大東亜戦争を有利に

ゆみすけ

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独逸帝国対空戦車の完成

総帥、確信す。

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 ここは、独逸帝国の帝都だ。 総帥は独逸帝国総司令部で、今後の戦略を幹部連中と煮詰めていた。 まあ、定番の定例会議である。 なんせ、日本と米国、英国のラインが独逸帝国戦略ラインの反対側を空母艦隊で埋めているのだ。 欧州大陸はラィツランドとローランド以外は独逸帝国陣営といってもいいのだ。 スペインやイタリーなどは配下も同然であった。 なんせ、軍事物資から貨幣まで独逸帝国の思うままだからだ。 シナやソ連で、東アジア以外は押さえている。 インドが例外で、シナとインド、ベトナムなどは国境紛争で、微妙であった。 インドやベトナムは日本のシンパみたいなものだった。 会議の丸いテーブルの真ん中に、その図面を広げて、ユウウツな総帥だ。 ほぼ世界は2分されている。 そこに、電話が鳴る。 秘書が取る。 「総帥閣下、戦車開発工廠からです。」 「うん、わかった。」 総帥は電話を取る。 「なに、完成した? 本当か! 今すぐに行く。」 「少し用事ができた、今から兵器工廠にいくが、どうする?」 幹部連中はとうぜん、同行いたします、だ。 「では、表にクルマを廻しておけ。」 総帥は席を立った。・・・・ 総帥らの、行く先はグルップ重工業兵器工場である。 あの、V型戦車もここで生産されているのだ。 正門からベンチの乗用車が数台入る。 正門警備員が、あわてて案内しているところから、総帥ご一行様だ。 前にバイクの案内係が誘導する。 広い広場、いや滑走路だ。 真ん中に戦車らしき物が置いてあった。 たぶん、それが例のものだ。 総帥御一行様はクルマを降りた。 グルップの代表がもみ手で迎える。 国家あいての大きな商売である。 もみ手にもなるのだ。 「例のモノはあれか?」 総帥が示す。 「ハイ、今から新型誘導ミサイルの実験を、お見せします。」 「うむ、期待しておるぞ。」 「オイ、ハインツ君用意だ。」 かなたから戦闘機が飛んでくる。 独逸帝国の戦闘機だ。 速度は260マイル(約470キロ)でる、第一線の戦闘機だ。 むろん、ヒトは乗っていない。 独逸帝国も無線で戦闘機を飛ばせるようだ。 係員が合図をする。 戦車様の物からミサイルが飛び出した。 数秒も経たないうちに戦闘機に命中する。 戦闘機はバラバラに飛散した。 「なお、爆弾は実験では危険なので装填してありません。」 「今度は高度のある飛行機が目標です。」 しばらくして、上空の雲の間から飛行機が見えた。 遠いから双眼鏡を総帥らに係員が配った。 「飛行機は4000メートルの高度です。」 これも無線操縦なら、侮りがたい技術である。 係員が合図をする。 戦車様のものからミサイルが飛び出した。 シューーーーンとミサイルは10秒くらいで目標の飛行機を破壊した。 係員は説明する、「日本の戦闘機は対ミサイル対策として熱源や金属片で、電波をカクランしたり赤外線誘導をごまかしていますが、このミサイルは熱と電波以外の方法で誘導しています。」 総帥は驚く、そして「欠点はあるのか。」 係員は「ミサイルの先端にカメラがあり、カメラで誘導します。」 「欠点は、夜使用できないことです。」 そうか、暗いと無理か。 「そして、装置が大きいので搭載できる爆薬が制限があります。」 「まあ、大きいミサイルなら、しかし予算などが。」 総帥は顔色が変わる。 独逸帝国も財政は厳しいのだ。 なんせ、ソ連やシナに兵器を売っても、十分な利益など出ては居ないのだ。 ヤツラは支払いも滞りがちなのだ。 現実の世界も、どこの国も金が余ってるわけではないのと同じだ。 まして、独逸帝国にはソ連や、特にシナが重荷となってきたのだ。 総帥は思う、ヤツラは恩を仇で返す国だ。 ソ連も約束をたがえるのはいつものことだ。 総帥は内心、日本の盟友になりたかったのだ。 かれら、日本国は約束をたがえたことは、開国以来、一度も無いのだ。 なぜ、そうなったかわからないが、総帥は現在、日本と敵対していることがナゾであったのだ。 いつのまにか仮想敵国だ。 まあ、ソ連やシナと同盟すれば自然に日本と敵対するのだが。 「予算は、なんとかしよう。」 総帥は答えた。 しかし、ミサイルは高額だ。 なんせ、V型戦車20両分が1発なのだ。  へた撃ちしたら国家破綻である。 しかし、ドーバー越えにはミサイルしかない、確信した総帥であった。
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