日本戦車を改造する。

ゆみすけ

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二度あることは、三度ある。

加藤戦車隊時代からなら、四度めだな・・・

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 満州国とソ連邦の国境を流れる黒龍江という河にソ連軍の監視所が建っている。
満州国建国当時からある、歴史がある建物だ。
 というか、掘ってて小屋だ。
冬は極寒になるから・・・偵察するソ連軍歩哨も凍えるからだ。
 それで、レンガと木で建てた小屋である。
カンバンは、「ソ連軍極東監視所」と、仰々しいのである。
 そして、上流は満州国領、下流はソ連邦領と立て札が・・・一応、立っている。(形だけなのだ。)
そこへ、パカパカとシベリア基地から騎馬連絡だ。
 馬賊ではない。 ソ連兵も馬は乗るのである。
「おい、イワノフ。」と、歩哨へ通信文を渡す騎馬兵だ。
 もちろん、騎馬兵が上官だ。
シベリア基地からの河の監視歩哨なぞ、最下級の兵隊だ。
 2等兵卒のイワノフが敬礼して通信文を受け取る。
「返事は、あとでいいからな。」「了解です。」騎馬兵は帰る。
どうせ、ロクな命令じゃないだろうな・・・と、重い通信文を開く。

 通信文には、{イワノフ2等兵へ、最近2ヶ月の敵の動きを控えておくこと。}と、ある。
敵の動きは、日誌で描いてるから・・・そんなことを、言おうものなら・・・酷いバツゲームだから、沈黙の男イワノフだ。
 「しゃないな、日誌から拾うか。」と、報告書を描きだしたイワノフ2等兵卒である。
「うむ、満州側の見張り所は動きはないようだな。」と、日誌を見返すイワノフだ。
 「交代は2日ごとか、そこはイイなあ。」と、思うイワノフである。
なんせ、30日やって、3日の休みがあるだけだからだ。
 ソ連邦は下層階級は労働がブラックなのである。
もちろん、2等兵卒のイワノフも同様だ。
 馬車馬以上にこき使われるのだ。
まあ、産まれてからの下層階級だから、なんも考えないのだが。
 いわゆる、愚民という政策なのだ。
ロシア時代からだが・・・ソ連邦は階級社会だ。
 共産主義という政策なんだが・・・民は平等ではない。
ロシア時代の貴族階級が亡命したり粛清されて、そこへ新たに入り込んだヤツが政府の役人や地方の権力者と替わっただけなのだ。
 ロシア時代にはなかった、粛清という名の嵐が吹き荒れるようになっただけなのだ。
さすがに、最下層の愚民には粛清はふかなかったんだが・・・徴兵という嵐は吹き荒れたのだ。

 シベリア基地の司令官私室で、イワン司令官と参謀が密談である。
そろそろ、侵攻作戦を決行しないと、モスクワが五月蠅いからである。
 欧州での紛争がT34戦車の連戦連勝でドイツ軍を押し返してるからだ。
欧州作戦は順調なのである。
 ならば、シベリアへコミンテルンの眼が注がれるのである。
「なんと、まだ満州の権益は・・・」「盗ってないのだそうだ。」
 「シベリアにはT34を多数配備したんだぞ。」と、スターリノフ書記長が・・・
「同志閣下、ここはシベリアに焼きを入れねばなりませんな。」と、参謀総長がゴマを擦る。
 「うむ、しかし極東の猿(日本軍のことだ。)どもは、意外にやるではないか。」と、スターリノフだ。
「同志閣下、シベリア基地がたるんどるんです。」と、欧州での連戦連勝を盾にシベリアを煽る参謀総長だ。
 「それもそうだ、黄色い猿にT34が遅れを取るとは思えんからな。」と、スターリノフだ。
「そうだ、欧州での戦いは一息ついたのだ、余ってるT34をシベリアへ後れ。」
 「隊員は、どうしましょうか。」と、参謀だ。
「それは、欧州で敵を撃破したないヤツらを送ればいいだろう。」
 「それは、そうですな。」と、参謀がほくそ笑む。
飴と鞭だ。
 手柄をあげれば飴だが・・・敵を撃破してないヤツらにはムチなのだ。

 ドイツ軍がT34対策で新型戦車を試行錯誤の、どさくさで・・・満州国へ影響が出てしまったようである。
まさに、風が吹けば桶屋が儲かる式なのである。
 しかし、しかしだ。
モスクワ政府は日本軍が新型九八式を増産中だなんて・・・夢にも思っていないのだ。
 なんせ、鹵獲魔改造戦車が日本軍の新型かと・・・
全く、ソ連情報部は鹵獲魔改造戦車が自国のT26B型の改造したヤツだとは・・・思ってもみなかったのだ。
 それほど、日本人技師の魔改造がすごかったのだが・・・
それで、日本軍の新型は形式不明の謎戦車(魔改造戦車)ということで、ソ連軍の情報部は納得していたのだ。
 まさか、鹵獲魔改造は臨時雇いの戦車で本命は満州戦車開発会社で目下増産中だなんて・・・夢にも思ってなかったのである。
 こうして、九八式中戦車はソ連軍の把握できない戦車となっていたのである。

 数日して国境監視所からの敵の動きの結果を受け取ったシベリア基地だ。
「なに、なに、敵の見張りは2日交代だ・・・なんで、余計なことばかり書いてあるぞ。」
 「歩哨は2等兵卒だったはずだが。」「え、え、と、イワノフというらしいですが・・・」
「余計な一言だぞ・・・交代はしばらくは無しだな。」と、参謀が罰ゲームをかます。
 まさに、余計なことを書いたイワノフに罰が当たったのである。
文句は上官には言ってはならない軍隊なのだ。
 軍隊では、仲間内の愚痴でおさえておくべきなのである。
「でも、どうやら満州の日本軍は油断してると・・・」と、副指令が想像する。
 「そうですね、副同志。」
「そのようだな、T34が増援がくるらしいぞ。」と、イワン司令官だ。
 「なら、ここは増援が着たら、一気に黄色いエテ公を叩きますか。」「うむ、そうだな。」
「ワアッ、ハッ、ハッ、ハッ。」と、腹を抱えて・・・・シベリア基地が盛り上がるのだった。
 

 
 
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