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婚約破棄から始まる
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「シャロン、君とは婚約破棄をする。そして君の妹ミカリーナと結婚することとした。」
私が婚約者であるクワッド伯爵家次男 ダレン・クワッド様よりこのお言葉を頂戴したのは早6か月前。
「君は妹であるミカリーナに対し、明るみに出ることはないと考え、今まで見下し、暴言を吐いていたのだろう。そのような貴族の慎みも持たぬものが侯爵家の一員とは恥ずべきことだ。よって私はミカリーナと結婚し、この侯爵家を盛り立てていくこととする。」
とのこと。
確かに義理の妹は父の後妻キャロル様が連れてきた子で、元々平民として生まれ育ったため、言動すべてにおいて貴族としての行いができておらず、眉をひそめることが多かったのです。しかし、そのことで見下したことはないし、暴言など吐いたことはない。その場その場において貴族らしい振る舞いができるように小声では伝えたこともありましたが…
ちなみに、「暴言とはどのようなことでしょうか」と尋ねると、「そんなことも分からぬとは貴族の恥でしかない」と一蹴され、そのまま部屋を出て行ってしまわれたのでとりつく島もありませんでした。
そんなこともあって今日は義妹ミカリーナと元婚約者ダレン様の結婚式当日。
厳かな教会での式を終え、豪華絢爛と言うよりもゴテゴテしい衣装に身を包んだ主役のお二人がパーティー会場にて大声を張り上げた。
「シャロン、本日を持って、私とミカリーナは夫婦となった。なにか言うことはないか」
「そうよ、お義姉様。なにか言うことはないの」
どうしてこのように招待客も多く、祝いの席なのに事を明らかにさせたいのか、その心の内が理解できないが、なにか言うことはないかと問われれば言わなければならないことはある。
「ダレン様、ミカリーナ、本日はご結婚おめでとうございます。
お伝えしなければならないことはあるのですが、このような公衆の面前で申し上げることではないかと…」
と、含みを持つように伝えてみても、汲み取ってくれるようなお二方ではなかった。
「この祝いの席だからこそ言っている。今まで見下していたミカリーナに伝えることがあるのではないか。」
どうしたものかとあたりを見渡してみると困惑顔の招待客。そして主役の二人の後ろにはニヤニヤと嫌らしい笑みを浮かべた私の両親。同じように下卑た顔のダレン様の両親が見えた。
その顔を見てはぁと小さくため息を吐き、決心して口を開く。
「畏まりました。それでは招待客の皆様僭越ながら失礼いたします。
ミカリーナ、並びにお父様、お義母様、そしてダレン様。
早速で大変申し訳ないのですが、荷物はすでにまとめておりますので明日までには屋敷を出て行って頂けますか?」
「「「「…………………は?」」」」
驚愕の顔をして、私を皆さんが見つめている。
嫌だわ、そんなに見つめられると恥ずかしくなってしまいますわ...
私が婚約者であるクワッド伯爵家次男 ダレン・クワッド様よりこのお言葉を頂戴したのは早6か月前。
「君は妹であるミカリーナに対し、明るみに出ることはないと考え、今まで見下し、暴言を吐いていたのだろう。そのような貴族の慎みも持たぬものが侯爵家の一員とは恥ずべきことだ。よって私はミカリーナと結婚し、この侯爵家を盛り立てていくこととする。」
とのこと。
確かに義理の妹は父の後妻キャロル様が連れてきた子で、元々平民として生まれ育ったため、言動すべてにおいて貴族としての行いができておらず、眉をひそめることが多かったのです。しかし、そのことで見下したことはないし、暴言など吐いたことはない。その場その場において貴族らしい振る舞いができるように小声では伝えたこともありましたが…
ちなみに、「暴言とはどのようなことでしょうか」と尋ねると、「そんなことも分からぬとは貴族の恥でしかない」と一蹴され、そのまま部屋を出て行ってしまわれたのでとりつく島もありませんでした。
そんなこともあって今日は義妹ミカリーナと元婚約者ダレン様の結婚式当日。
厳かな教会での式を終え、豪華絢爛と言うよりもゴテゴテしい衣装に身を包んだ主役のお二人がパーティー会場にて大声を張り上げた。
「シャロン、本日を持って、私とミカリーナは夫婦となった。なにか言うことはないか」
「そうよ、お義姉様。なにか言うことはないの」
どうしてこのように招待客も多く、祝いの席なのに事を明らかにさせたいのか、その心の内が理解できないが、なにか言うことはないかと問われれば言わなければならないことはある。
「ダレン様、ミカリーナ、本日はご結婚おめでとうございます。
お伝えしなければならないことはあるのですが、このような公衆の面前で申し上げることではないかと…」
と、含みを持つように伝えてみても、汲み取ってくれるようなお二方ではなかった。
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