選ばれたのは私ではなかった。ただそれだけ

暖夢 由

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76.侯爵家令嬢


「エミリオ様、ごきげんよう。
今日も変わらずエミリオ様は素敵ですわね。
私今日もエミリオ様にお会いできると思うとドキドキしてよく眠れなかったのです。

エミリオ様…、あの、、実は…父が所有する劇場の演目が最近とても人気なんですのよ。
ご存知ですか?」

そう言った女性はピンク色の髪の毛の可愛らしい女性。
そして劇場を所有する家の令嬢ということはストム侯爵家のご令嬢、マドレーヌ様で間違いないだろう。

そういえば今日も馬車の中でストム家の劇場で行われている演目『すれ違いの末に結ばれた2人』がとても人気で、予約がなかなかとれないそうだと話に上がっていた。

「マドレーヌ嬢、ごきげんよう。
おほめ頂き光栄です。

もちろんストム侯爵家の劇場で行われている演目は存じております。巷でも人気が高い演目だと聞きましたので、先日伺ったところだったのですよ。
噂にたがわず、大変興味深い演目でしたよ」

満面の笑みでそう言い切ったエミリオ様。
あら?…………あらら?

「まぁ、もうご覧になられたのですか?
ご覧になるときは一声かけてくだされば私一番いいお席をご用意いたしましたのに。
では今度は一番いいお席でご一緒にいかがですか。私エミリオ様のためにすでにご用意しておりますの」

顔を赤く染めてそのように誘うマドレーヌ様はとても可愛らしく見える。
それに女性からこのように男性を誘うのはきっと勇気がいるだろう。
それなのに………

「マドレーヌ嬢、過分なご配慮いただきありがとうございます。しかし私の中で観劇とはチケットを取るところから始まるのです。
そのため、他人に用意されたチケットではどうも見る気が起こりませんので、そのチケットはぜひほかの方とご利用されてください。

さて、私たちはまだ挨拶まわりが終わっておりませんので失礼いたしますね。
ナタリー、行こうか?」

こうして女性からの誘いもすげなく断ってしまうから”青冷の貴公子”なんて呼ばれてしまうのだろう。


「あら?そちらの女性は?」

エミリオ様の別れの言葉をものともせず言葉を続けるマドレーヌ様。顔には微笑みを浮かべているがその視線は鋭く私に向けられていた。
アミおば様はこういったことをうまくできるようにときっと社交の場でエミリオ様をエスコートにしたのですね。これはうまく対処しなければ!!
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