36 / 58
36.
しおりを挟む
「……なんで俺はその時の雰囲気に流されて、神具をユニアに渡しちまったんだろうな」
「どうかしたのかい、フィル改めイスト君!? 困ったことがあれば相談に乗るよ!」
「武器にいいのがないんだよ!」
雑な口調でファルカインに言う。どうも、こいつと話すときは口調が粗雑になってしまう。向こうのノリが原因だろうか。おかげでハスティさんから仲良しだと思われていてちょっと迷惑だ。
「そうか! 今の君には神剣がないからね! よし、約束しよう! この件が終わったら月製の剣を一本進呈するとね!」
「今欲しいんだよ! ……それはそれとして助かるので後でください」
「正直で宜しい。それで、どう対応するのかな?」
話がまとまったとばかりに、真面目な顔をするファルカイン。最初の煽るみたいな口調はなんだったんだ。
「外の魔物達は大したことないから、一掃するとして、問題は中だな」
「スライムは厄介だね」
説明によると、施設の周辺に展開する魔物の群れはそれほど脅威じゃない。知性のある人型は少数、魔法を使えるのがいて派手に爆発とかさせてくるが、ハイエルフの建物には傷一つついていないそうだ。
数は数百だが、そこはそれ、魔法で片づけることができるだろう。
問題はスライムの方だ。個人的に弱そうなイメージがある魔物だが、実際はタイプが色々ある。中には剣にも魔法にも強くて再生しまくりの大苦戦なんてやつだって珍しくない。
そして、今回のはそういうスライムだった。魔力を吸収して再現なく拡大するタイプで、攻撃に反応して反撃してくるそうな。ハイエルフの施設を正面から破って侵入できるパワーもある。
「中心核を叩くのがセオリーなんだが。一回そちらの動力源とめられないか?」
「それをやると、真っ先にぼくの所に向かってきそうなんだが」
「いや、上手くすれば俺に向かってくるかなと」
高い能力の根源である、施設の動力を断ち、そこに魔力を沢山もつ俺が登場。そうすれば囮になるかと思ったんだが。
「その可能性もあるな……。いや、駄目だな。施設の防衛機構まで止まったら、一気に持って行かれてしまうだろう。動力源自体は魔力を蓄える仕様なんだよ」
駄目か。ファルカインの様子にふざけた気配が無い。効果ありと見れば、施設の一時停止だって辞さない男なので、この結論が妥当と見るべきだな。
「物理で対応するにはでかすぎる。魔法には強い。毒は効かないか……」
ハイエルフの用意した防衛機構は強力だ。打撃に魔法に毒と、色々やったが退治できなかった。動力源から魔力を吸収されたのも原因だろう。
「これはあれだね。イスト君必殺の魔法剣の出番とみたね! あれならスライムの内部に魔法を流し込んで、全体を攻撃できる!」
さすがは場数を踏んでいるハイエルフだ。よくわかってる。
「問題は火力の調整だな。火系でいくのが一番確実そうだから、それでいきたいんだけど」
「それって、失敗すると施設内に入り込んだスライムが爆発するやつでは! 氷! 氷がいいと思うなぼくは! カッチコチにしちゃってよ!」
「それだと停止するだけで、また活動再開しそうなのが恐い」
施設内で爆発が起きまくるのを危惧したファルカインが慌てている。残念、効果的だと思ったんだが。
いっそ消滅させる魔法でもあればいいんだが、残念ながらそういう即死魔法的なのを俺は知らない。
仕方ない。次善の策でいこう。
「外の魔物を撃破後、施設内部のスライムを魔法剣で部分的に切除していく。中心核の近くにいくまでに小さくできるだろうし、弱体化するはずだ」
「それで、中心核に一撃! というわけだね! よし、内部のナビは請け負った! できれば早めに頼むよ!」
明るく言うファルカインの表情がちょっと堅い。案外追い詰められているのかもしれない。
「よし、早速始めよう。魔物退治の始まりだ」
急いだ方が良い。そう判断した俺は、収納魔法から、ミスリルの長剣を取り出した。
「どうかしたのかい、フィル改めイスト君!? 困ったことがあれば相談に乗るよ!」
「武器にいいのがないんだよ!」
雑な口調でファルカインに言う。どうも、こいつと話すときは口調が粗雑になってしまう。向こうのノリが原因だろうか。おかげでハスティさんから仲良しだと思われていてちょっと迷惑だ。
「そうか! 今の君には神剣がないからね! よし、約束しよう! この件が終わったら月製の剣を一本進呈するとね!」
「今欲しいんだよ! ……それはそれとして助かるので後でください」
「正直で宜しい。それで、どう対応するのかな?」
話がまとまったとばかりに、真面目な顔をするファルカイン。最初の煽るみたいな口調はなんだったんだ。
「外の魔物達は大したことないから、一掃するとして、問題は中だな」
「スライムは厄介だね」
説明によると、施設の周辺に展開する魔物の群れはそれほど脅威じゃない。知性のある人型は少数、魔法を使えるのがいて派手に爆発とかさせてくるが、ハイエルフの建物には傷一つついていないそうだ。
数は数百だが、そこはそれ、魔法で片づけることができるだろう。
問題はスライムの方だ。個人的に弱そうなイメージがある魔物だが、実際はタイプが色々ある。中には剣にも魔法にも強くて再生しまくりの大苦戦なんてやつだって珍しくない。
そして、今回のはそういうスライムだった。魔力を吸収して再現なく拡大するタイプで、攻撃に反応して反撃してくるそうな。ハイエルフの施設を正面から破って侵入できるパワーもある。
「中心核を叩くのがセオリーなんだが。一回そちらの動力源とめられないか?」
「それをやると、真っ先にぼくの所に向かってきそうなんだが」
「いや、上手くすれば俺に向かってくるかなと」
高い能力の根源である、施設の動力を断ち、そこに魔力を沢山もつ俺が登場。そうすれば囮になるかと思ったんだが。
「その可能性もあるな……。いや、駄目だな。施設の防衛機構まで止まったら、一気に持って行かれてしまうだろう。動力源自体は魔力を蓄える仕様なんだよ」
駄目か。ファルカインの様子にふざけた気配が無い。効果ありと見れば、施設の一時停止だって辞さない男なので、この結論が妥当と見るべきだな。
「物理で対応するにはでかすぎる。魔法には強い。毒は効かないか……」
ハイエルフの用意した防衛機構は強力だ。打撃に魔法に毒と、色々やったが退治できなかった。動力源から魔力を吸収されたのも原因だろう。
「これはあれだね。イスト君必殺の魔法剣の出番とみたね! あれならスライムの内部に魔法を流し込んで、全体を攻撃できる!」
さすがは場数を踏んでいるハイエルフだ。よくわかってる。
「問題は火力の調整だな。火系でいくのが一番確実そうだから、それでいきたいんだけど」
「それって、失敗すると施設内に入り込んだスライムが爆発するやつでは! 氷! 氷がいいと思うなぼくは! カッチコチにしちゃってよ!」
「それだと停止するだけで、また活動再開しそうなのが恐い」
施設内で爆発が起きまくるのを危惧したファルカインが慌てている。残念、効果的だと思ったんだが。
いっそ消滅させる魔法でもあればいいんだが、残念ながらそういう即死魔法的なのを俺は知らない。
仕方ない。次善の策でいこう。
「外の魔物を撃破後、施設内部のスライムを魔法剣で部分的に切除していく。中心核の近くにいくまでに小さくできるだろうし、弱体化するはずだ」
「それで、中心核に一撃! というわけだね! よし、内部のナビは請け負った! できれば早めに頼むよ!」
明るく言うファルカインの表情がちょっと堅い。案外追い詰められているのかもしれない。
「よし、早速始めよう。魔物退治の始まりだ」
急いだ方が良い。そう判断した俺は、収納魔法から、ミスリルの長剣を取り出した。
0
あなたにおすすめの小説
老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!
菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは
「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。
同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと
アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう
最初の武器は木の棒!?
そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。
何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら
困難に立ち向かっていく。
チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!
異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。
話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい!
****** 完結まで必ず続けます *****
****** 毎日更新もします *****
他サイトへ重複投稿しています!
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。
水定ゆう
ファンタジー
村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。
異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。
そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。
生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!
※とりあえず、一時完結いたしました。
今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。
その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
無限に進化を続けて最強に至る
お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。
※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。
改稿したので、しばらくしたら消します
勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。
克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。
【完結】悪役に転生したのにメインヒロインにガチ恋されている件
エース皇命
ファンタジー
前世で大好きだったファンタジー大作『ロード・オブ・ザ・ヒーロー』の悪役、レッド・モルドロスに転生してしまった桐生英介。もっと努力して意義のある人生を送っておけばよかった、という後悔から、学院で他を圧倒する努力を積み重ねる。
しかし、その一生懸命な姿に、メインヒロインであるシャロットは惚れ、卒業式の日に告白してきて……。
悪役というより、むしろ真っ当に生きようと、ファンタジーの世界で生き抜いていく。
ヒロインとの恋、仲間との友情──あれ? 全然悪役じゃないんだけど! 気づけば主人公になっていた、悪役レッドの物語!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる