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一週間の旅行…もとい出張から帰ってきても、理来との間に目立った進展はなく、俺は段々と焦りとイラつきが募るのを感じ始めていた。
だけど、明らかに本命相手だろうと思える内容の食事に誘ったり、抱き寄せて写真撮ったりと俺の方はかなりあからさまに好意を示しているつもりだ。
誰に対しても距離を一定置いている方だと思うので、これで俺の気持ちに気が付かないはずは無いだろう…もしかして判っていて俺を振り回しているのか?悪女なのか?
それとも、理来は俺に好意が無いからワザと気づかないフリをしているとか…。
マイナス思考に陥ってドンドンとへこんでいく…。
ため息を零した時、『あれ?北条、今日元気ないな?今から男連中だけで飲みに行こうって話しているんだけど、お前もたまには来ないか?』と西野が誘ってくれた。
…男だけの飲み会なら、しつこい能面女どもに纏わりつかれることも無いし…少しは気晴らしになるか…そう思い参加した飲み会で俺は更に自分の首を絞めることになる。
「北条先輩、初めまして!俺、税務課の新人で佐々木圭太って言います。よろしくお願いします」
ニコニコとビール瓶片手にお酌に来てくれた男子…今年の新人はマメなやつが多いな…。そう思いながらお酌を受ける。
「いやー俺、北条先輩の事ずっとカッコいい人がいるなって憧れていたんですよ‼なんか、モデルみたいなイケメンだなーって思って」
…うん、処世術も完璧だ。最近の新人は本当にすごいわ。
そう思いつつ適当に話を聞いていると西野が『おい!飲んでいるか~?』と割って入ってきた。煩いやつが来たなと思いつつも『おかげさまで』と軽くあしらうと『相変わらずつれないな~』と何が楽しいのか笑い出した。
「おい、佐々木!こいつはイケメンだけれどツンデレだと俺は睨んでいる。こんな奴と飲んでいても楽しくないだろう?」
憎たらしいことを言うな。…当たっているけど…。
「そんなことありませんよ!北条先輩に俺、ずっと憧れていたんで近くでお話しできてすっげー嬉しいです」
佐々木が熱く反論するが俺は逆にギョッとした。…お前まさか男好きじゃないだろうな?
若干不安になるも、西野も同じことを感じたようで、『おいおい、そんなにムキになるところを見るとお前、北条LOVEの男好きじゃないだろうな?』とはっきり聞きやがった。もう少しオブラートに包めないものだろうか…。
「ちょ、ちょっと待ってください⁈そんな訳ないじゃないですか?勿論、俺は女の子の方が好きですよ?北条先輩には男としての憧れっていうか…本当にそれだけです‼」
ムキになって否定され、安心した。本当に良かった…そうじゃなきゃ今後は安心して職場の飲み会にも参加できなくなるところだった。酔って襲われたらシャレにならないしな。
しかし、西野はしつこく『本当か?怪しいな~…じゃあ、どんな女が好みなんだよ』と絡む。…こいつ絡み酒だったのか…ウザいな…。
佐々木は西野の挑発に、うーん…と少し考えると、いきなり俺の酔いを醒ます発言をかましてきた。
「同期で入った東雲さんとか、可愛くないですか?俺、ああいうおっとりした雰囲気の女の子が好みなんですよね」
…危なく酒を吹きだすところだった…。まさか、コイツまで理来を狙っていたとは…。
「え~⁈うちの新人の?…それだったら南原うららかの方が胸もでかいし、美人だと思うけどな~」
西野がぼやく。…まあ、その意見は全面否定するが、佐々木の興味を逸らしてくれるのならありだな。
「いやぁ…南原さんって性格がキツそうだし、俺としては東雲さんみたいな優しい雰囲気の娘の方がタイプですね。…今度、食事にでも誘ってみようかな…な~んて」
佐々木が照れながら言うのを俺は内心焦りと不安から聞いていた。
「佐々木、お前さ…」思ったよりも低い声が出る。
「理来は俺のだから」そう言うと佐々木は呆然と見た後、『え…東雲さんと北条さんて付き合っているんですか?』と西野と俺を交互に見た。
俺はそれに否定も肯定もせず、ビールを一気にあおるとグラスを机に叩きつけた。
「人のモノに手を出すなら…俺を敵に回す覚悟はあるんだよな…?」
そう言うと青い顔で見つめる佐々木に微笑みかけた。…きっと相当冷たい笑い方だったんだろうな…と思う。俺、本当に余裕なさすぎかよ…。
「あの、北条先輩が東雲さんと付き合っているなんて知らなくて…俺…すみませんでした」
そう言うと佐々木は逃げて行ってしまった。涙目だったみたいだし、少し可哀そうな気もするが、理来に手を出される前に牽制できたのだから良しとしよう。
「北条…お前と東雲が付き合っていたとは俺、知らなかったわ…いつの間に…」
西野は俺を横目で見るが、俺は付き合っているなんて一言も言っていない。
「…内緒な…?」そう言って西野を見ると『そっか、判った。任せておけよ』と満面の笑顔で胸を叩いた。
…そう、コイツを信用してはいけないと判っていたのに…。
翌日、出勤した俺はいきなり能面女子職員から『お話があるんですけれど…』と呼び出しを受けた。
…朝からかよ?迷惑だな…そう思いつつも仕方なく庁舎裏の駐車場へついて行くとそこには十人近い女子職員が集まっていた。
…てっきり告白か?と思い込んでいた俺だが、もしかしたら別件だったのだろうか?あからさまに面倒くさそうな顔をして悪かったかな…と少しだけ反省しつつも条件反射で『何か用事かな?』とほほ笑んでしまう己が憎い…。
目の前の女性職員が代表して俺の前に進み出ると意を決したように俺を見上げた。
「あの…北条さんが東雲さんとお付き合いしているって本当ですか?」
…昨日の今日で噂が駆け巡っていることに驚きを隠せない拓海だった。
だけど、明らかに本命相手だろうと思える内容の食事に誘ったり、抱き寄せて写真撮ったりと俺の方はかなりあからさまに好意を示しているつもりだ。
誰に対しても距離を一定置いている方だと思うので、これで俺の気持ちに気が付かないはずは無いだろう…もしかして判っていて俺を振り回しているのか?悪女なのか?
それとも、理来は俺に好意が無いからワザと気づかないフリをしているとか…。
マイナス思考に陥ってドンドンとへこんでいく…。
ため息を零した時、『あれ?北条、今日元気ないな?今から男連中だけで飲みに行こうって話しているんだけど、お前もたまには来ないか?』と西野が誘ってくれた。
…男だけの飲み会なら、しつこい能面女どもに纏わりつかれることも無いし…少しは気晴らしになるか…そう思い参加した飲み会で俺は更に自分の首を絞めることになる。
「北条先輩、初めまして!俺、税務課の新人で佐々木圭太って言います。よろしくお願いします」
ニコニコとビール瓶片手にお酌に来てくれた男子…今年の新人はマメなやつが多いな…。そう思いながらお酌を受ける。
「いやー俺、北条先輩の事ずっとカッコいい人がいるなって憧れていたんですよ‼なんか、モデルみたいなイケメンだなーって思って」
…うん、処世術も完璧だ。最近の新人は本当にすごいわ。
そう思いつつ適当に話を聞いていると西野が『おい!飲んでいるか~?』と割って入ってきた。煩いやつが来たなと思いつつも『おかげさまで』と軽くあしらうと『相変わらずつれないな~』と何が楽しいのか笑い出した。
「おい、佐々木!こいつはイケメンだけれどツンデレだと俺は睨んでいる。こんな奴と飲んでいても楽しくないだろう?」
憎たらしいことを言うな。…当たっているけど…。
「そんなことありませんよ!北条先輩に俺、ずっと憧れていたんで近くでお話しできてすっげー嬉しいです」
佐々木が熱く反論するが俺は逆にギョッとした。…お前まさか男好きじゃないだろうな?
若干不安になるも、西野も同じことを感じたようで、『おいおい、そんなにムキになるところを見るとお前、北条LOVEの男好きじゃないだろうな?』とはっきり聞きやがった。もう少しオブラートに包めないものだろうか…。
「ちょ、ちょっと待ってください⁈そんな訳ないじゃないですか?勿論、俺は女の子の方が好きですよ?北条先輩には男としての憧れっていうか…本当にそれだけです‼」
ムキになって否定され、安心した。本当に良かった…そうじゃなきゃ今後は安心して職場の飲み会にも参加できなくなるところだった。酔って襲われたらシャレにならないしな。
しかし、西野はしつこく『本当か?怪しいな~…じゃあ、どんな女が好みなんだよ』と絡む。…こいつ絡み酒だったのか…ウザいな…。
佐々木は西野の挑発に、うーん…と少し考えると、いきなり俺の酔いを醒ます発言をかましてきた。
「同期で入った東雲さんとか、可愛くないですか?俺、ああいうおっとりした雰囲気の女の子が好みなんですよね」
…危なく酒を吹きだすところだった…。まさか、コイツまで理来を狙っていたとは…。
「え~⁈うちの新人の?…それだったら南原うららかの方が胸もでかいし、美人だと思うけどな~」
西野がぼやく。…まあ、その意見は全面否定するが、佐々木の興味を逸らしてくれるのならありだな。
「いやぁ…南原さんって性格がキツそうだし、俺としては東雲さんみたいな優しい雰囲気の娘の方がタイプですね。…今度、食事にでも誘ってみようかな…な~んて」
佐々木が照れながら言うのを俺は内心焦りと不安から聞いていた。
「佐々木、お前さ…」思ったよりも低い声が出る。
「理来は俺のだから」そう言うと佐々木は呆然と見た後、『え…東雲さんと北条さんて付き合っているんですか?』と西野と俺を交互に見た。
俺はそれに否定も肯定もせず、ビールを一気にあおるとグラスを机に叩きつけた。
「人のモノに手を出すなら…俺を敵に回す覚悟はあるんだよな…?」
そう言うと青い顔で見つめる佐々木に微笑みかけた。…きっと相当冷たい笑い方だったんだろうな…と思う。俺、本当に余裕なさすぎかよ…。
「あの、北条先輩が東雲さんと付き合っているなんて知らなくて…俺…すみませんでした」
そう言うと佐々木は逃げて行ってしまった。涙目だったみたいだし、少し可哀そうな気もするが、理来に手を出される前に牽制できたのだから良しとしよう。
「北条…お前と東雲が付き合っていたとは俺、知らなかったわ…いつの間に…」
西野は俺を横目で見るが、俺は付き合っているなんて一言も言っていない。
「…内緒な…?」そう言って西野を見ると『そっか、判った。任せておけよ』と満面の笑顔で胸を叩いた。
…そう、コイツを信用してはいけないと判っていたのに…。
翌日、出勤した俺はいきなり能面女子職員から『お話があるんですけれど…』と呼び出しを受けた。
…朝からかよ?迷惑だな…そう思いつつも仕方なく庁舎裏の駐車場へついて行くとそこには十人近い女子職員が集まっていた。
…てっきり告白か?と思い込んでいた俺だが、もしかしたら別件だったのだろうか?あからさまに面倒くさそうな顔をして悪かったかな…と少しだけ反省しつつも条件反射で『何か用事かな?』とほほ笑んでしまう己が憎い…。
目の前の女性職員が代表して俺の前に進み出ると意を決したように俺を見上げた。
「あの…北条さんが東雲さんとお付き合いしているって本当ですか?」
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