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戦車内の操作。
これが、人間工学だ。
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「ふむ、使い勝手が悪いと・・・」 まあ、ソ連の戦車よりは、だが・・ 高野主任は、開発室の黒板にチョークで戦車の断面を描いた。 操縦席も描いた。 「うむ、ここはモックアップだな。」 つまり、実物大の木型模型だ。 よく、戦闘機で風洞実験用に作るヤツだ。 つまり、座席と操縦装置が、外部から見えるようにである。 そうすれば、よく理解できそうだからである。 もちろん、レバーなどは、本物である。 車台が木製ということである。 「よし、オレが座ってから・・」「どうやるんだっけ?」 なんと、高野主任は自身が戦車を・・・ 「これでは、恥ずかしいかぎりだ。」「あの少尉に、精神論を言われる訳だわい。」と、自分に言い聞かせた。「操縦のしやすさだな。」と、他の技師らと、代わる代わる座り、色々と操作する。 「これは、もっと右がいいぞ。」「いや、オレは上がいいぞ。」と、意見がかなり人により違うのだ。 「うむ、これは、平均を取るしか無いな。」と、なるが、誰かが。 「そういえば、戦車内は暗かったんじゃないか。」と、気が付く。 戦車内は車内が白く塗ってあるのだ。 それは、戦車は基本、窓が無い。 つまり、潜望鏡で外部を見るか、細いスリットで覗くのだ。 なぜなら、敵の銃弾が雨あられだからである。 防弾ガラスなぞ、狙われてキズだらけである。 (米軍は、車内に交換の防弾ガラスを数枚備えていた。)日本軍に、そんな余裕はない。 戦車用の防弾ガラスなぞ、数年先のことである。 「実際の戦車では、室内照明は計器くらいだそうだ。」と、他の技師がいう。 「夜間なぞ、室内が明るいと敵に察知されるからな。」ともいうのだ。 「なら、手探りでもわかるようなモノでないと。」「そういうことだ。」 これは、難題である。 日本戦車はレバー式だ。 ハンドルなんか無いのだ。 まあ、建設機械をみればわかるんだが。 ブルドーザーなんかレバーである。 左右の履帯をレバーで動きを操作するのだ。 もちろん、ブレーキもレバーである。 だから、特殊車両の免許があるのである。 「そうだ、手の感覚で、どのレバーか判明するのは、どうだ。」「いい考えだが、どうやるんだ。」詰まってしまったのである・・・ 「レバーは引くのがブレーキとする。」「そして、前進が前へレバーを倒す。」「ふむ。」「後進が後ろへ倒す。」「ふむ。」「で、変速はどうすんだ?」「ううむ・・・」「戦車は変速が多いんだぞ。」「そうだった・・・」「クラッチ操作は、トラックと同じにするんだ。」「アクセルは?」「そこは、レバーだよ。」そして、実際に技師が目隠しをして、戦車の操作をしてみる。 (戦後できた、61式戦車は操縦が困難な代物だったとか。懐かしむ隊員も多いらしい。)「おい、誰か呼んで来い。」と、別の部署の技師を呼んでくる。 そして、大まかな操作方法を教える。 「やってみてよ。」である。 2,3回はうまくいかなかったが・・ 5回もやればオンノジだったのだ。 「これで、露スケ戦車よりは使い勝手が、よくなったかな。」との、感想の主任である。 「そういえば、まだ改良の要望があったんだ。」と、思い出したのだった。 「これ以上は・・」「いや、操縦装置ではない。」「照準装置だよ。」「振動で狂いやすいらしい。」「そうか、戦車は振動があるからな。」そうなのだ、走行するときはサスペンションがあるから問題はないのだが。 砲撃の砲身の振動は、なんともしがたいことなのだ。 「それで、距離計が狂うんだとか。」「やはり、レンジファインダーでは、無理かな。」「プリズムがズレるらしい。」「他の方法は、あるのかな。」技師らの試行錯誤は続くのである。
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