日本戦車を改造する。

ゆみすけ

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行軍の訓練だ。

エンジンの、ご機嫌とりも楽ではない。

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 「今日は、行軍の訓練だな。」と、副官が今野少尉へ。 「え、え、もう集合してると思いますが。」「では、司令へ伝えておくぞ。」「え、え。」
 「敬礼。」の声が響く。 お立ち台へ司令が登壇である。 答礼で返す司令官だ。
「うおっ、ほん。」と、咳払いで・・・「諸君、平素の訓練こそが勝利への道である、以上だ。」「敬礼。」
長々と無駄話をしない司令である。 
「よし、各車へ乗車。」「おう。」戦車隊員らは、自己の車両へ靴のドロを払って乗り込む。 戦車隊員らはゴム底の靴だ。 皮底の靴は金属との相性が悪いからだ。 頭部には、戦車隊員用の車内用のヘルメットである。 これは、戦車内が狭いからである。 頭部を鉄のカタマリで打たないようにである。 
 
 「エンジン始動。」「エンジン始動します。」補助エンジンを駆ける。 でかい戦車のデーゼルエンジンは手動では無理なのだ。 もちろん、戦車外からクランクで数人で動かせないこともないんだが・・・まず、すぐには掛からない。 まずは、スターターエンジンを駆けるのだ。 これは、小型エンジンだから手動でカンタンに掛けられるのだ。 手回しで始動用エンジンを掛ける。 「グルルルルン。」と、小型エンジンが動き出した。 そして、デーゼルエンジンのグロープラグに電流を流す。 グロープラグはニクロム線だ。 つまり、シンンダー内を温めるのだ。
 そして、小型始動用のエンジンの動力をクラッチで、でかいデーゼルエンジンと繋いだ。 「キュルン、キュルン。」と、デーゼルエンジンが廻りだす。 燃料噴射ボタンだ。 デーゼルはガソリンと真逆だ。 ガソリンエンジンはガソリンの霧へ空気を送り込む。 デーゼルは軽油を空気へ吹くのだ。 だから、ガソリンエンジンのキャブレターは無い。 軽油を吹く燃料ポンプがあるのだ。 燃料ポンプがデーゼルエンジンを決めるカナメなのだ。
 しばらく、暖気運転だ。 エンジンオイルが温まるまでである。 15分前後である。 オイルの油温計の針が動き出せばOKだ。 
 
 「よし、出発だ。」と、今野少尉が砲塔の席から指示を出す。 駐屯地内は、誘導員が旗で進路を確保してくれる。
 これは、駐屯地への出入りの業者などへの危険防止のためである。 駐屯地内はは緊急時を除いて、30キロ規制である。 旗振り誘導員も慣れたモノである。 
 やがて、出入り口の遮断機が上がり、戦車隊は行軍訓練のため、満州平原の大海原へくりだしたのだ。
満州平原は広大である。 それで、燃料給油のトラックとの会合訓練も兼ねているのである。
 戦車は燃費が1ℓあたり、300メートルくらいである。 下手なアメ車より酷い燃費なのである。
まあ、30トン前後の重量だ。 それに、エンジンは常にぶん回しているのだ。 でないと、動かないからである。
 それで、戦車のエンジンは数年も使えないのだ。 交換である。 それで、各戦車にはカルテのような整備記録書があるのだ。 いつエンジンオイルを交換したかとか、変速機のギアも摩耗で交換したとか。 細かな整備の記録である。 それにより、交換する部品の量が予測できるのである。 そして、その記録により、どこが欠点かも判明するのだ。 
 先日も、ギアの3段目が摩耗が激しいので、原因を追究したら、ギアオイルの循環に問題があったのだ。 それで、新しいオイルのパイプを足して、解決したばかりだ。 
 その努力が、満州平原を40キロ巡行で行軍ができるのである。
「おい、対空戦車が遅れているぞ。」「まだ、まだ、整備が慣れてないんだな。」「はじめは、我が攻撃型も40キロ巡行ができませんでしたからね。」「そうだな。」 はじめは、30キロでもエンコするくらいであった。 
 それで、整備部隊がトラックで追従していたくらいである。  行軍となると、長時間の行動である。
エンジンも数時間以上も運用するのである。 短時間なら起きない故障も、耐久性などから思わぬ故障が・・・
 それで、エンジンのベアリングなどが耐久性がないから、素材から作り直したほどである。
ベアリングからオイルが漏れるので、オイルに耐性があるゴムを開発するために、わざわざ内地の石油化学工場まで足を運んでいるのである。 
 満州平原を行軍する、我が戦車隊の陰には、多くの技師らの努力が隠れているのだ。
「そろそろ、B地点ですが。」「うむ、いたぞ。」 今野少尉が燃料給油トラックを見つけた。 給油も訓練である。 戦場で燃料切れは死を招くのだ。 いかに、はやく給油するかも訓練なのである。
 「いまから、各戦車への給油訓練だ。」 計測時計の針をゼロだ。 「はじめ。」 給油は、1号車からだ。 
隊長の10号車は最後である。 それで、交互に偵察とトラックへの守りを固める。
 トラックの燃料タンクへの攻撃は絶対に阻止しなければならない。 
でないと、下手すると全滅も・・・
 「よし、オレの番だな。」と、最後の給油の今野少尉だ。  
攻撃型戦車の燃料タンクは400リットル入るのだ。 いままでは、300だったんだが・・・
 これは、満州平原が広大だからである。 遠征だと、後ろへドラム缶(200リットル入る。)を積んで行軍することもあるほどである。 まあ、ガソリンではないからできることである。 デーゼルは軽油燃料だ。 ガソリンよりは発火の危険は少ないのである。 
 「よし、時間は15分か。」「以前よりは早いですね。」「数分だがな。」「数分が大きいですよ。」「そうだな。」
 「さて、トラック隊が差し入れを持ってきてくれたそうだ。」「それは、うれしい話ですね。」「酒はダメだぞ。」「ハァ。」 満州平原での、休憩のひとときは・・・なかなか・・・・


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