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無線中継基地
届かない無線対策
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ワンの墜落事故は機体の修復で解決した。 しかし、ワンが飛竜隊へ判断を仰ごうとしても、遠距離で無線が通じない。 これは、問題となった。 キリン隊長は、日本軍の討伐隊へ知恵の拝借に出かけた。 官位は将軍であるが、飛行機のことはサッパリなので低姿勢の将軍だ。 「本郷隊長、話は他ではない、じつは無線のことだ。」 「ほう、どんな?」 「距離が遠いと届かないのだ。」 「そうですね、現在の出力では、基地からは届きますが、飛行機からは距離があると届かないですね。」 「どうにか、ならんかね。」 「しかし、機体に装備されている無線機をデカイのに載せ替えると、重くなりますからヒトが余分に乗せられなくなります。」 「それは、困る。」 まあ、補助にふたりまで、詰め込めるのはイザのとき助かるのだ。 病人を運んだり、現場で助けたヒトを運べるのは大きい。 まあ、奥の手はある。 本郷隊長は、「無線の中継基地を設けるしかないですね。」 「それは、なんだね。」 「小高い丘の上に小屋を建てて、そこに無線機を置くのです。」 「そして、軍事無線ですから、保安上の警備がいりますが、そこに無線係を置いて、基地と飛行機の間の橋渡しをするのです。」 「ほう、それはいいアイデアだ。」 「日本本土なら自動中継装置を山の上に設置していますが、満州では、賊に壊されたりの危険がありますがら、常駐の兵が必要ですが。」 「それは、大丈夫だ、兵の10人くらい配置できる。」 そうなのだ。 満州国は日本本土と比べて、人件費がバカ安だ。 日本なら月3000円で暮らせるなら、満州なら1年も暮らせるほどだ。 日本の貨幣価値の1割と思えばいい。 だた、クルマとかラジオなどの工業製品は贅沢品として庶民は手が出ない。 人件費が安いことは武器のひとつだ。 「では、3ケ所に無線小屋を建てて、人員を10人ずつ配備の計画を検討するように草案をたててみましょう。」 「うむ、早急に頼む。」 「また、これには、わが討伐隊もカンでも。」 「それは、かまわない。」 「ありがとうございます、キリン隊長。」 「うむ。」 キリン将軍は本郷隊長が自身を立ててくれたので、ごきげんだ。 もう、スキップしたいのをガマンして飛竜隊へ戻った。 これで、満州国内に3ケ所の無線中継所が造られた。 もちろん、現在のような中継所ではない。 無線係りが、耳で聞いて、それを伝えるのだ。 そして、無線機小屋に発電所も併設された。 発電は水車小屋の水車をつかった。 水力発電だ。 余った電力は付近の村に供給されたのだ。 それまでの、ランプの生活からの様変わりはすごかったのだ。 思わぬところから満州国の田舎のインフラ整備につながったのだ。 ワンの墜落から村のインフラは、どう考えても結びつかない。 しかし、ワンの墜落がなかったら、村に電灯が灯るのは20年は遅れたであろう。
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