日本戦車を改造する。

ゆみすけ

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日本軍の工兵は万能だ。

道なき道を進み、橋無き河を渡る・・・

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 「よし、エンジンが掛かったな。」と、砲塔から前進を指示する加藤中尉だ。
15両の八九式戦車はソ連軍の侵攻へ対処するために埠頭を離れた。
 大連港の付近は、まだ道がある。
もちろん、舗装なんてされてない。
 当時は内地でも都市部しか・・・道路舗装なんて・・・
まして、遠い満州だ。 
 道路舗装なんて、首府の奉天でも・・・皇帝の城の付近だけだ。
しかし、馬車道でも八九式は車台幅が2,18メートルだ。
 つまり、普通自動車とトントンだ。
馬車が通過できれば、八九式は問題なく通過できたのである。
 満州政府からの案内人は、もちろん馬賊崩れだ。 
でないと、他国の軍隊を案内するなぞ・・・度胸が無いとできないからだ。

 「隊長さん、ロシアはハルピンまで侵攻してるアルヨ。」「うむ、そうか。」「なら、ハルピンの南の街はどこか?」「吉林アルヨ。」「うむ、なら吉林を案内してくれ。」「わかったアルヨ。」と、馬賊は騎馬で道なき道を進む。
 なせなら、街道は都市部付近しか無いからだ。 すこし、離れれば荒野だ。
地図やコンパスなんて馬賊は持ってない。
 満州国は国土の地図が・・・まだ、なのだ。(簡単な絵図はあるが・・・)
それで、地図が無い所を馬賊は長年のカンで走破してるのだ。

 小川が枯れた溝が・・・馬はピョンと飛び越えた。
しかし、戦車は・・・無理に決まっている。
 「停止だ。」と、加藤中尉が手で合図だ。
2号車から軍曹が降りてきた。
 「これは、まずいですな。」「そうだな、塹壕と同じだが・・・すこし幅が広いかな・・・」
「仕方がない、急ぐので小川を埋めるしか・・・」
 水害の関係で埋めるのは・・・しかし、ソ連軍が・・・水害より(ここは、市街地ではない。)ソ連軍が優先だ。
「頼めるか、軍曹。」「え、え。」
 「おい、工兵だったヤツ集まれ。」「ハイ。」
6名ほどの元工兵だった連中が集まった。
 「おい、これを埋めるぞ。」「了解です。」
手にスコップを持ったヤツが4名。 砂袋を広げるヤツが2名。
 数分で2袋の砂袋が・・・それを、他のヤツが枯れた小川へ二人掛かりで積み上げる。
30分くらいで渡河できる盛土の砂袋の簡易通路が完成した。
 加藤中尉は自身で踏み固めた盛土を渡り・・・八九式が渡れるか・・・
「よし、1両づつだ。」と、指示を出した。
 こうして、道なき道を進む加藤戦車隊である。
素人では、とても30分では無理な工事だった。
 
 「停止。」と、加藤中尉が・・・また手をあげる。
目前には河だ。 対岸が見えるから大河ではない。
 シナの大河は向こう岸が見えないからね。
また、2号車から軍曹が・・・
 今度は・・・さすがに・・・無理だろうて・・・
だが、元工兵の軍曹は微動だにしなかったのだ。
 「どうかな。」と、中尉が聞いた。
「そうですね、3時間は掛かりますね。」「頼めるか。」「わかりました。」
 「おい、河川用の浮き輪を持ってこい。」「了解です。」
もともと、満州の地は不毛の何も無い地であると・・・
 それで、最悪を考慮して用意してきた加藤戦車隊である。
渡河用の浮き輪とは・・・戦車用の浮き輪だ。
 そう、泳げないヤツが浮き輪を持つように、八九式は泳げない戦車だからである。
大東亜戦争で日本軍は泳げる戦車を(外洋でもOKなヤツだ。)造るのだが・・・
 まだ、この当時は無理だったのだ。
ドイツ帝国は防水にして、河底を渡る戦車としたのだが・・・
 河底は見えないから・・・なにがあるか・・・わからんのだ。
それで、八九式戦車の前後に浮き輪を付けて渡河できるように考えたのだ。
 組み立てに30分、そして戦車に取り付けが15分だ。 
もちろん、15両分の浮き輪なぞ無い・・・
 2両分しか無いのだ。
そして、オールで工兵などが漕ぐのだ。
 スクリューなぞ無いからだ。
それでも、30分くらいで対岸まで2両の戦車が渡河できたのだ。
 そして、浮き輪を外して・・・浮き輪だけで戻るのだ。

 この浮き輪はアルミ板でネジで組み立てるのでる。(アルミ板は軽いからだ。)
当時はゴムボートなぞ・・・まだ、考えられてはいなかった。
軍曹が、「この浮き輪は時間がかかるから、イカンですな。」
 「うむ、しかし橋を架けるよりは早いと思うが。」と、加藤隊長だ。
それから、約4時間で15両の八九式は無事に渡河できたのだ。
 「将来的には、日本海を渡る戦車を持ちたいですな。」と、軍曹が・・・
「うむ、そうなれば海軍に頭を下げないで済むからな。」と、加藤中尉だ。
 「そうですな、魚雷を2本ほど積めれば万能戦車ですな。」
「海軍が、いらないな。」と、加藤中尉が賛同して・・・二人で大笑いだったとか。
 
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