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Lovers~晴れのち曇り、時々雨~【スピンオフ】
最終話
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ふと目が覚めると辺りは真っ暗だった。
一体ここはどこで自分は何をしていたのか……。頭がぼんやりとしていて何も思い出せない。
そう考えた次の瞬間、すぐ横から穏やかな寝息が聞こえてハッとする。更に、肌に触れるその感触から、そこがベッドの上だということも理解できた。
もう一度周りを見回してみると、真っ暗だと思われたその部屋に、カーテンの隙間から外の明かりが薄らと入り込んでいるのが見えた。
きっと寝起きでよく見えなかっただけなのだろう。
ぱちぱちっと瞬きをした後、寝息が聞こえた方にゆっくりと顔を動かしてみる。そこには見慣れたイーサンの寝顔があった。その顔を見て、セバスチャンは漸くここが自分の部屋だと気が付きほっとする。
覚えていないが、何か嫌な夢でも見ていたのかもしれない。
ふぅっとゆっくり息を吐き出すと、ベッドの横にある時計へと手を伸ばす。しかし、イーサンが邪魔で手が届かない。
「くっ……」
精一杯手を伸ばしてみたが、やはり届かない。
実は、イーサンにしっかりと抱き締められていて動けないのだ。
「ったく……おい、起きろっ」
大きく溜め息を付くと、ぐっすりと眠っているイーサンを起こすことにした。
この男は一度寝ると朝まで起きないような人間なため、これで起きるかは分からない。
「…………」
やはり起きない。
「イーサンっ!」
もう少し大きな声で呼んでみるが、イーサンはすやすやと気持ち良さそうに寝息を立てていて、起きる様子は全くない。
「はぁ……もう、おいっ!」
段々その寝顔が腹立たしく思えてきたセバスチャンは、大きな声を上げ、自分にくっついているイーサンの頭を右手で強く叩いた。
「っ!?……いっ、てぇ……」
びくっと体が動き、ぼそりと低い声が聞こえてきた。
やっと起きたか? と顔を覗き込んでみる。
目をぎゅっと固く閉じた後、ぱちっとイーサンが目を開いた。その瞬間、セバスチャンと目が合う。
「まったくお前は……って、早く離れんか」
相変わらず強く抱き締めているイーサンの頭を先程よりは軽めに叩く。
「いてて……叩くなよ……」
寝起きでなんとも機嫌が悪そうに、顔を顰めながらイーサンが呟いた。
「離せと言っているんだ。時計が取れないだろう」
すかさずセバスチャンはむすっとした顔で文句を言う。
無理矢理起こしたのはそれが理由だ。今の時間が気になって仕方がない。
昼過ぎに自分の部屋に帰ってきてシャワーに入った。もちろんシャワーだけじゃ済まなかった。
しかも、あの後もバスタオルで体を拭き終わった瞬間にイーサンに抱き上げられてベッドに連れて来られ、ここでもまたしたのだ、アレを。
この男は体力も精力もありすぎだろうと呆れる。
何度したのか覚えていないが、自分は恐らく最中に気を失ってしまったのだろう。途中からの記憶が全くない。
あのままどれだけ眠っていたのかが分からない。もしかすると、夕食の時間も過ぎているのかもしれない。
(昼食も食べていないというのに……)
色んなことがありすぎて頭も混乱しているが、それよりも空腹で腹が立って仕方がない。
お腹が鳴りそうなのを必死で我慢する。
「あぁ、時計か……ほら」
ぼーっとしながら聞いていたイーサンは、セバスチャンがイライラとして考え事をしている間にぼそりと呟き、サイドテーブルにある時計を掴んで渡してきた。
「…………」
むっとしながらも黙って時計を受け取って時間を確認する。
午後の7時を回ったところだった。まだ夕食には間に合いそうだ。そう思った瞬間ほっとした。
しかし、気が緩んでしまったせいか、『ぐぅぅっ』とセバスチャンの腹の虫が盛大に鳴ったのだった。
「っ!?」
その音にびくっとして思わず顔が真っ赤になる。
「っ! ハ、ハハッ。なんだセバスチャン。機嫌が悪いと思ったら、腹が減ってたのか」
今までぼんやりとしていたイーサンは目を見開き驚いたが、すぐに大きな声で笑い出した。
「笑うなっ! 誰のせいだっ!」
「ハハハッ。怒るなって。余計に腹が減るぞ」
今までに見たことがないくらいにイーサンが笑い続けている。なんとも言えないくらいに腹の立つ満面の笑みで。
「まったくっ、お前が獣みたいにやるからっ」
恥ずかしすぎてなんだかとんでもないことを口走ってしまった気がする。
そのことに気が付き、更にセバスチャンの顔が赤くなった。
「ハハハッ。獣みたいって、いつもとそんなに変わんないだろ? 場所と体位と回数がちょっと違うくら――っいてっ!」
楽しそうに話すイーサンの言葉に、先程よりも強く頭を何度も叩く。
思い出してますます顔が熱くなっていた。
「なんだよっ。せっかく両想いになったんだから、いいだろっ。そんな怒んなよっ。体だって辛くないだろ?」
何度も頭を叩いているセバスチャンの手を掴むと、今度はイーサンが強い口調で反論する。
「…………」
言われて考えてみると、確かにいつものような体のだるさや痛みを感じない。
そのことに気が付き少しだけ怒りが収まった。
あんなことをしておきながら約束はきちんと守ったということか。
しかし、それでもなんとなく納得がいかず、むすっとした顔でイーサンを見る。
「何をむくれてんだよ。どこも痛くないだろ?」
口を尖らすセバスチャンに気が付き手を離すと、今度は心配そうな顔でイーサンが覗き込んできた。
セバスチャンの頭を優しくそっと撫でている。
「俺は子供か……」
頭を撫でられ更に口を尖らせる。
「別に子供じゃなくたって頭を撫でたりするだろ?」
そう言ってイーサンはチュッとセバスチャンの額にキスをした。
「……ほんとにお前は――」
言い掛けた瞬間、今度は唇にキスをされた。
唇と唇が重なるだけの軽く、そして優しいキスだった。
「セバスチャン……愛してるよ。これからもずっとな」
唇を離した瞬間、今までになく優しい顔で甘くイーサンが囁いた。
そんな年下の男を許してしまう自分は、本当に甘すぎだなと感じるセバスチャンであった。
一体ここはどこで自分は何をしていたのか……。頭がぼんやりとしていて何も思い出せない。
そう考えた次の瞬間、すぐ横から穏やかな寝息が聞こえてハッとする。更に、肌に触れるその感触から、そこがベッドの上だということも理解できた。
もう一度周りを見回してみると、真っ暗だと思われたその部屋に、カーテンの隙間から外の明かりが薄らと入り込んでいるのが見えた。
きっと寝起きでよく見えなかっただけなのだろう。
ぱちぱちっと瞬きをした後、寝息が聞こえた方にゆっくりと顔を動かしてみる。そこには見慣れたイーサンの寝顔があった。その顔を見て、セバスチャンは漸くここが自分の部屋だと気が付きほっとする。
覚えていないが、何か嫌な夢でも見ていたのかもしれない。
ふぅっとゆっくり息を吐き出すと、ベッドの横にある時計へと手を伸ばす。しかし、イーサンが邪魔で手が届かない。
「くっ……」
精一杯手を伸ばしてみたが、やはり届かない。
実は、イーサンにしっかりと抱き締められていて動けないのだ。
「ったく……おい、起きろっ」
大きく溜め息を付くと、ぐっすりと眠っているイーサンを起こすことにした。
この男は一度寝ると朝まで起きないような人間なため、これで起きるかは分からない。
「…………」
やはり起きない。
「イーサンっ!」
もう少し大きな声で呼んでみるが、イーサンはすやすやと気持ち良さそうに寝息を立てていて、起きる様子は全くない。
「はぁ……もう、おいっ!」
段々その寝顔が腹立たしく思えてきたセバスチャンは、大きな声を上げ、自分にくっついているイーサンの頭を右手で強く叩いた。
「っ!?……いっ、てぇ……」
びくっと体が動き、ぼそりと低い声が聞こえてきた。
やっと起きたか? と顔を覗き込んでみる。
目をぎゅっと固く閉じた後、ぱちっとイーサンが目を開いた。その瞬間、セバスチャンと目が合う。
「まったくお前は……って、早く離れんか」
相変わらず強く抱き締めているイーサンの頭を先程よりは軽めに叩く。
「いてて……叩くなよ……」
寝起きでなんとも機嫌が悪そうに、顔を顰めながらイーサンが呟いた。
「離せと言っているんだ。時計が取れないだろう」
すかさずセバスチャンはむすっとした顔で文句を言う。
無理矢理起こしたのはそれが理由だ。今の時間が気になって仕方がない。
昼過ぎに自分の部屋に帰ってきてシャワーに入った。もちろんシャワーだけじゃ済まなかった。
しかも、あの後もバスタオルで体を拭き終わった瞬間にイーサンに抱き上げられてベッドに連れて来られ、ここでもまたしたのだ、アレを。
この男は体力も精力もありすぎだろうと呆れる。
何度したのか覚えていないが、自分は恐らく最中に気を失ってしまったのだろう。途中からの記憶が全くない。
あのままどれだけ眠っていたのかが分からない。もしかすると、夕食の時間も過ぎているのかもしれない。
(昼食も食べていないというのに……)
色んなことがありすぎて頭も混乱しているが、それよりも空腹で腹が立って仕方がない。
お腹が鳴りそうなのを必死で我慢する。
「あぁ、時計か……ほら」
ぼーっとしながら聞いていたイーサンは、セバスチャンがイライラとして考え事をしている間にぼそりと呟き、サイドテーブルにある時計を掴んで渡してきた。
「…………」
むっとしながらも黙って時計を受け取って時間を確認する。
午後の7時を回ったところだった。まだ夕食には間に合いそうだ。そう思った瞬間ほっとした。
しかし、気が緩んでしまったせいか、『ぐぅぅっ』とセバスチャンの腹の虫が盛大に鳴ったのだった。
「っ!?」
その音にびくっとして思わず顔が真っ赤になる。
「っ! ハ、ハハッ。なんだセバスチャン。機嫌が悪いと思ったら、腹が減ってたのか」
今までぼんやりとしていたイーサンは目を見開き驚いたが、すぐに大きな声で笑い出した。
「笑うなっ! 誰のせいだっ!」
「ハハハッ。怒るなって。余計に腹が減るぞ」
今までに見たことがないくらいにイーサンが笑い続けている。なんとも言えないくらいに腹の立つ満面の笑みで。
「まったくっ、お前が獣みたいにやるからっ」
恥ずかしすぎてなんだかとんでもないことを口走ってしまった気がする。
そのことに気が付き、更にセバスチャンの顔が赤くなった。
「ハハハッ。獣みたいって、いつもとそんなに変わんないだろ? 場所と体位と回数がちょっと違うくら――っいてっ!」
楽しそうに話すイーサンの言葉に、先程よりも強く頭を何度も叩く。
思い出してますます顔が熱くなっていた。
「なんだよっ。せっかく両想いになったんだから、いいだろっ。そんな怒んなよっ。体だって辛くないだろ?」
何度も頭を叩いているセバスチャンの手を掴むと、今度はイーサンが強い口調で反論する。
「…………」
言われて考えてみると、確かにいつものような体のだるさや痛みを感じない。
そのことに気が付き少しだけ怒りが収まった。
あんなことをしておきながら約束はきちんと守ったということか。
しかし、それでもなんとなく納得がいかず、むすっとした顔でイーサンを見る。
「何をむくれてんだよ。どこも痛くないだろ?」
口を尖らすセバスチャンに気が付き手を離すと、今度は心配そうな顔でイーサンが覗き込んできた。
セバスチャンの頭を優しくそっと撫でている。
「俺は子供か……」
頭を撫でられ更に口を尖らせる。
「別に子供じゃなくたって頭を撫でたりするだろ?」
そう言ってイーサンはチュッとセバスチャンの額にキスをした。
「……ほんとにお前は――」
言い掛けた瞬間、今度は唇にキスをされた。
唇と唇が重なるだけの軽く、そして優しいキスだった。
「セバスチャン……愛してるよ。これからもずっとな」
唇を離した瞬間、今までになく優しい顔で甘くイーサンが囁いた。
そんな年下の男を許してしまう自分は、本当に甘すぎだなと感じるセバスチャンであった。
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