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■7.ただ俺が見てみたいんだよ ◆浅石佑次
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「浅石君のせいで、もう全部めちゃくちゃ……。なんで吹奏楽応援をやりたいなんて言い出したのよ。私は……吹部はただ、部の名前を貸しただけなのに……っ」
手で顔を覆い、とうとう、わっと泣き出してしまったなずなに胸が締め付けられる。
「私はただ、可もなく不可もなく平均点を取りたいだけなんだよ。本当は目立つこともあんまり得意じゃないし、部長になったのだって、みんながやってほしい空気を出してたから、それを読んで平均点を狙っただけ。部長なんて器じゃないんだって、私は。計算とか打算とか、どうやれば平均点を取れるかを常に考えてる。……ねえ、言いなりになることと、みんなの意見の多いほうを取るのって、どう違うのかな? じゃあ私はどうしたいのかって聞かれても、ずっとそうやってきたから、急にはわかんないんだって」
泣き細った声で語られるのは、彼女の心の奥底からの悲痛な叫びだった。平均点を狙いにいくようになった事情はわからないが、きっとなずなには、そうするだけの理由があったのだ。今まではそれで上手くやってこれた。でも、佑次の出現をきっかけに、それが徐々に狂いはじめ、自分ではどうすることもできなくなるまで修正が効かなくなったのだろう。
「……ごめん、それは俺にもわかんない」
苦虫を嚙み潰したような思いで言いながら、佑次は改めて思い出していた。
応援に吹奏楽を取り入れたいんだけどと初めてなずなに話を持ちかけたときも、事あるごとに生徒会室に呼ばれたときも、彼女は嫌な顔こそしなかったが、二言目にはいつも『顧問の先生や部のみんなと相談して』『部に持ち帰って』と明言は避けていた。
そんな曖昧な態度から、本気で自分たちに付き合ってくれているのか怪しいと思ったりもしたが、でも同時に、自分の一存で決められることではないからだと納得もしていた。
そんな、一見するとどっちつかずな態度こそ、彼女の言う〝平均点を狙う〟ということだったのだろうと今ならわかる。彼女は彼女の信条で、あえてそうしていたのだ。
けれど、それと言いなりになることとの違いを聞かれたら、佑次にも上手く答えられなかった。ふらふらしているように見えて、その実、しっかりと〝真ん中〟であり続けようとした彼女だからこそ、思いもしなかったことで傷つき、悩ませることになってしまって本当に申し訳ない。
そんな中で、じゃあ自分はどうしたいのかと聞かれてもすぐには答えが出せないことも、彼女が歩んできた道を思えば、すんなりと納得できるような気がした。
スンと鼻をすすり、なずなが言う。
「まあ、そうだろうね。中島にも言われたし。部長としては間違ってないと思うけどって。でも、たまにすごくイライラするんだって。そのときはすっごいムカついたけど、でもわかってる。私がこんなふうになっちゃったのは、図星を突かれたからなんだよね。自分でもそんな自分に薄々イライラしてたもん。……でもやっぱり、許せなくて。心の中ではそんなことを思ってたんだって知って、じゃあもう私なんて部にいらないじゃんって。平均点を取るんだって気持ちで今までやってきたけど、もうどうでもよくなっちゃったんだよね」
「……そっか。でもすごいな、西窪は。自分のことをちゃんと見つめ直せて」
「だからって簡単に許せることじゃないけどね。顔も見たくないし、話なんてもっと聞きたくない。どうせ、悪かった、許してくれって言われることはわかってる。そうしたら許さなきゃいけない。傷ついた気持ちはもう元には戻らないのに、あんまりだよ」
「そうだよなぁ。そんなの、西窪ばっかり可哀そうだ」
「もとはと言えば全部浅石君のせいなのに、調子いいこと言わないで」
「ごめん」
「てか、なに言ってんだろ、私。ちゃんと学校に戻るから、もう行ってくれる?」
はあ……と細いため息を吐くと、なずなは佑次から体ごと背けて言った。ちらりと見えた目元はまだ濡れてはいるが、心の中を吐き出していくぶんすっきりしたのか、もう涙は流れていなかった。声にも冷静さを取り戻していて、西窪がそう言うんだったらひとりで先に戻っても彼女もあとからちゃんと戻ってくるんだろうと素直に思える。
「じゃあ、傘、ここに置いていくから。ちゃんと差して戻ってきて」
自分のせいで傷つけてしまった相手。声を漏らして泣かせてしまった相手。そうは言っても、かなり後ろ髪を引かれる思いだ。けれど、泣き顔を見られたくない気持ちも十分に察せた佑次は、少し考えて彼女の言うとおりにしようと心を決めたのだ。
「わかってるよ。だから早く行ってよ」
つっけんどんな態度のなずなに軽く苦笑し、佑次は雨の中を再び歩き出す。
これで彼女がなににどう苦しんでいるのか、わかった気がした。言葉にするのは難しいけれど、アニマル柄のスニーカーを愛用しているくらいだ。きっと潜在的に今の自分に限界や閉塞感を感じていたのだろう。そこから抜け出したいと思っていたのかもしれない。じゃなかったら、あのスニーカーがあんなに似合うわけがないのだから。
「――あ」
数歩進んで、佑次は振り返る。「西窪」と呼ぶと、なずながこちらを向く。
「全部俺のせいなんだけどさ、やっぱ俺、吹奏楽応援がやりたいよ。ただ俺が見てみたいんだ。総会のときは、やる意義とか、新しい伝統にしたいとか言ったけど、そのときはぶっちゃけ、なんも考えてなかったと思う。でも今は、心から見てみたいと思ってる。やっと俺の中で吹奏楽応援をやる意味が見つかったんだよ。それだけ、言っておきたかったんだ」
ニッと笑って言うと、なずなは目を瞠って、やがて伏し目がちにふっと笑った。その微笑の意味するところは佑次にはわからなかったけれど、失笑でも苦笑でも、彼女が少しだけでも笑ってくれたことが、佑次は単純に嬉しかった。
「やっと主役の登場だな。ったく、遅せえんだよ」
行きと同じ道を引き返していると、ふと目を上げた先に島島コンビの姿があり、佑次の頬は思わず緩んでしまった。考えることは同じだったのだろう。ふたりも下駄箱に靴がないことに気づいて傘を差す時間さえ惜しくて学校を飛び出してきたらしい。
「部長なら、ここからちょっと行った先のコンビニにいるから」
立てた親指で後ろを指すと、傘も差さずに雨に打たれるままになっていたふたりは、とたんに佑次の脇をすり抜けて大きな通りのほうへ駆けていった。おいおい、ありがとうもないのかよ、と軽く苦笑しつつ、ふたりの手にそれぞれ握られていた傘を横目に、佑次の心はなんとも言えない、じんわりとした温かい気持ちに包まれていった。
おそらく佑次と同じ考えに至って傘を届けようとしているのだろうけれど、佑次もなずなのところに一本置いてきたばかりだ。もう二本も増えたら、結局三人で一本ずつ差して帰ることになってしまうんじゃないだろうか。島島コンビがなずなを自分の傘に入れようとして無駄なケンカをはじめる場面が想像されて、思わずクックと肩が揺れる。
呆れたように笑うなずな。ケンカをしていた島島コンビも、そんななずなを見てへらりと笑う。そして三人で一本ずつ傘を差して、ぽつぽつと会話しながら一緒に学校に戻るのだ。
そんな姿が容易に脳裏に浮かんで、ぽかぽかと胸が温かかった。
*
しかしその後、佑次は二日ほど寝込むことになった。
まだ降りはじめの弱い雨だったものの、一足先に学校に戻ってから、ろくに髪も体も拭かずに午後の授業を受けたことが、どうやら風邪を引いてしまった原因らしい。
母親に「そんなの当たり前でしょ、このバカ息子!」と頭を叩かれたのは言うまでもないことだったが、妹にまで「だからバカなんだよ」と冷ややかな目で一瞥されたことが、心身ともに弱っている身にはかなり堪えたのもまた事実だった。
なかなかにひどい風邪で、普段は市販の風邪薬でやり過ごすことも多い佑次も、さすがに親に頼んで医者の薬を処方してもらったほどである。そんなときの妹の冷めた目ほど、つらいものはなかった。
手で顔を覆い、とうとう、わっと泣き出してしまったなずなに胸が締め付けられる。
「私はただ、可もなく不可もなく平均点を取りたいだけなんだよ。本当は目立つこともあんまり得意じゃないし、部長になったのだって、みんながやってほしい空気を出してたから、それを読んで平均点を狙っただけ。部長なんて器じゃないんだって、私は。計算とか打算とか、どうやれば平均点を取れるかを常に考えてる。……ねえ、言いなりになることと、みんなの意見の多いほうを取るのって、どう違うのかな? じゃあ私はどうしたいのかって聞かれても、ずっとそうやってきたから、急にはわかんないんだって」
泣き細った声で語られるのは、彼女の心の奥底からの悲痛な叫びだった。平均点を狙いにいくようになった事情はわからないが、きっとなずなには、そうするだけの理由があったのだ。今まではそれで上手くやってこれた。でも、佑次の出現をきっかけに、それが徐々に狂いはじめ、自分ではどうすることもできなくなるまで修正が効かなくなったのだろう。
「……ごめん、それは俺にもわかんない」
苦虫を嚙み潰したような思いで言いながら、佑次は改めて思い出していた。
応援に吹奏楽を取り入れたいんだけどと初めてなずなに話を持ちかけたときも、事あるごとに生徒会室に呼ばれたときも、彼女は嫌な顔こそしなかったが、二言目にはいつも『顧問の先生や部のみんなと相談して』『部に持ち帰って』と明言は避けていた。
そんな曖昧な態度から、本気で自分たちに付き合ってくれているのか怪しいと思ったりもしたが、でも同時に、自分の一存で決められることではないからだと納得もしていた。
そんな、一見するとどっちつかずな態度こそ、彼女の言う〝平均点を狙う〟ということだったのだろうと今ならわかる。彼女は彼女の信条で、あえてそうしていたのだ。
けれど、それと言いなりになることとの違いを聞かれたら、佑次にも上手く答えられなかった。ふらふらしているように見えて、その実、しっかりと〝真ん中〟であり続けようとした彼女だからこそ、思いもしなかったことで傷つき、悩ませることになってしまって本当に申し訳ない。
そんな中で、じゃあ自分はどうしたいのかと聞かれてもすぐには答えが出せないことも、彼女が歩んできた道を思えば、すんなりと納得できるような気がした。
スンと鼻をすすり、なずなが言う。
「まあ、そうだろうね。中島にも言われたし。部長としては間違ってないと思うけどって。でも、たまにすごくイライラするんだって。そのときはすっごいムカついたけど、でもわかってる。私がこんなふうになっちゃったのは、図星を突かれたからなんだよね。自分でもそんな自分に薄々イライラしてたもん。……でもやっぱり、許せなくて。心の中ではそんなことを思ってたんだって知って、じゃあもう私なんて部にいらないじゃんって。平均点を取るんだって気持ちで今までやってきたけど、もうどうでもよくなっちゃったんだよね」
「……そっか。でもすごいな、西窪は。自分のことをちゃんと見つめ直せて」
「だからって簡単に許せることじゃないけどね。顔も見たくないし、話なんてもっと聞きたくない。どうせ、悪かった、許してくれって言われることはわかってる。そうしたら許さなきゃいけない。傷ついた気持ちはもう元には戻らないのに、あんまりだよ」
「そうだよなぁ。そんなの、西窪ばっかり可哀そうだ」
「もとはと言えば全部浅石君のせいなのに、調子いいこと言わないで」
「ごめん」
「てか、なに言ってんだろ、私。ちゃんと学校に戻るから、もう行ってくれる?」
はあ……と細いため息を吐くと、なずなは佑次から体ごと背けて言った。ちらりと見えた目元はまだ濡れてはいるが、心の中を吐き出していくぶんすっきりしたのか、もう涙は流れていなかった。声にも冷静さを取り戻していて、西窪がそう言うんだったらひとりで先に戻っても彼女もあとからちゃんと戻ってくるんだろうと素直に思える。
「じゃあ、傘、ここに置いていくから。ちゃんと差して戻ってきて」
自分のせいで傷つけてしまった相手。声を漏らして泣かせてしまった相手。そうは言っても、かなり後ろ髪を引かれる思いだ。けれど、泣き顔を見られたくない気持ちも十分に察せた佑次は、少し考えて彼女の言うとおりにしようと心を決めたのだ。
「わかってるよ。だから早く行ってよ」
つっけんどんな態度のなずなに軽く苦笑し、佑次は雨の中を再び歩き出す。
これで彼女がなににどう苦しんでいるのか、わかった気がした。言葉にするのは難しいけれど、アニマル柄のスニーカーを愛用しているくらいだ。きっと潜在的に今の自分に限界や閉塞感を感じていたのだろう。そこから抜け出したいと思っていたのかもしれない。じゃなかったら、あのスニーカーがあんなに似合うわけがないのだから。
「――あ」
数歩進んで、佑次は振り返る。「西窪」と呼ぶと、なずながこちらを向く。
「全部俺のせいなんだけどさ、やっぱ俺、吹奏楽応援がやりたいよ。ただ俺が見てみたいんだ。総会のときは、やる意義とか、新しい伝統にしたいとか言ったけど、そのときはぶっちゃけ、なんも考えてなかったと思う。でも今は、心から見てみたいと思ってる。やっと俺の中で吹奏楽応援をやる意味が見つかったんだよ。それだけ、言っておきたかったんだ」
ニッと笑って言うと、なずなは目を瞠って、やがて伏し目がちにふっと笑った。その微笑の意味するところは佑次にはわからなかったけれど、失笑でも苦笑でも、彼女が少しだけでも笑ってくれたことが、佑次は単純に嬉しかった。
「やっと主役の登場だな。ったく、遅せえんだよ」
行きと同じ道を引き返していると、ふと目を上げた先に島島コンビの姿があり、佑次の頬は思わず緩んでしまった。考えることは同じだったのだろう。ふたりも下駄箱に靴がないことに気づいて傘を差す時間さえ惜しくて学校を飛び出してきたらしい。
「部長なら、ここからちょっと行った先のコンビニにいるから」
立てた親指で後ろを指すと、傘も差さずに雨に打たれるままになっていたふたりは、とたんに佑次の脇をすり抜けて大きな通りのほうへ駆けていった。おいおい、ありがとうもないのかよ、と軽く苦笑しつつ、ふたりの手にそれぞれ握られていた傘を横目に、佑次の心はなんとも言えない、じんわりとした温かい気持ちに包まれていった。
おそらく佑次と同じ考えに至って傘を届けようとしているのだろうけれど、佑次もなずなのところに一本置いてきたばかりだ。もう二本も増えたら、結局三人で一本ずつ差して帰ることになってしまうんじゃないだろうか。島島コンビがなずなを自分の傘に入れようとして無駄なケンカをはじめる場面が想像されて、思わずクックと肩が揺れる。
呆れたように笑うなずな。ケンカをしていた島島コンビも、そんななずなを見てへらりと笑う。そして三人で一本ずつ傘を差して、ぽつぽつと会話しながら一緒に学校に戻るのだ。
そんな姿が容易に脳裏に浮かんで、ぽかぽかと胸が温かかった。
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しかしその後、佑次は二日ほど寝込むことになった。
まだ降りはじめの弱い雨だったものの、一足先に学校に戻ってから、ろくに髪も体も拭かずに午後の授業を受けたことが、どうやら風邪を引いてしまった原因らしい。
母親に「そんなの当たり前でしょ、このバカ息子!」と頭を叩かれたのは言うまでもないことだったが、妹にまで「だからバカなんだよ」と冷ややかな目で一瞥されたことが、心身ともに弱っている身にはかなり堪えたのもまた事実だった。
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