満州国馬賊討伐飛行隊

ゆみすけ

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もう、少しだ。

あそこまで、保ってくれ。

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 御者の代わりをする退役兵だ。 馬車を必死であやつる。 もう少しだ。 あそこまで、行けば・・・ そうなのだ、馬賊対策に退避場所を設けているのだ。 そこは、退避場所だけに、背面を守れる壁があり、身を隠せる壕が掘ってあるのだ。 そこまで、馬車を進ませれば何とかなる。 あと、数キロだ。 ムチに力が入る。 車軸は悲鳴を上げるが、お構い無しだ。 御者を倒したので朝鮮馬賊は勢いをまして攻め立てる。 なんせ、生娘が10人だ。 それも、14歳から16歳の売れどきだ。 シナ様から莫大な金が・・・ 眼が金しか見えない馬賊どもがモーゼルを連発する。 「くそっ、どこからモーゼルなぞ手に入れやがったんだ。」 退役兵は歯軋りするが、あとの祭りだ。 片手で撃てるから、馬をあやつり射撃ができる。 馬賊は、勝ったとの思いでモーゼルを連射だ。 背後を守る退役兵は肩に2発、喰らった。 あわてて、満州娘が包帯で血止めだ。 血が不足すると戦えない。 「ありがたい。」 退役兵は血止めに感謝だ。 可憐で清楚な満州娘の助力は100万の味方に匹敵するのだ。 もう、退役兵は肩の痛みなぞ感じない。 それより馬賊殲滅だ。 しかし、モーゼル銃の威力はすさまじいのだ。 銃杷が小さいから、手が小さい黄色人種に握りやすいのだ。 こちらが、サンパチを改造して、馬車で扱いやすくすれば、馬賊も撃ちやすいモーゼルをと、もうイタチとタヌキの化かしあいだ。 これでは、機関銃を馬車に装備しなければ勝てない。 とても、満州国の予算では無理だ。 満州軍でさえ、機関銃なぞ100丁もないのだ。 そうだ、このサンパチを連射式に改造しかない。 退役兵はライフル開発の有坂技官と懇意だった。 きっと、聞き入れてくれるのに違いない。 しかし、今をしのがなければ明日は無いのだ。 「おい、退避壕だ。」 連れの退役兵が叫ぶ。 いつの間にか、退避壕まで逃げてきたのか。 背後を警備していた退役兵は退避壕に飛びこんだ。 すでに、娘らは退避壕の中だ。 ここなら、娘らに気兼ねなく応戦ができるのだ。 「くそっ、砦に入りゃがったな。」 馬賊は、怯んだ。 そのスキをついて2人の退役兵は応戦だ。 二人の馬賊が倒された。 あと、馬賊は7騎だ。 「アタマをだすなよ。」 娘らに退役兵が叫ぶ。 「あっ。」 馬賊が倒れた仲間のモーゼルを拾おうと馬から降りた。 慎重に狙う。 サンパチは狙撃銃としても優秀だ。 銃弾が低く飛び、射撃音も小さい、射撃時の煙も少ないのだ。 「チーン。」 地面の落ちたモーゼルに当ててやった。 「ヤツめ、びっくりしてやがる。」 日本軍退役兵の射撃の正確さに恐れをなしたか、馬賊はキビスを返して退却していった。 「助かったわ。」 「ウワーイ、ありがとヘイタイさん。」 満州生娘10人の感謝は1億人の感謝に匹敵するのだ。 ロシアに勝ったより気分がいい、退役兵らだ。 
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