯香のマンションのエントランスで仲睦まじそうに話している唯香とタケルの画像が映し出されていた。岡崎さんと唯香の婚約を喜び、お祝いに来てくれたタケルを見送りに行った時に撮られた写真だった。
――好き放題自由に振舞って嫌われた方が楽
美希が放った言葉が、突如過った。唯香は、意を決したように立ち上がり歩き出した。
「えっ? 成瀬さん、どこへ行くんですか?」
「“山崎軍団”のアジトよ!」
「えっ? どうするつもりなんですか?」
「たまには、私もランチ会に混ぜてもらおうかしらと思ってね」
そう言って、唯香は悪戯っ子のように笑った。
「高部さんは、どこか別の場所に居たほうがいいかも。私に情報まわしてたことがバレたら嫌がらせされるかもしれないし」
高部も意を決したように言った。
「私も一緒に行きます! もう、あんな肥溜めみたいな場所に居るの限界なんですっ!」
「ありがとう! 私、今まで感じ悪い先輩でごめんね」
「いえ……そんなこと、私、気にしてませんっ!」
「どうしたの? そんなに慌てて。まだランチ会終わってないでしょう?」
“山崎軍団”のランチ会で唯香が陰口を叩かれていることを密告してくれた高部は、その後も山崎に従うフリをして内部の情報を唯香に報告してくれている。唯香が『スナック美沙』で身につけたコミュニケーション能力と、かつては犬猿の仲だった美希が伝授してくれた処世術を実践し始めてからは、高部だけでなく、密かに“山崎軍団”を嫌っている社員たちとも少しずつ距離が縮まり、唯香の味方をしてくれる人たちも増えてきている。
「あの……山崎さんたちが、SNSで写真を拡散させるって……」
「写真? どういう写真なの?」
「こ、これです!」
高部が唯香に見せたスマートフォンの画面には、唯香のマンションのエントランスで仲睦まじそうに話している唯香とタケルの画像が映し出されていた。岡崎さんと唯香の婚約を喜び、お祝いに来てくれたタケルを見送りに行った時に撮られた写真だった。
――好き放題自由に振舞って嫌われた方が楽
美希が放った言葉が、突如過った。唯香は、意を決したように立ち上がり歩き出した。
「えっ? 成瀬さん、どこへ行くんですか?」
「“山崎軍団”のアジトよ!」
「えっ? どうするつもりなんですか?」
「たまには、私もランチ会に混ぜてもらおうかしらと思ってね」
そう言って、唯香は悪戯っ子のように笑った。
「高部さんは、どこか別の場所に居たほうがいいかも。私に情報まわしてたことがバレたら嫌がらせされるかもしれないし」
高部も意を決したように言った。
「私も一緒に行きます! もう、あんな肥溜めみたいな場所に居るの限界なんですっ!」
「ありがとう! 私、今まで感じ悪い先輩でごめんね」
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