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陛下登場
しおりを挟む………でもこれって……最高じゃない?
ふと2階席に目をやるとお母様が扇子を軽くふってバイバイしてる。王妃様がその横で意気消沈してらっしゃる。その奥では陛下とお父様が話されてるのが見える。
なに話してるのかなんて知りようがないけど、お母様の様子からは好きにしなさいって感じかな。
と、勝手に解釈させて頂きまして。
「王子殿下。婚約破棄のお申し出、大変残念ではございますが、お受けいたします。しかしながら修道院に行くかどうかは父と母の許可が必要になりますので、ここでは承知いたしかねます。
また、男爵令嬢を虐めたとのことでしたが、私には身に覚えがありませんので、再度調べなおすことをおすすめいたします」
勝手に婚約破棄、受けさせていただきます!
だって、間違って陛下たちの横やりがはいったりなんかしたら嫌だもの。女は度胸だ!
「まだ自分の過ちを認めることすら出来ないとは。なんて醜い女なんだ!
公爵の許可など必要ない!衛兵!こいつを修道院に連れていけ!!」
…………わぉ…………
衛兵が誰も動かないけど、もしこれが実行されればこれって誘拐になるんじゃないでしょうか。
親にも誰にも許可を得ず、学生である王子の独断で女学生を修道院へ連れていく。
予想以上の壊れっぷり。よっ、あっぱれ!!
「やめぬか!!恥ずかしい!まず衛兵はそなたの勝手に使っていい部隊ではない!
そしてもし、勝手にシルヴィア嬢をそなたの独断だけで修道院などへ送ったりすればそなたは誘拐罪で逮捕だ。」
「ち、父上!?なぜここに」
王子が陛下の姿を確認し、驚いています。
陛下は2階から階段を降りてきながら声をあげ、王子の言葉を止めますが、もう会場の皆様が聞いていらっしゃいますものね。確かに恥ずかしい…
陛下の後を続くようにお父様と、あら、男爵もいらっしゃいますね。とても青い顔をして、よろよろと階段を降りてきています。大丈夫でしょうか。
「今日は保護者も参加できる会。来ていてもおかしくはない。それに今日はそなたの1か月の教育の成果を見る日だ。公爵と共に見ておったが、なぜひどくなっておる!そなたの理論は訳が分からぬわ。王子としても貴族としても人としてもおかしいことがなぜ気づけぬ」
「そんな!私は1か月間必死に教師から学びました!王たるもの自分の意見を持ち、王たるもの周りの意見を聞き、王たるもの力ないものは守るべきである。そんな思いを胸に必死で勉強いたしました。だからこそこの女の卑劣な行いがなおさら許せないのです。
力ない男爵令嬢を虐め、その家の商売にまで圧力をかける。そんな非道を堂々と行い、自分は王子の婚約者であり続けるなど許せるものではありません。
だからこそ、その曲がった性根を叩きなおしてやろうと修道院に送ろうとしたまで。決して誘拐などではありません!!」
王子には目がついていないのでしょうか。
周りのこの冷たい目。
なぜ見えないのでしょうね。
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