選ばれたのは私ではなかった。ただそれだけ

暖夢 由

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58.クソ裁判長

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「ちょっと!!
あなた裁判長なんでしょ!!!もっとちゃんとしなさいよ!私を信じるって言ったじゃない!!それなのにその判決は何なの!?悪いのはナタリアだって言ってるじゃない!!

どうして私が荷物を運ぶ船になんて乗んなきゃいけないのよ!!!!
早く取り消して!!そんなのナタリアにさせとけばいいのよ!!!!!」

傍聴人たちの中で揺れ動いていた針は一定の方に傾いて止まった。
これは仕方がない判決なのだ。いや、もっと重たいものでもいいのかもしれない。この様子を見れば、今の判決でも少しでも将来に懸けてみたいと軽くしたのかもしれない。
そんなことさえ思った。

「はっはっはっ、本当にこれほど頭のおかしな女性も初めて見ますよ。

しかし、まだ判決の読み上げは終わっていません。

アルバ・ヨランダに関しては法廷でのナタリア・パレドス及びマリア・パレドスへの侮辱罪が適用されます。
よって先程の刑に加え、3年間のアルジラの服毒を命じます。

あぁ!アルジラの服毒に関しては植物研究家と医師も確認を行いながらとするので心配は不要ですよ」

「はあ?このクソ裁判長何言ってんのよ!私の話を信じて無罪にするのが話の流れでしょう?それなのに何をどうしたらナタリアが飲んでた毒を飲むなんて話になるのよ!ばかじゃないの!!

だいたいそんなことしたら死んじゃうじゃない!!!あんた馬鹿なの!?」

この言葉に裁判長以外の裁判職員は鬼のような形相になりアルバをにらみつけている。またアルバの周りに控えている兵士もいつ捕らえていいのかと指示待ちのようにジリジリと距離を詰めている。
それなのに当の裁判長だけは今でもニコニコとしているままだった。

「ハハハ、クソ裁判長ね!
本当にこんなに楽しませてくれる人はいないなぁ。 

しかし、今の言葉は裁判長への侮辱行為であり、裁判への冒涜行為としてさらに1年間のアルジラの服毒を追加します」

「はっ、はぁ!????
そんなのしっけん乱用よ!!!

取り消しなさいよ!!!!」

「はっはっはっ!
しっけん乱用とはなんでしょうね。それを言うのなら職権濫用。まったく学がない」
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