大東亜戦争を有利に

独逸帝国、ミサイル量産か？

グルップ重工業兵器工場

　「まだ、所在はツカメナイのか。」　工場長が寮の管理人に詰め寄る。　「部屋はカラッポで、手がかりになるものは、ありませんでした。」　まあ、警察でもない管理人には無理な注文だが、これがゲシュタポにでもバレたらマズイのだ。　最悪、オレがシベリア送りだ。　せっかく、苦労して工場長までなったのに。　くそっ、あいつらのせいで、オレが何でこんなに事に。　「まあ、行方不明のヤツラの調べは続けてくれ、ただしバレないようにやれ、さもないと、おまえもシベルア送りだぞ。」　「それだけは、御勘弁を。」　「さあ、それはゲシュテポがやることだ。」　「お慈悲を、絶対に外部には漏らしませんから。」　「まあ、黙ってればバレないから、まあいい。」　管理人は事務棟から、寮へ帰って行った。　３人の技師が家族ぐるみ行方不明となった。　部屋がカラッポだから亡命だろう、しかも新型ミサイルの設計図まで無い。　この事実を隠蔽するのに苦労したわ。　寮のヤツラはバレるとゲシュタポが調べにくるから、沈黙を守った。　調べればユダヤ系とバレるヤツも多いからだ。　グルップ重工業の寮にはユダヤ系の技師が多いのだ。　ゲシュタポにバレないように、全員が寮で、外部には出ないから秘密なのだ。　優秀な技師は、たとえユダヤであろうと、内緒で欲しいのだ。　でないと、総帥が望む兵器など出来はしない。　赤外線や電波以外で誘導ミサイルを造れと空軍大臣から要求されたときは無理だと思ったが、ユダヤ系の技師は造り上げてしまった。　恐ろしいヤツラだが、グルップには必要なのだ。　役員らも、ユダヤ系技師の件は黙認なのだ。　ユダヤ系技師のおかげで、この会社は今日の繁栄を築いたのだ。　新型Ｕボート、Ｖ型戦車、対空戦車などだ。　どれも、総帥のお目がねにかなった新兵器だ。　しかし、逃げた技師のヤツラは研究の失敗で、シベリア送りだから逃げるのはとうぜんか。　工場長はふと、思った。　まさか、この件に日本が絡んでいるのでは、まさかね。　工場長は、会社役員に３人の技師の行方不明の取り繕いを嘆願しに役員棟へ入っていった。・・・・・・　ここは、千葉県のミサイル試射場だ。　大きいミサイルは小笠原でヤルが、この大きさならココで十分なのだ。　　もう、会場はマスコミや一般見物人で一杯だ。　糸河先生のロケット実験は、いつも一般公開なのだ。　ロケットは発射を隠蔽するのは難しい、なら公開が返って秘密を守るのに都合がいい。　はやい話がでかい花火のショーと思わせればいいのである。　　糸河大先生様がマイクを持って壇上にあがった。　「みなさん、お集まりのみなさん、ただいまより海上での飛行機撃墜のミサイル実験を開始します。」　「なお、万一の場合の命の保障はいたしません。」　まあ、いつものセリフだ、いままでケガしたり亡くなった見物人なぞ一人もいないのだ。　実験する海上は駆逐艦などが警戒している。　それに、ミサイルにはとうぜん火薬は積んでいない。　まあ、空砲と同じである。　秒読みが始まる。　今回は、声優のゆかりんが秒読みだ。　これは、抽選で選ぶのだ。　ロケットレディの未来のコスプレのゆかりんがマイクの前に立つ。　もう、会場は割れんばかりの声援だ。　「みなさん、ゆかりんデース。」　その声で、数十人のファンが卒倒した。　ゆかりん、観たさに会場入りしたオタクは多いのだ。　アニメの声優は日本国では、我らがアベ、いや山田総理と同等の人気があるのだ。　ゆかりんはその頂点である。　まさにカリスマ性満々のゆかりんだ。　「さあ、秒読みを開始しまーす。」　実験がはじまった。　・・・・・・・・・