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危機管理の大切さ
最悪を仮定して物事は考えたほうがいいのだ。
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これは、整備士の佐藤君の見習いから3年後の話だ。 まだ、勤務は日本海軍正規空母のコノハナサクヤであった。 しかし、整備の仕事以外に後部座席の機関砲員の資格を取得していた。 整備するだけでは佐藤君は物足りなくなり、操縦は無理でも搭乗ならOKの後部機関砲員の資格を時間外訓練により取得したのだ。 それで、晴れて月光改の後部座席に座れたのだ。 月光改の後部座席は旋回座席だ。 対戦車攻撃は前向きに座り斜め下機関砲(ミニミサイル)の操作で、対空戦闘は後ろを向いて対空機関砲の操作だ。 また、レーダーや通信など操縦者のサポートも忙しいのだ。 この日の勤務は朝から日本海北部の対ソ連偵察飛行であった。 前の操縦席は相方の木戸操縦士だ。 コンビを組んで3カ月であった。 そろそろ気心もわかってきた頃あいだ。 艦橋に偵察任務の報告と発艦許可を取る。 風上に向かい、風速が上がる。 艦首のランプが赤から青になる。 スロットルが上がる。 同時に火花と共にカタパルトを走り、月光改は1秒で時速300キロに加速する。 キーンというターボ音とカタパルトのシュパーーーンの音が混じり月光改は日本海の上だ。 はるかにコノハナサクヤが小さくなる。 「そういえば、あれからソ連と満州の国境紛争がたびたびあるが、この偵察もヒンパンになったものだ。」 イヤフォンから木戸の声だ。 佐藤君マイクで、「この月光改も新型エンジンで速度が音速を超える巡航が可能となったそうですが。」 「なに、とうとう新型ジェットエンジンか。」 「試したいですか。」 「よし、いくぞ。」 ドウウウウンとエンジンが吼えた。 プロペラが折りたたまれてカウリングに綺麗に収納された。 同時に翼が機体の横から後ろに曲がり、後退翼に変形する。 「すごいぞ。」 しばらくして音が静かになる。 エンジン音より機体の速度が速いからエンジンの音が聞えないのだ。 「静かでいいじゃん。」 もう木戸君は音速が気に入ったようだ。 「ソ連の制空権に入らないでくださいよ。」 「了解だよ、しかしヤツラは・・」 無線が警報を鳴らした。 同時に空母管制から緊急通報だ。 「月光改、木戸班へ。」 「こちら、木戸送れ。」 「ソ連が満州の国境を越えた、場所は・・・・だ。」 「直ちに偵察と戦力分析に当たれ、応援はイマ飛び立つ。」 「木戸了解した、座標へ向かう。」 「木戸さん、燃料を。」と佐藤君 「そうか、このままでは燃料を使いずぎる、変形だ。」 月光改は翼が戻り、プロペラ推進へ切り替える。 佐藤君は座席を前にして、斜め下ミニミサイル砲を点検する。 しかし、偵察任務は携帯するミニミサイルが10発と少ないのだ。 (予算の関係だ、さすがに1発20万はイタイ政府財務省だ。) 「オイ、見えたぞ。」 木戸がイヤフォンから叫ぶ声が聞えた。 下界を見る。 ソ連の赤い星のマークをつけた戦車が12両見えた。 毎度ある、地域紛争の感じだ。 が、2両が形が違う。 「オイ、サトウ2両変なのがいるが。」 「ハイ、どうやら新型ですか、これは撮影の価値ありですね。」 「そうか、急降下して上をすり抜けるから撮影しろ。」 「了解です。」 佐藤君、足元から考案した超高速度カメラを据え付けた。 「いつでもOKです。」 「いくぞ。」 月光改は急降下にうつる。 それを見たソ連戦車は攻撃と思い新型対空戦車が前線に出てきた。 新型対空戦車VS新型月光改 の戦いはいかに。 場所は満州国境から満州側に2キロの地点だ。 遠く国境の河の方向からは、煙があがっている。 すでにソ連軍と満州軍で戦いがあったようだ。 キーーーーンと急降下の音が機体を揺さぶる。 急降下には制限速度がある、それ以上だと地面に激突だ。 ギリ反転上昇のタイミングが勇気が入るのだ。 そのとき、レーダー電波警戒ブザーが鳴る。 「オイ、ロックオンされた・・・・ 同時に機体からチャフが舞い出る。 そしてフレアが自動的に後部から排出された。 「いかん、反転上昇する。」 機体は無理な動作で悲鳴を上げる。 翼がしなる。 佐藤君、日ごろ信心などないが、モッテクレと機体に祈る。 ショックが体を襲う、ヤラレタか? 木戸が「尾翼をやられた、不時着する、なんかにつかまれ。」 機体は黒煙を吐きながら、上下に動き、なんとか姿勢を保とうとするが、うまく操縦できない。 「くそ、やはり不時着しかない。」 木戸が叫んだ。 木戸はなんとか満州国内に下りるべく悪戦苦闘していた。 「歯を食いしばれ、舌を噛むな。」 月光改は満州平原に怒涛のごとく砂煙を上げて不時着した。
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