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第三部
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「えっと、髪が長い方が片山理花さんで、ショートヘアの方が……」
髪が長い方が“かたやま”だということは分かったので、もうひとりはどうでも良かったのだが、“かたやま”のことだけ尋くのも不自然に思われそうだったので、唯香は、ショートヘアの方の女の情報もついでに引き出そうとした。
「ショートヘアの方は、湯島奈津美さんといいます。奈津美さんのお子さんは男の子で、ピアノもとってもお上手なんですけど、サッカーに専念するためにピアノのレッスンは辞めてしまわれるそうなんです……勿体ないですけど、奈津美さんは海晴君の好きなことに専念させてあげたいって仰ってて」
(ああ、紀伊せいらって、ナチュラルにマウントとってくるタイプなのね)
唯香が心の中で毒づいている間に、栞が、まるで、芸能記者のようにぐいぐい、せいらにアプローチをしていた。
「あのう……初対面で、こんなことをお願いするのは図々しいかもなんですけど……」
少しだけ、前のめりになっていた姿勢を引いて、栞は、せいらの目をじっとみつめた。
「私にできることでしたら何でも仰ってみてください!」
せいらは、嘘なのか本心なのか、満面の笑みを浮かべながら言った。
「私たちの大学時代の友達で、谷川遥って子がいるんですけど、彼女の娘が、ちょうど、愛奏ちゃんたちと同じ7歳で、ピアノを習いたがってるって、この前、久しぶりに連絡取り合った時に言ってたんですよ。“紀伊ミュージックサロン”で習わせたいけど敷居が高いかなって悩んでいたんで、もし、少しでもお時間頂けたら……せいらさん……は世界を飛び回ってらっしゃるので難しいとは思うのですが……せいらさんのお友達の片山さんか湯島さんにお会いして“紀伊ミュージックサロン”のお話をお伺いすることって可能ですかね?」
「えっ! そうなんですか! すごく嬉しいですっ! ありがとうございます! 私は、来週からしばらく海外でお仕事なので……理花さんと奈津美さんにご予定お伺いしてみますねっ! 唯香さんと栞さんは、いつがご都合よろしいでしょうか?」
「わあっ! ありがとうございますっ! 私たちは、片山さんと湯島さんのご予定に合わせますので。本当、図々しくてごめんなさいね」
本当に図々しいなと思いながら、唯香は俯きながら笑いが飛び出してこないように、しっかりと瓶の蓋をするように唇をグッと噛んだ。
髪が長い方が“かたやま”だということは分かったので、もうひとりはどうでも良かったのだが、“かたやま”のことだけ尋くのも不自然に思われそうだったので、唯香は、ショートヘアの方の女の情報もついでに引き出そうとした。
「ショートヘアの方は、湯島奈津美さんといいます。奈津美さんのお子さんは男の子で、ピアノもとってもお上手なんですけど、サッカーに専念するためにピアノのレッスンは辞めてしまわれるそうなんです……勿体ないですけど、奈津美さんは海晴君の好きなことに専念させてあげたいって仰ってて」
(ああ、紀伊せいらって、ナチュラルにマウントとってくるタイプなのね)
唯香が心の中で毒づいている間に、栞が、まるで、芸能記者のようにぐいぐい、せいらにアプローチをしていた。
「あのう……初対面で、こんなことをお願いするのは図々しいかもなんですけど……」
少しだけ、前のめりになっていた姿勢を引いて、栞は、せいらの目をじっとみつめた。
「私にできることでしたら何でも仰ってみてください!」
せいらは、嘘なのか本心なのか、満面の笑みを浮かべながら言った。
「私たちの大学時代の友達で、谷川遥って子がいるんですけど、彼女の娘が、ちょうど、愛奏ちゃんたちと同じ7歳で、ピアノを習いたがってるって、この前、久しぶりに連絡取り合った時に言ってたんですよ。“紀伊ミュージックサロン”で習わせたいけど敷居が高いかなって悩んでいたんで、もし、少しでもお時間頂けたら……せいらさん……は世界を飛び回ってらっしゃるので難しいとは思うのですが……せいらさんのお友達の片山さんか湯島さんにお会いして“紀伊ミュージックサロン”のお話をお伺いすることって可能ですかね?」
「えっ! そうなんですか! すごく嬉しいですっ! ありがとうございます! 私は、来週からしばらく海外でお仕事なので……理花さんと奈津美さんにご予定お伺いしてみますねっ! 唯香さんと栞さんは、いつがご都合よろしいでしょうか?」
「わあっ! ありがとうございますっ! 私たちは、片山さんと湯島さんのご予定に合わせますので。本当、図々しくてごめんなさいね」
本当に図々しいなと思いながら、唯香は俯きながら笑いが飛び出してこないように、しっかりと瓶の蓋をするように唇をグッと噛んだ。
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