旦那の真実の愛の相手がやってきた。今まで邪魔をしてしまっていた妻はお祝いにリボンもおつけします

暖夢 由

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9.入れられる荷物

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「カ、カダール?

どうしたの?

私はただこれからの私たちのためを思って一度奥様にご挨拶をしに」

パーン!!!

ナリッタは強い衝撃にめまいがした。
なにが起こったのか……頬に強い衝撃が走って、立っていられなかった。

地面に打つ腰の痛み、頬の痛みにカダールに叩かれたのだと理解した。

「挨拶だと?これからの私たちのためだと?
そんな余計なことをしたおかげで私はすべてを失ってしまった。
地位も財産も妻も貴族籍さえ…………」

「ちょ、ちょっと待って。どういうこと?
貴族籍を失った?あなたは伯爵家当主なんでしょう?
そんなことありえないじゃない」

ナリッタがそう言っている後ろでタンゼット伯爵家からきた者が馬車から荷物を運び出し、
ナリッタの家に入れていく。

「ちょっと待って、どうして荷物を私の家に入れるの?」

しかし従者はその質問にはこたえることはない。
荷物と言っても鞄一つのみ。

それを家に入れ終えると従者はまた馬車に戻っていく。

そして馬車の中から聞こえてくる女性の声。

「いやっ!!いやよ!!私はこんなところで下りないわ!!
伯爵家に連れて帰って!!」

あの馬車の中にいるのは誰?
キュリールはあんな声ではなかったし、きっとあんな風に荒げた声も出さない。

それならあの声は誰?
そんなことを考えていると従者に力づくで馬車からおろされた女性が出てきた。

その女性は胸元が丸見えな真っ赤なドレスを着ていて、従者の手を振りほどこうと必死だが、男性の力に敵うはずもなく、抵抗むなしくナリッタの家に入れられてしまった。

なに?どうして?あの女性は私の家に入れられているの?

わけがわからないナリッタの元に従者が一つの鞄をもって歩み寄ってきた。

「こちらタンゼット家当主からのプレゼントになります。
当主があなたには心から感謝しておりましたので、遠慮は結構です。リボンはすでに家に入れておりますので後ほどご確認ください。それでは」

そう言って従者は馬車の運転席へ戻り、ナリッタの言葉を待つこともなく馬をすすめてしまった。

『待って、何この状況。
私が思っていたのとは全然違う。
今日私の人生はすべて変わるはずだったのに何が起こったの?』

ナリッタは心の中で叫んでいた。

本当はカダールに向けて叫びたいが、いまだはたかれた恐怖で声を出すことができないでいるのだ。
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