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装甲車の点検。
軽いしカンタンだから・・・
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「動くかな。」と、今野だ。 「え、え、いま調べますよ。」と、神野軍曹だ。 いかにもカンタンに言うので、「君は整備もできるんか?」と聞いたくらいだ。 「いいえ、見よう見まねですよ。」「でないと、ここでは生きていけませんよ。」と、エンジンのカバーを外す。 「しかし、戦車ではひっくり返ったヤツを起こせないからな。」と、感心の今野少尉だ。 装甲車でも、普通は無理なのだ。 しかし、テコの原理で簡単に車台を起こした偵察隊である。 「おい、枝野二等兵。」「ハイ。」と、恐縮する新入りだ。 「おまえは、オレたちが整備している間に、敵兵の監視だ。」「ハイ。」使えない新入りの役である。 「それに、少尉に礼がまだだぞ。」「あっ、助けていただきありがとうございました。」「うむ、少尉が助けなかったらおまえは、いまごろゲリラのエサだったんだぞ。」と、軍曹が脅す。 敬礼して、答礼を返したら、あわてて、付近の監視につく枝野二等兵だ。 「使えないんですが、でも他がいないんで、鍛えるしかないんですよ。」と、こぼす軍曹だ。 どこも、人手不足のようである。 満州くんだりまで、送られてくる兵は優秀なヤツなんていないからである。 まあ、落ちこぼればかりだ。 しかし、皇軍だ。 諸外国に比べれば優秀なほうであるのだ。 軍規は厳しいのである。 軍規とは、軍人の規則のことだ。 命令があるまで、銃は撃ってはならない、とかである。 上官の命令なしに自衛隊も銃撃はやらないのである。 もちろん、上官がヤラれたときは例外だが。 「少尉、クランク棒を廻してくれませんか。」「わかった。」装甲車のバンパーの穴にクランク棒を差し込んで、「よいしょ。」と、廻す。 「発火しないな。」と、点火プラグ(装甲車はガソリンエンジンだ。)をいじる軍曹だ。 もちろん、今野にもエンジン知識はそれなりにある。 しかし、神野軍曹から援助要請があるまで、手出しはしないのだ。 神野にもメンツはあるからである。 見たところ、神野の腕は悪くない。 エンジンは機嫌が悪いと、動かないモノだ。 そうなのだ、ヒトに似てるのだ。 そこが、電気モーターと違うところなのだ。 当時のエンジンは、機嫌を取り、騙し騙し使ったモノだそうだ。 「すんません、もう一度廻してください。」と、神野だ。 「うむ。」と今野は2回ほど廻した。 すると、「パプン、パプン、パラ、パラ、パラ。」と、回転を始めた。 「なんとかなったぞ。」と、軍曹だ。 「ありがとうございました、少尉のおかげです。」と、礼をいう神野へ、「エンジンの御機嫌取りがうまいな。」と、今野が誉め言葉だ。 「おい、枝野、偵察続行だ、戻れ。」「ハイ。」と、あわてて隊に復帰する枝野二等兵である。 同じ枝野でも、こちら(野党ではない。)は鍛えれば使えそうだな、と思う今野少尉であった。 便衣兵の攻撃で余分な時間がかかったが、偵察隊は自ら復帰して、国境の偵察を続行するのである。
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