142 / 393
カムにより、変幻自在に飛行する。
これは、まさに戦闘機だ。
しおりを挟む
技師のひとりが、模型飛行機の操縦カムに工夫を加えた。 カムを2個にして、エンジン出力と舵を独立して操作できるようにしたのだ。 飛行機は舵で旋回するとき、どうしても高度が落ちるのだ。 それで、旋回しながらスロットを徐々に上げるのだ。
そのカムを組み込みでなく、取り換えれるように考えたのだ。
カムで、飛行動作が一定だと、訓練員にはつまらないからだ。
そして、カムはいくつもあり、どれを使うかは訓練員は知らないのである。
「そうか、それは実戦並みの訓練ができるな。」と、今野少尉が・・・
「え、え、この2個カムの操縦装置は、実際の戦闘機の動きに使い物があるかと。」「うむ、いい訓練になりそうだ。」「それで、標的機の使うカムは訓練員には内緒にしてください。」「あ、あ、承知したぞ。」
「でも、その前に試して見せてくれ。」「いいですよ。」「では、カムは24枚つくりました。」「いま、訓練用の標的機は4機あるから、3種類ということか。」「そうです。」と、丸い円形に切り込みがはいった円盤の金属片を見せる。
「番号がふってあるので、エンジン調整用と、舵とり用にありますから。」「なかなか、ややこしいな。」「内地では、無線操縦の飛行機の実験がはじまったらしいですが。」「そうなのか?」「聞いてみたら、満州国では、とても予算が・・・」 模型の無線操縦ではない。 ヒトが乗る戦闘機のヤツらしい。 もちろん、ヒトの替わりに無線装置を載せるらしい。
「内地のいる、仲間の技師から聞いてんですが、将来的に爆弾を積んで敵の戦艦へ衝突させるとか・・・」「それは、もったいないな。」「まあ、ヒトが乗るよりは。」「そうだな。」
「今日からの訓練は、標的機の動きに注意しろ。」「ハイ。」「よし、では訓練をはじめる。」「おう。」
各、戦車隊員は自身の戦車へ・・・ ちなみに、攻撃型は砲弾が訓練用のコルク製の砲弾である。 数十回射撃すると、使えなくなるヤツだ。 それでも、味方に向けて砲撃できるから訓練用なのだ。
味方戦車でも、ソ連軍の役である。 もちろん、鹵獲したソ連軍戦車だ。
国旗は日の丸である。 ソ連軍の戦車でも日の丸をつけると、なかなかいいものである。
そして、満州国の日本陸軍派遣隊の印が・・・ 征露隊のマークの猛虎が描いてある。
なぜ、猛虎かというと強そうであるからだそうだ。 まあ、単純なのだ、オトコというものは・・・
さて、訓練がはじまった。 標的機の係員が飛行機の操縦カムを仕込む。 そして、燃料タンクにガソリンとひまし油を混ぜた混合ガソリンを入れる。 エンジンのプラグに蓄電池をつなぐ。 ペラを手で廻す。
数回廻すと、「パラパラ、パラ。」と、廻りだす。 スロットを調整する。 やがて、安定してエンジンが廻りだした。
標的機は、カムが動作するにはタイムラグがつけてあり、その時間がくる前に、飛ばさなくてはならない。
なかなか、係員も職人技なのである。
「いくぞ。」と、係員が標的機を両手で持って走る、そして斜め上へ投げる。
標的機は、ゆるやかに空(うえ)へ上昇する。 そして、十分なころ合いで、旋回を始める。
やがて対空戦車の上へさしかかる。
「てーーっ。」と、車長が叫んだ。 「ダ、ダ、ダ。」と、短い連射だ。 吹き流しに銃弾が吸い込まれたような、吸い込まれないような。 吹き流しは、暖簾に腕押しだから実感が・・・贅沢な、悩みである。
「つぎが、くるぞ。」と、誰かが・・・
「ん、どこだ?」「みえないぞ。」「音はするぞ。」「いかん、後ろだぞ。」
あわてて、機銃座が廻りだす。 以前は手回しのクランクだ。 それなりだったが。
クラッチ操作で機銃座が、「おっとと・・・。」と、機銃手がバランスを崩した。
「なにやっとる、間に合わんぞ。」と、車長が叱咤だ。
「うう、そんなこと言ったって・・」と、言いながら、「ダ、ダ、ダ。」と引き金だけは引いたのだ。
「これは、いかん。」「座席ベルトをつけるか。」「でも、敵機から逃げられんぞ。」「ううむ。」
こうして、対空戦車が対空戦の訓練である。 そして、攻撃型戦車は対空戦車を架空ソ連軍から守るべく・・・
「おい、そっちへ回り込まれたぞい。」「了解だ。」「間に合わんぞ。」「くそっ、地面のじゃりが・・・」
そうなのだ、戦車訓練場にはわざと砂利や丸太が転がしてあるのだ。 凸凹も造ってあるのである。
「いったぞ。」「わかってるが・・・」「よし、ここはオレ達が喰いとめるぞ。」「いかん、動きが速いぞ。」
なかなか、架空ソ連軍は・・・なんせ、一杯がかかってるらしい。
つまり、負けた方が酒保(軍隊内にある居酒屋)で、おごらねばならないらしい。
まあ、それくらいの賭け事は司令官も黙認であるのだ。
方向を変えて飛ぶ標的機は、訓練に実感と相互の連携をもたらしたのである。
そのカムを組み込みでなく、取り換えれるように考えたのだ。
カムで、飛行動作が一定だと、訓練員にはつまらないからだ。
そして、カムはいくつもあり、どれを使うかは訓練員は知らないのである。
「そうか、それは実戦並みの訓練ができるな。」と、今野少尉が・・・
「え、え、この2個カムの操縦装置は、実際の戦闘機の動きに使い物があるかと。」「うむ、いい訓練になりそうだ。」「それで、標的機の使うカムは訓練員には内緒にしてください。」「あ、あ、承知したぞ。」
「でも、その前に試して見せてくれ。」「いいですよ。」「では、カムは24枚つくりました。」「いま、訓練用の標的機は4機あるから、3種類ということか。」「そうです。」と、丸い円形に切り込みがはいった円盤の金属片を見せる。
「番号がふってあるので、エンジン調整用と、舵とり用にありますから。」「なかなか、ややこしいな。」「内地では、無線操縦の飛行機の実験がはじまったらしいですが。」「そうなのか?」「聞いてみたら、満州国では、とても予算が・・・」 模型の無線操縦ではない。 ヒトが乗る戦闘機のヤツらしい。 もちろん、ヒトの替わりに無線装置を載せるらしい。
「内地のいる、仲間の技師から聞いてんですが、将来的に爆弾を積んで敵の戦艦へ衝突させるとか・・・」「それは、もったいないな。」「まあ、ヒトが乗るよりは。」「そうだな。」
「今日からの訓練は、標的機の動きに注意しろ。」「ハイ。」「よし、では訓練をはじめる。」「おう。」
各、戦車隊員は自身の戦車へ・・・ ちなみに、攻撃型は砲弾が訓練用のコルク製の砲弾である。 数十回射撃すると、使えなくなるヤツだ。 それでも、味方に向けて砲撃できるから訓練用なのだ。
味方戦車でも、ソ連軍の役である。 もちろん、鹵獲したソ連軍戦車だ。
国旗は日の丸である。 ソ連軍の戦車でも日の丸をつけると、なかなかいいものである。
そして、満州国の日本陸軍派遣隊の印が・・・ 征露隊のマークの猛虎が描いてある。
なぜ、猛虎かというと強そうであるからだそうだ。 まあ、単純なのだ、オトコというものは・・・
さて、訓練がはじまった。 標的機の係員が飛行機の操縦カムを仕込む。 そして、燃料タンクにガソリンとひまし油を混ぜた混合ガソリンを入れる。 エンジンのプラグに蓄電池をつなぐ。 ペラを手で廻す。
数回廻すと、「パラパラ、パラ。」と、廻りだす。 スロットを調整する。 やがて、安定してエンジンが廻りだした。
標的機は、カムが動作するにはタイムラグがつけてあり、その時間がくる前に、飛ばさなくてはならない。
なかなか、係員も職人技なのである。
「いくぞ。」と、係員が標的機を両手で持って走る、そして斜め上へ投げる。
標的機は、ゆるやかに空(うえ)へ上昇する。 そして、十分なころ合いで、旋回を始める。
やがて対空戦車の上へさしかかる。
「てーーっ。」と、車長が叫んだ。 「ダ、ダ、ダ。」と、短い連射だ。 吹き流しに銃弾が吸い込まれたような、吸い込まれないような。 吹き流しは、暖簾に腕押しだから実感が・・・贅沢な、悩みである。
「つぎが、くるぞ。」と、誰かが・・・
「ん、どこだ?」「みえないぞ。」「音はするぞ。」「いかん、後ろだぞ。」
あわてて、機銃座が廻りだす。 以前は手回しのクランクだ。 それなりだったが。
クラッチ操作で機銃座が、「おっとと・・・。」と、機銃手がバランスを崩した。
「なにやっとる、間に合わんぞ。」と、車長が叱咤だ。
「うう、そんなこと言ったって・・」と、言いながら、「ダ、ダ、ダ。」と引き金だけは引いたのだ。
「これは、いかん。」「座席ベルトをつけるか。」「でも、敵機から逃げられんぞ。」「ううむ。」
こうして、対空戦車が対空戦の訓練である。 そして、攻撃型戦車は対空戦車を架空ソ連軍から守るべく・・・
「おい、そっちへ回り込まれたぞい。」「了解だ。」「間に合わんぞ。」「くそっ、地面のじゃりが・・・」
そうなのだ、戦車訓練場にはわざと砂利や丸太が転がしてあるのだ。 凸凹も造ってあるのである。
「いったぞ。」「わかってるが・・・」「よし、ここはオレ達が喰いとめるぞ。」「いかん、動きが速いぞ。」
なかなか、架空ソ連軍は・・・なんせ、一杯がかかってるらしい。
つまり、負けた方が酒保(軍隊内にある居酒屋)で、おごらねばならないらしい。
まあ、それくらいの賭け事は司令官も黙認であるのだ。
方向を変えて飛ぶ標的機は、訓練に実感と相互の連携をもたらしたのである。
2
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
【架空戦記】狂気の空母「浅間丸」逆境戦記
糸冬
歴史・時代
開戦劈頭の真珠湾攻撃にて、日本海軍は第三次攻撃によって港湾施設と燃料タンクを破壊し、さらには米空母「エンタープライズ」を撃沈する上々の滑り出しを見せた。
それから半年が経った昭和十七年(一九四二年)六月。三菱長崎造船所第三ドックに、一隻のフネが傷ついた船体を横たえていた。
かつて、「太平洋の女王」と称された、海軍輸送船「浅間丸」である。
ドーリットル空襲によってディーゼル機関を損傷した「浅間丸」は、史実においては船体が旧式化したため凍結された計画を復活させ、特設航空母艦として蘇ろうとしていたのだった。
※過去作「炎立つ真珠湾」と世界観を共有した内容となります。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる