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第2章
パーティーが始まる
しおりを挟む「あまり時間もなく、多くの事を話していないようです。ただ、妻が生まれた時から見ていたという事。そして、この国に来るように妻のことをずっと呼んでいたという事でした。これだけしか話していないので、大事にもならない事と信じておりますが、せっかくの友好国ですので、その信頼を壊すことが無いようにと、このようなご報告とさせて頂きました」
フレッドがにこやかな笑顔でそう締めくくり、いくつか王と会話を交わした後、王との挨拶の場はお開きになった。
正直どくどくとずっと心臓が大きな悲鳴をあげていたけれど、とりあえず無事に終わってよかった……
私たちは一度邸に戻り、パーティーの準備をしてから再度王宮へ来ることになっている。
馬車に乗り込むと、フレッドが隣に座り、腰を引き寄せてくれるから、やっとホッと息を吐くことができた。いつの間にかこの人の手の中が一番落ち着ける場所になった。
邸に着くと応接室で陛下たちがお茶をしながら話をしていた。フレッドと私はさきほどあったことを報告した。それだけ済ませると私は部屋に戻りパーティーの準備を始める。パーティーまであまり時間がないんだから仕方がない。準備が終わると出発するまであと少しというところだった。
そして遂にパーティーが始まった。
本来ならこんな場で何かあるはずがない。それでも全員がもしもの事態に備える事にしている。
パーティーの始まりに、イヴァンカ国の王からカリシャール国の陛下夫妻、王太子夫妻、そして私たちも紹介され和やかな雰囲気で始まった。
イヴァンカ国の貴族が次から次へと挨拶を求めてくる。この機会に是非にでもカリシャール国とつながりを持ちたいのだ。魔法の力がだんだんと国全体で弱くなっているイヴァンカ国の貴族は、今までとは違う領地経営を行っていかなければと内心焦っているとショーン様が言っていた。今までは魔力があったからこそこれだけ栄えている国も、それがなくなってしまえばどうなるか分からない。そうなる前に魔力がなくても栄えているカリシャール国とつながりを持っておきたいという貴族が多いのだそうだ。
そんな思惑があり、絶えない挨拶の列を前にフレッドに断って、花摘みにいかせてもらう事にした。今日はドレス姿のアンと、一緒にパーティー会場に戻ろうとすると、その廊下には挨拶の時とは違うまたゴテゴテとして衣装に身を包んだ王女の姿が目に入ってきた。
あ~……まずい……
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