大東亜戦争を有利に

ゆみすけ

文字の大きさ
262 / 380
独逸帝国軍人、VTOLに乗る。

越えられない壁だ。

しおりを挟む
 ポカーーーーーーンと口を開けて固まった軍人らが、やっと口を閉じた。 ソロリ、ソロリ、と数人がVTOLの方に・・・・・ お局士官がタラップを示して、「ドウゾ、イラッシャイマセ。」 と流暢なドイツ語で歓迎する。 世界で順番を守る国民が日本人とドイツ人だ。 それで、自然と列が出来る。 さて、総帥のクルマが入ってきた。 総帥とお付の秘書などがクルマを降りる。 ちょうど次のVTOLが着陸した。 総帥ご一行は、お局士官の案内で、全員がVTOLに・・・・ 20人程度がVTOLに同乗した。 タラップが畳まれて、ハッチがパカリと閉まる。 シュン、シュン、とペラが廻る。 やがてVTOLは静かに浮き上がる。 ペラのハウジングが斜めに動くとVTOLは空母めがけて飛び立つ。 すると、待っていたかのように、すぐに変わりのVTOLが着陸する。 総帥は、すでに機上のヒトであった。 機内に入り驚く、操縦者が空母の接待士官(お局ではなく、普通の接待士官)であったからだ。 ロングドレスのメイド服にカチューシャをつけて、ヘッドセットをつけた二人が操縦席に座っていた。 そして、流暢なドイツ語で、「座席ベルトを締めてください。」 「では、飛び上がります。」 総帥は、瞬く間に浮かび上がるVTOLに驚く。 操縦している、接待士官は18歳くらいの女性士官だ。 階級は少尉クラスのようだ。 メイド服の金バッジがすごいからだ。 それにしても、独逸帝国飛行軍も複葉の戦闘機でも操縦はカンタンではなく、練習機でも若い軍人(18歳程度の)の飛行免許の合格者は居なかった。 どうみても普通に楽に操縦しているようだ。(軍機であるが、光高速演算機のサポート機能のおかげだ) 垂直離陸や着陸をカンタンに、こなしているようだ。 やがて、空母に着陸する。 ハッチが自動で開く。 タラップがでると、外に待機していた別のメイド士官が案内するようだ。 赤いジュウタンの上を、空母の飛行甲板に総帥が初めて降り立つ。 総帥は、思わずあたりを見回す、「海が見えない、広い、これが空母か。」と感想を述べる。 観ると、艦長らしき人物やお歴々らしい者達が並んで敬礼する。 歓迎されているようだ。 「独逸帝国総帥閣下のご訪問を歓迎いたします。」 艦長がドイツ語で流暢に挨拶した。 案内は、先ほどと同様の別の三十路越えのお局士官が接待係りのようだ。 総帥ら、ご一行を慣れた手つきで誘導する。 カンロクと気品と凛とした態度から、思わず総帥までもがおとなしくなってしまった。  日本の最新軍事技術とお局士官の二段攻撃は、越えられない壁を独逸帝国総帥にイヤというほど見せ付けることになったのだ・・・・ 今回の独逸帝国親善訪問で、桜井環境大臣、イヤ桜井従軍記者は艦長である新藤少将に、ある案を提案した。 それは、お局空母接待士官の破壊力で独逸帝国を叩き潰す作戦であった。 戦後、日本女性のスチュワーデスがもてはやされたことがあった。 ある航空会社に、航空事故の発生時、的確な判断と乗客への献身が素晴らしい日本女性のスチュワーデスが居たからである。 現在でも、その伝説は残っていて日本女性のキャビンアテンダントはある意味、航空会社の格式を示すのである。 日本人女性のキャビンアテンダントを雇うことができるほどの会社であるという、格である。  お局士官は独逸帝国総帥に臆することなく、「格納庫を、ご案内いたします。」 流暢なドイツ語で案内する。 総帥が思わず、「先ほどの飛行機は、なんと言うか素晴らしいものだ。」と言う。 対してお局士官は、「あ、あ、あれは、自転車がわりに、チョイ乗りに使ってます便利道具ですわ、ホホホホッ。」と遠慮がちに答える。 とても、昨日今日に学習したドイツ語とは思えない。 総帥は自身の使えない女秘書と、この士官を交換したいとおもったほどだ。  総帥ご一行様は格納庫へ飛行甲板のエレベーターで、直行する。 一応、危険防止の為、近衛兵に周りを固めてもらった。 格納庫には、VTOLは駐機していない。 なんせ、ここではチョイ乗り便利道具だからだ。 替わりにジェット爆撃機が並んでいた。  その大きさに総帥らは固まった。 翼は折りたたまれていた。 そして、胴体が半分になっていた。 お局士官が、「これは、ロケット推進の爆撃機です。」 「胴体は半分に分かれます。」 「そして、爆弾は500キロが12個搭載できます。」 総帥は、計6トンじゃないか、と思わず、「6トンも積めるのかね。」 と聞いた。 「え、え、燃料こみの全備重量は16トンです。」 総帥は焦る、我が独逸帝国最新爆撃機は、たしか250キロ爆弾が2発が限度だ。 我が独逸帝国の12倍の搭載量か。 「わが国の12倍積めるのか。」 総帥は思わずつぶやく。 それには、知らぬ顔のお局士官だ。 そして、次の戦闘機を示す。 わが国が誇るハヤブサⅢ型改である。 ハヤブサは、1型のプロペラ機、そしてV型12気筒3連ターボ装備のハヤブサ改型、ジェット機のハヤブサジェットとなり。 それから、色々の改良の後、とうとうⅢ型ができた。 そして、それが改良されてⅢ型改となった。 音速の巡航ができるのだ。 爆弾や増槽などは、すべて機内に収まる。 そして、排気可変パドルで、失速する無理な動作でもOKな、究極の戦闘機である。  独逸帝国近衛に混じっている飛行軍の幹部が口を開けたまま・・・・・になっていた。 
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

四代目 豊臣秀勝

克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。 読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。 史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。 秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。 小牧長久手で秀吉は勝てるのか? 朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか? 朝鮮征伐は行われるのか? 秀頼は生まれるのか。 秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?

札束艦隊

蒼 飛雲
歴史・時代
 生まれついての勝負師。  あるいは、根っからのギャンブラー。  札田場敏太(さつたば・びんた)はそんな自身の本能に引きずられるようにして魑魅魍魎が跋扈する、世界のマーケットにその身を投じる。  時は流れ、世界はその混沌の度を増していく。  そのような中、敏太は将来の日米関係に危惧を抱くようになる。  亡国を回避すべく、彼は金の力で帝国海軍の強化に乗り出す。  戦艦の高速化、ついでに出来の悪い四姉妹は四一センチ砲搭載戦艦に改装。  マル三計画で「翔鶴」型空母三番艦それに四番艦の追加建造。  マル四計画では戦時急造型空母を三隻新造。  高オクタン価ガソリン製造プラントもまるごと買い取り。  科学技術の低さもそれに工業力の貧弱さも、金さえあればどうにか出来る!

大日本帝国、アラスカを購入して無双する

雨宮 徹
歴史・時代
1853年、ロシア帝国はクリミア戦争で敗戦し、財政難に悩んでいた。友好国アメリカにアラスカ購入を打診するも、失敗に終わる。1867年、すでに大日本帝国へと生まれ変わっていた日本がアラスカを購入すると金鉱や油田が発見されて……。 大日本帝国VS全世界、ここに開幕! ※架空の日本史・世界史です。 ※分かりやすくするように、領土や登場人物など世界情勢を大きく変えています。 ※ツッコミどころ満載ですが、ご勘弁を。

改造空母機動艦隊

蒼 飛雲
歴史・時代
 兵棋演習の結果、洋上航空戦における空母の大量損耗は避け得ないと悟った帝国海軍は高価な正規空母の新造をあきらめ、旧式戦艦や特務艦を改造することで数を揃える方向に舵を切る。  そして、昭和一六年一二月。  日本の前途に暗雲が立ち込める中、祖国防衛のために改造空母艦隊は出撃する。  「瑞鳳」「祥鳳」「龍鳳」が、さらに「千歳」「千代田」「瑞穂」がその数を頼みに太平洋艦隊を迎え撃つ。

甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ

朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】  戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。  永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。  信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。  この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。 *ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。

天竜川で逢いましょう 〜日本史教師が石田三成とか無理なので平和な世界を目指します〜

岩 大志
歴史・時代
ごくありふれた高校教師津久見裕太は、ひょんなことから頭を打ち、気を失う。 けたたましい轟音に気付き目を覚ますと多数の軍旗。 髭もじゃの男に「いよいよですな。」と、言われ混乱する津久見。 戦国時代の大きな分かれ道のド真ん中に転生した津久見はどうするのか!!??? そもそも現代人が生首とか無理なので、平和な世の中を目指そうと思います。

日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー

黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた! あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。 さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。 この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。 さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。

織田信長 -尾州払暁-

藪から犬
歴史・時代
織田信長は、戦国の世における天下統一の先駆者として一般に強くイメージされますが、当然ながら、生まれついてそうであるわけはありません。 守護代・織田大和守家の家来(傍流)である弾正忠家の家督を継承してから、およそ14年間を尾張(現・愛知県西部)の平定に費やしています。そして、そのほとんどが一族間での骨肉の争いであり、一歩踏み外せば死に直結するような、四面楚歌の道のりでした。 織田信長という人間を考えるとき、この彼の青春時代というのは非常に色濃く映ります。 そこで、本作では、天文16年(1547年)~永禄3年(1560年)までの13年間の織田信長の足跡を小説としてじっくりとなぞってみようと思いたった次第です。 毎週の月曜日00:00に次話公開を目指しています。 スローペースの拙稿ではありますが、お付き合いいただければ嬉しいです。 (2022.04.04) ※信長公記を下地としていますが諸出来事の年次比定を含め随所に著者の創作および定説ではない解釈等がありますのでご承知置きください。 ※アルファポリスの仕様上、「HOTランキング用ジャンル選択」欄を「男性向け」に設定していますが、区別する意図はとくにありません。

処理中です...