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私たちはジョシュエルの不貞など知らなかった
しおりを挟む確かにあの格好は場違いですよね…それは間違いありません。でも、出直しては来なくていいです…こんな茶番一度きりでお願いしたいですからね。
それに、すべてお終いなのはリリアンのせいではなく自分自身のせいです。
せめて結婚した時に関係を断っていれば、きっとこんな事にはなっていなかったのです。
「なっ!!私の格好のなにが悪いって言うのよ!!
それに私とは結婚しないですって!?あんなに早く結婚したいって言っていたじゃない!!」
はい。もう結構です。
招待客の皆様もお待たせしているのです。早くしましょう。
「どちらもそのようなことは後になさって下さい。
ジョシュエル、早く書いてください。それとも無理やりかかされたいですか?
それからゴルドー子爵、あなたにもこちらの書類をお渡しいたします。
裁判所からの正式な書類は後日届くでしょう。不貞取締法に基づき、ゴルドー子爵家を訴えますので正式な書類をお待ちください。今日中に私とジョシュエルの離縁は受理されるように動きますのでそのようにご承知おきください」
私のその言葉にずっと顔色を悪くしていた現当主と前当主は膝から崩れ落ちました。
さすが家族ですね。よく似ています。
「ま、待ってください。私たちはジョシュエルの不貞など知らなかったのです。
ジョシュエルは除籍いたします。だからどうかゴルドー家は赦していただけませんか?」
ジョシュエルの祖母、キャシー様がそう声をあげます。
なんて都合のいいことを。
「キャシー様、不貞取締法では家族も責を負うとあります。
その上でそのような言い訳をなさりたいのでしたら、通じるかどうかは裁判所になさってください。
まぁでも、先ほどからの様子ですと当主と前当主はご存じだったようですけどね」
「そ、そんな……ヴァネッサ様!どうか、どうか、赦していただけるようステファニーさんを説得頂けませんか!!」
ヴァネッサ、私のお祖母様に泣きつくのですね。
でも、それってきっと悪手ですよ。
先日誰より怒ってらっしゃいましたから…
「キャシー、まず最初にね、
私の可愛い可愛い孫の事をさん付けでなんて呼ばないで頂けるかしら?ステファニーは侯爵家当主よ!」
「そんな…先日まではそんなこと……」
「そうね、先日まではあなた方は私の大切な家族でしたもの。でも私のかわいい孫を傷つけるような、そんな男は私の家族なんかじゃないわ。
もちろんそんな男の家族も私の家族なんかじゃない。それなのにどうして私がステファニーを説得などしなければならないの!?
私がいうことは一つよ。ステファニー、徹底的にやりなさい!貴族社会、舐められてはいけないわ!」
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