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だたの、草原だ。
何もない?
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97戦(陸軍97式戦闘機のことだ。)は、目的地に降り立った。 97戦は引き込み脚ではない。 だから、その分、重量が軽く、頑丈な脚が使える。 でこぼこの草原に、なんなく着陸できたのだ。 山口少尉は風防が無い、97戦の操縦席から草原に飛び降りた。 「なんにも無い、いや草があるか。」 見渡す限りの草原だ。 地平線が見える。 日本本土とは、かけ離れた風景だ。 なんと、山が無い。 遠くにも山が見えない。 道路も人家も無い。 トイレは。 トイレも無い。 仕方がない、立ちションだ。 「おい、俺が見張りをしてるから、あとの者が次ぎの機体を飛ばしてくれ。」 山口は、腰に差したホルシターの南部式拳銃の弾を確認して、言った。 「では、頼む。」 と部下や同僚は2機の97戦に3名と2名が分かれた。 そして、なんなく離陸した。 2機の97戦を見送った山口は、これからどうすべきか考えていた。 すると、遠くから馬が駆けてくる。 だんだん近づいた。 見ると、満州国役人の服装だ。 「ヤマグチさんか。」 カタコトの日本語で聞いてきた。 「あ、あ、俺がヤマグチだが。」 「政府から案内などを頼まれた、李 宗伯といいます、よろしく頼みます。」 馬から降りて会釈をする。 あ、あ、少佐が言ってた案内人か。 「聞いている、よろしくな。」山口も会釈をする。 日本式のお辞儀とは、少し違う会釈だ。 「ところで、まだ、小屋とか倉庫は?」 と聞いた。 今、手配して大工や材木など運んでる最中らしい。 なんせ、馬車なので、時間がかかる、それに満州人は時間におおらからしい。 まあ、ルーズなのだ。 しかし、日本軍の到着時に誰も居ないとマズい。 そこで、李が機転をきかして馬で駆けてきたらしい。 以外に使えるヤツかもしれんな。 李は馬から水筒だの食糧なぞを降ろして山口を歓待してくれた。 山口も機内からジュースやツマミを降ろしてきて李に応えた。 たどたどしい日本語だが、しばらくすると二人は笑って話せる間柄になっていた。 「ところで、大工や裏方はいつごろ?」と聞いた。 暗くなる前には到着するらしい。 太陽は、まだ真上だ。 「しかし、我らの満州国には飛行機はまだ無い。」李は97戦をまぶしそうに眺めた。 「もうすぐ、仲間が残りの飛行機を飛ばしてくる。」 「じゃあ、飛んでるところを。」 「これから、イヤになるほど見られるさ。」 山口は笑っていった。 そうか、満州国の最初の飛行隊か。 隣の中華民国とは満州国は国境で、常にイザコザが起こっていた。 ソ連との国境も不安定だ。 ここに、満州国の飛行隊が日本軍であるが、居ることは大きいと李は感謝の念を込めた。 山口はいう、「将来は満州国で、飛行機を生産して、自ら飛行隊を造れるさ。」 「え、そうなのか、そうなるか。」 「あ、あ、保障してやる。」 山口は大風呂敷を広げた。 李は97戦を見上げて、「我らが飛行隊か。」 と考え深くうなずいた。
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