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チーズケーキ
しおりを挟む「あら、キャロルそれはなに?」
お母様がカートの上にあるチーズケーキを見て不思議そうに尋ねます。
「こちらはお嬢様が作られた、チーズのケーキでございます」
この世界で私はまだチーズのお菓子を見たことがありません。
サラダに乗せたり、料理には使うのですが、お菓子に使うという発想がないのかもしれない。だから昨日、コックたちにお願いして、チーズケーキを一緒に焼いてもらったの。
不思議とこの材料の使い方はわからなかったけど、確保してましたってものが多くて、クリームチーズやサワークリームもその一つだったから、気兼ねすることなく使うことにしたわ。だって、使い方がわかるなら教えてほしいって言われたもの。それなら遠慮なんてする必要ないし。
そうして一日冷蔵庫で冷やしたチーズケーキ。今回は時間をかけて焼き上げたベイクドチーズケーキをキャロルが一人一人の前に準備してくれる。
フォークをさして切り分けてガブリ。あぁぁ、あのお菓子の後だから最高に美味しい……スイーツって癒される……
「まぁ、、なんて美味しいの…濃厚な味なのに後味はすっと抜けていって、とっても美味しいわ。それにこの下のクッキーのような物も美味しい…
あぁ、幸せ…そう、スイーツに大事なのはこういうことよ!
でもシルヴィちゃん、これはどうやって作ったの?こんな美味しいもの食べたことないわよ」
まぁ、私も前世を思い出さなければ作れなかった物だし……
「以前なにかの本で読んだことがあったのを思い出し、作ってみたのです。美味しくできているのはきっとコックたちに手伝ってもらったからですわ」
そう、コックたちが材料を見つけて来てくれて、力がいる作業は変わって混ぜてくれたから美味しくなったのです。。ちょっと無理があるかな…まぁ、でもそれも事実だもの。混ぜが足りないと美味しくならないし、材料が変われば味も変わるもの。間違ってない!
「まぁそうなの?じゃあこの頂いたお菓子はどう思う?」
きっと母はこの頂いたお菓子も美味しくできるのはないかと思っているのかもしれない。いえ、本来は美味しいのかもって期待しているのかも。
確かにこのお菓子がこのまずさで流通してしまったら食べた皆がこのお菓子はまずいものという認識を持ってしまう。それはお菓子に失礼です。
「そうですね。見た目は可愛いですし、確かにお茶会には向いていると思います。ただ作った方が作り方を知らなかったのかもしれませんね。
以前読んだ本に似たような物もあった気がするので、一度作ってみてもいいですか?それを食べてお母様に判断してもらえばいいと思います」
その言葉に母の目が輝きました。
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